作品タイトル不明
第265話 好戦的な高校生
「君らは八神さんの話をどう思った?」
九条さんと天海さんに聞いてみる。
「外国は怖いと思いましたわ」
「あと八神さん」
まあ、そこはね。
「生贄信仰の謎の組織っていうのは?」
「悪魔教団でしょうね……」
「あんなのが複数あっても困るしねー」
やはりこの2人もそう思うか。
「このことは家に伝える?」
「もちろんですわ。大事な情報です」
「悪魔教団に関しては完全に協会と協力するって感じだからねー」
やはり脅威か。
「気を付けなよ。多分、君らにそういう仕事は来ないと思うけど」
「いやー、来ますよ。むしろ積極的ですかね?」
「長野もそうだしね。それにユウセイ君もキョウカも関わったんでしょ? キョウカに至っては上級悪魔を仕留めたって」
残虐の悪魔ディオンね。
一応、俺が倒したことにしたんだが、さすがにあの言い訳では無理があったか。
まあ、色々と誤魔化したが、キョウカが仕留めたことに間違いない。
「君らは大丈夫?」
「一人でやるわけではありません。怖い人だなとは思いますが、八神様は頼りになる方です」
「強いしねー。もし、あの人が悪魔教団だったら私達はバラバラ死体コース」
大丈夫だよ……協会もそこだけはしっかり調べているはずだから……
「そっちは何か調べてないの?」
「どうでしょう? お父様は何か知っているかもしれませんが、こっちに情報が来ることはないでしょうね」
「上の方で話し合っているんじゃないかな? それこそ桐ヶ谷さん」
この前話した感じでは特別な情報はなさそうだったが……
「山田さんはどうなんですか? 情報はありません?」
あるけど、言えない。
「特には……俺は桐ヶ谷さんから依頼をもらって、それをこなしているだけだからね」
「あー、桐ヶ谷さんのコマでしたわね」
そんな認識なんだ……
「よく仕事をくれるんだよ。なんか働かない人が多いんだって」
「まあ、ウチの八神様もそんな感じですね。楽に大金を得られるならそこまで仕事をしなくてもいいって感じでしょう」
「私らも最初の報奨金でハワイに行こうって話してるしねー」
楽しそうだね。
でも、この子達もそんなに精力的に働く気はなさそうだな。
「ほどほどにね」
「もちろんですわ。適当に……ん?」
テーブルの上に置いてある九条さんのスマホが鳴っている。
「おや? 八神様? 失礼」
九条さんはそう言って、スマホを耳に当てる。
「さっきまで一緒でしたが、ごきげんよう。どうかされましたか? ……はい……はい、少々お待ちを……山田さん、八神様が代われって」
九条さんがそう言ってスマホを渡してきた。
「もしもし?」
スマホを耳に当てる。
『山田さん、さっきの今で申し訳ありません』
「いえいえ。それよりもどうしました? 忘れ物か何かです?」
八神さんは手ぶらだったし、そういうのは見当たらないが。
『いえ、今、桐ヶ谷さんに先ほどの話をしましてね。そうしたら急遽、香港に飛ぶことになりました』
あー……確認か。
「桐ヶ谷さんも一緒です?」
『ええ。知人を紹介して欲しいとのことでした。それでこれから準備をし、明日にでも飛ぶかもしれません』
急だな。
でも、それだけのことなんだろう。
「わかりました……あ、九条さんと天海さんは?」
連れていかないの?
『急ですし、春休みとはいえ、外国はないかなと……それにそいつらがパスポートを持っているかも微妙です』
急だから無理か。
「じゃあ、2人ですね」
『そうなります。その旨を伝えてください。それともし、良かったらですが、私が帰ってくるまで面倒を見ていただけないでしょうか? 山田さんは信頼できますし、ミユもリコも昔から知っている一ノ瀬君や橘さんと一緒なら安心でしょう。もちろん、そちらのペースで構いませんし、断っても良いです』
高校生4人かー……
「どれくらいになりそうなんですか?」
『早くても1週間はかかると思います』
それくらいかかるのか。
「わかりました。どうするかは2人の意向を聞いてから考えてみます」
『よろしくお願いします。別に休みにしても良いです。ただ、絶対に2人だけで動かないようにしてください。その2人は未熟です』
魔力感知が苦手なのが致命的だもんな。
「了解です」
『それではこれで……』
電話が切れたのでスマホを九条さんに返した。
「何かあったんですか?」
九条さんが聞いてくる。
「さっきの話を桐ヶ谷さんに話したら香港に行くことになったんだって。このまま準備をし、明日には発つってさ」
「急ですね……」
「香港かー……あれ? そうなると、私達は? 明日、仕事をするんじゃなかったっけ?」
「あ、そういえば……」
2人が顔を見合わせる。
「八神さんは絶対に2人で動くなってさ。これは俺も同意。それでそんなに付き合えないかもしれないけど、代わりに2人の面倒を見てくれって」
「ほうほう。チーム山田に移籍ですか」
「キョウカが怖いなー」
だ、大丈夫だよ。
「2人がやる気があればだよ。八神さんは休みでもいいって言ってる」
「ふむ……どうします?」
九条さんが天海さんに相談する。
「休みでもいいけど、春休みなんだよね。時間ありすぎ」
「確かに……家にいても親がうるさいだけですし、ここは今後の成長を期待してご指導をお願いしますか」
「キョウカは?」
「ユウセイさんを盾にしましょう。あと、あのバカは褒めておけばいいです」
「それもそっか」
キョウカ、本当に評判があまり良くないな。
「どうする?」
「お言葉に甘えましょう」
「久しぶりに一ノ瀬と橘と仕事をするのも良いもんだー」
逆に俺の疎外感がすごくなりそうだな。
1人だけ年代が違うし。
「ユウセイ君、いい?」
「俺は別に構わないぞ。それよりもキョウカに聞けよ」
まあね。
帰ったら聞こう。
「じゃあ、2人共、また連絡するから。絶対に2人で仕事をしたらダメだよ」
「しませんよ」
「私達はどっかのキョウカちゃんと違って、安全第一なんで」
これに関しては否定できない。
まあ、ユウセイ君もなんだけどね。