軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お土産作り!

ハンナ達を見送って、少し弟達と時間をとる。だって、このところ同じ学園に通っているナシウスともあまり話せていないし、ヘンリーとはちっともだもの。

えっ、お昼に一緒に食べていただろう? そんなの当たり前なの! ヘンリーはカミュ先生とのお勉強も終わったみたいだから、ナシウスと三人で子供部屋で試作品のカザリア帝国の遺跡をブロックで作りながら話す。

「お姉様、これは良いですね! 来年の青葉祭で使いたいです」

ナシウスの言葉で、その時には私はいないのだと思って泣きそうになる。

「お姉様?」

不思議そうな顔のナシウスに「今年で卒業して、ロマノ大学に進学するのです」と説明する。

「お姉様! 凄いです!」

ナシウスとヘンリーが褒めてくれた。

「あれ? でもお姉様は……」

ヘンリーが、では何故悲しそうなのかと首を捻る。まだ、微妙な乙女の感傷は理解できないかな?

「ロマノ大学に進学するのは嬉しいのですけど、少しだけナシウスやお友達と離れるのが寂しい気持ちになったのですよ」

ナシウスが納得したのか頷いている。

「再来年には、私も王立学園に入学します。お姉様は、ロマノ大学に入学するのは、おめでたいことではないのですか?」

ヘンリーは、未だよくわかっていないのかも。

「おめでたい事で間違いではありませんよ。それにパーシー様と一緒に進学できるのは嬉しいです。でも、これまで仲良くしていた友だちと離れるのが寂しいのです」

「離れても友だちなのでは?」

ああ、ヘンリー! その通りだよ!

「ええ、そうですね!」

賢くて、可愛いヘンリーを抱きしめてキスする。

気を取り直して、ノースコート伯爵から頼まれたお土産作りを弟達とチェックすることにした。

楽しいだけじゃない。子供部屋で遺跡をブロックで作って、少し問題にも気づいたんだ。

「これでは、崩れた山にしか見えないわ」

パーシバルに言われた通り、丘の土台を作り、そこに灰色のブロックを組み立ててみたけど、何か違う。

「木がポツポツあるのが山っぽいのでは?」

ナシウスも何か違うと首を捻る。

「でも、木がないと……ああ、わかったわ! 土台の上に組み立てるから、余計に崩れた山に見えるのよ。防護壁は、丘の周りにあるのだから、もっとなだらかな部分が必要なのだわ」

丘の土台だけでは、駄目なのだ。丘は、遺跡部分だけど、それをかこむ防護壁がないと格好がつかない。

「お姉様、土台を作るのをお手伝いしたいです!」

ナシウスも錬金術クラブらしくなってきたね。

「お姉様、それに壊れた柱のパーツがもっとあれば、遺跡っぽく見えると思います」

「ヘンリー! その通りだわ!」

四角い灰色のブロックばかりだと柱が岩に見えてしまう。

「円柱になるようなブロックも作りましょう」

三人で工房に下りて、色々なパーツを作る。

かなり、ナシウスが錬金術の腕を上げているのに驚く。

「ナシウス! 素晴らしいわ」

褒めると「お姉様に教えてもらっているから」と恥ずかしそうだ。

「もっと、細かいパーツを作って良いですか?」

ナシウスは、執政官館跡から地下に降りる階段のパーツや地下道などの細かい部分も正確に作りたいみたい。

「お姉様、これは私には少し難しいです」

ヘンリーは、もっと大きなパーツを組み立てる方が良いと思う。

「そうですね! 防護壁の大きなパーツを何個か組み合わせるようにしましょう」

全部組み立てたら、半円の防護壁になるけど、所々は間を空けて、そこに大きなブロックを階段状に組み立てれば、半分崩れた防護壁っぽくなる。

「これなら、私でも組み立てられます!」

初めて、ブロックをあげた時は、小屋のようなお城や、何かわからないマロンを作っていたヘンリーだけど、半年でかなり上手くなっている。

ナシウスの緻密な感じの遺跡の方も手伝って、スイッチを押せば執政官館跡の穴が開いたり、地下通路の先の格納庫も上からだけど開けられるようにした。

「ナシウス、これは二つに分けた方が良さそうだわ」

かなりパーツが多くなったからね。

「そうですね……私なら、どちらも欲しいですけど……難しいですね。ヘンリーの方が簡単で良いのかも?」

ヘンリーのはブロック自体が大きいし、防衛壁、地下通路も大きなパーツを組み立てるだけだ。

「年齢によって遊べるのがブロックの良いところですよ。王立学園に通う年頃なら、ナシウスのブロックの方が楽しめるでしょう」

ナシウスも納得して、もっとパーツを作ろうと張り切っている。

「ナシウスのお陰で、素敵なお土産ができましたね!」

遺跡には残っていないけど、やはり旗は欲しいよね! 執政官館の跡にカザリア帝国の旗を作ってたてたら、出来上がり!

「わぁ! 格好良いです!」

ヘンリーの簡単バージョンの遺跡の執政官館跡にも旗を立てるよ。

「でも、これは高価になりすぎるかもしれません」

ナシウスがお土産には相応しくないかもと、反省している。夢中になって、パーツを作りすぎたのだ。

「基本の遺跡ブロックとオプションとに分けたら良いのです。後は、これを販売するノースコート伯爵にお任せしましょう」

多分、ノースコートの館に泊まるような上級貴族は、全部買いそうだよ。

あっ、それと確認しておかなきゃいけなかったんだ。

「ナシウス、歴史研究クラブは夏休みにカザリア帝国の遺跡を調査したいのではないかしら」

ナシウスが目を輝かせる。

「ええ、フィリップス様が遺跡調査をして、残っている建物を全て書き記したいと言っておられました」

やはりね! で、宿泊場所とかは決めているのかな?

「ノースコートにホテルが建つとか、皆が話していたけど……私は、ホテルに泊まるのは……」

宿泊代をナシウスは心配しているけど、それより泊まれないと思うんだよね。

「予約はしているのかしら?」

ナシウスは、詳しく知らないみたい。フィリップスに要チェックだ。

グレンジャー館の改修、というか建て替えが終わっていたら、そこからなら馬車で小二時間、馬なら一時間で遺跡に行ける。

ただ、ハープシャーの方が館的には大きいから、良い。

「ホテルも予約で一杯だと、リリアナ伯母様が言っていらしたわ」

ナシウスが驚いて、困った顔になる。

「グレンジャー館の改修が終わっていたら、夏合宿をそこでしても良いし、ハープシャーからでも遺跡は近いわ」

ナシウスの顔がパッと明るくなる。

「良いのですか! 嬉しいです。ホテルは一泊ぐらいしかできないのではと思っていたのです」

一泊二日では、遺跡調査は無理だと思うよ。

「フィリップス様や他の方は、もしかしたら他のプランがあるかもしれません。無かったらですよ」

ノースコート伯爵館に泊まる約束があるかもしれないから、一応、注意しておく。