軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

結婚相手を探すのは大変!

エリザベスとアビゲイルの仮縫いは、予定通り問題なく終わった。

二人とも、正式な社交界デビューのドレスは他で作っているから、私の所では、夏休みに着る気軽なドレスと旅行着を作ったんだ。

エリザベスは、水着も作ったけど、アビゲイルは泳げないそうだ。

仮縫いが終わったら、三人でお茶会だ。六月だから、アイスクリームも出す。

そこで、ちょこっとだけ、社交界デビューについて教えてもらったよ。

私のこの世界の常識は、十歳で亡くなったペイシェンスのが基礎だ。本当なら、母親から年頃になった時に少しずつ言い聞かせて貰うべき常識が無いんだよね。

父方の伯母様達から少しは教えて貰っているけど、エリザベスの話を聞いていて、少し怖くなった。

ここでは、貴族の令嬢の貞節は、とても重要視されている。それは、偽手紙で呼び出されかけた件でも怖いと思ったのだけど、社交界では庭に出て襲われるとかもあるみたい。

そして、 身分の低い男(レイプ犯) と強制的に結婚するか、修道院に入るしかなくなるんだってさ。

それ、治安悪すぎない! 驚いて怒っちゃったよ!

でも、アビゲイルに嗜められた。

「ペイシェンス様は、周りに男子学生が多いから、あまり警戒心がないのでしょう。実際に、良いご縁があった令嬢が、パーティで少し気を緩めて……破談になる事もありますからね」

パーシバルと破談になるって事なの? 嫌だ!

「だから、呑気に庭に出たり、他の部屋に行っては駄目だって事ですわ。ペイシェンス様にはお母様はいらっしゃらないけど、パーティには何方かお身内のご婦人が後見にお付き下さるのでしょう。少し、堅苦しく感じるかもしれませんが、そのご婦人の許可を得て行動するように心がけていれば、間違いはありませんわ」

エリザベスとアビゲイルは、パーシバルの婚約者として、少しでも変な噂を立てられないように忠告してくれたのだ。

「でも、私は、少しだけ冒険してみるつもりですの。母は、私におちついた殿方を勧めるのですが、ちょっとね!」

お洒落なエリザベスを心配して、少し年配の男性の方が良いと思っているのだろう。若い相手だと、エリザベスの言いなりになって散財しそうな予感がするからかも。

「あら? 私なら落ちついた年頃の殿方が良いですわ。でも、何故か落ち着いた殿方は、若いキャピキャピした令嬢が好きですの」

あっ、アビゲイルなら落ちついた男性と上手くやれそう。でも、年配の男の人って、若くて華やかな令嬢が好きなんだよね。

エリザベスは、不満そうに口を開く。

「私は、王立学園を卒業しても、すぐには結婚したくないの。だから、年配の方は駄目だわ。同じ年頃か、数歳上の方でロマノ大学に行かれるとかなら、数年の猶予はもらえるでしょう」

ああ、それは分かるよ。年上の方が相手だと、卒業と同時に結婚! って感じだもんね。

ここでも、アビゲイルは違う意見だ。

「あら? 早く結婚した方が、自分の好きに生きられると思うわ。結婚するまでは、両親の言う通りにしなくてはいけないのですもの」

大人しそうなアビゲイルだけど、両親には不満があるのかな? なんて、前世的な事を考えて聞いていたけど、違いました。

「私は、結婚して女主人として、一家を盛り立てていきたいの。だから、条件は一家を構えられる方! そして、口をだす舅や姑がいない事! 若い殿方は、親が口を出すパターンが多いから、難しいわ」

つまり、ある程度の財産があって、身分もしっかりしている男性ね! うううん? サリンジャーさんなんか良いと思うけど……家に帰って来ない旦那さんで良いのかな?

私が考えていると、エリザベスとアビゲイルから攻撃が激しい。

「ペイシェンス様は、私たちよりも殿方と行動されることが多いわ。誰か良い方はいらっしゃらないかしら?」

ええっと、若い方なら同級生とかは?

「同級生は、結婚が遅くなるのは良いけど……アンドリューは嫌よ!」

えっ、エリザベスとアンドリュー? 驚く組み合わせだ。

「ああ、同じ伯爵家同士だから、縁談は持ち上がりそうね」

アビゲイルがクスクス笑う。アビゲイルも伯爵家だけど?

「領地が近いから、縁談というか、便利だという感じの話があるのよねぇ。でも、アンドリューの世話を一生焼く気にはならないわ」

エリザベスは、綺麗な眉を顰める。

「あっ、フィリップス様は?」

二人は少し考えて、エリザベスは「良いかも?」と好感触な返事、アビゲイルも「年は若いけど良いかな」って感じでモテモテだ。

歴史馬鹿だけど、将来は外交官だし、華やかなエリザベスは外交官夫人に相応しい。

大人しくてしっかりしているアビゲイルは、一緒に歴史の本とか読んだりしそうな感じ。

「ベンジャミン様も良い方だわ」と言ったら、呆れられた。

「ベンジャミン様は侯爵家の嫡男よ。公爵家か、侯爵家のお嫁様を貰われるわ。伯爵家のお嫁もありかもしれないけど、私には荷が重いわ」

エリザベスは、気ままに生きたいみたい。それは、分かるよ。

「侯爵家は、勝手にやりくりできないから、パス!」

アビゲイルは、自分で一家をやりくりするのが夢みたい。それは、侯爵家では無理なんだね。

「ペイシェンス様、カエサル様も駄目ですわよ。まぁ、ペイシェンス様はご自分が子爵ですから、ありと言えば、ありですけどね」

エリザベスの言葉に驚いた。

「エリザベス様、私が公爵家の嫁が務まると思われますの? それに、カエサル様と私だったら、一日中錬金術ばかりして、パーティや仕事は忘れそうですわ」

「そんな事をしていたら、バーンズ公爵に叱られますよ」

エリザベスに笑われた。

「だから、あり得ません!」

三人で、馬鹿な話で笑う。

「女の子は、幼い頃は、憧れの王子様と結婚するのを夢に見るけど、身分違いの相手との結婚は上手くいきませんわ。でも、あまりに貧乏なお相手は嫌だし、爵位持ちの方は少ないのよ」

なかなか結婚相手を見つけるのは難しそうだ。二人は裕福な伯爵令嬢なのにね! ああ、だから余計に難しいのかも? ラシーヌも子爵家に嫁いだけど、アマンダ伯母様は伯爵家以上を狙っていたから、少し悔しそうな口調だったな。

午前中は、よく知った二人だったので、割と簡単だったけど、午後はかなり手間取りそうな予感。

夕食にパーシバルを招待しているから、それが楽しみ!