軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第266話 もはや夫人を受け入れている山田……の巻

俺達はこのまま遊びに行くという九条さんと天海さんと別れると、家に帰った。

そして、ルリが淹れてくれたお茶を飲み、思い思いに過ごしながらキョウカ達の帰りを待つ。

すると、夕方の4時くらいになると、玄関の方から気配がした。

「ただいま戻りました」

扉が開き、ミリアムを抱えたモニカが入ってくる。

「おかえり。あれ? キョウカは?」

「えーっと……」

モニカがちょっと困った顔で身体を避けた。

すると、髪を上げ、優雅な顔をした偽令嬢キョウカさんが現れる。

キョウカはいつものドレスではなく、純白でちょっと薄着なパーティードレスを着ていた。

ノースリーブだし、寒くないのかなと思ったが、それは口に出してはいけない。

「おー、キョウカ、綺麗だね」

「お前、寒くねーの?」

ユウセイ君はユウセイ君だなー。

「執事はシャラップ! ささ、あなた」

キョウカが手を差し出してきたので立ち上がり、その手を取る。

「本当に綺麗だね。でも、着て帰ったんだ?」

「着る機会はあまりありませんし、まずは夫に見せることにしました。どうです?」

「上品だねー。すごく似合うよ」

しかし、背中がざっくりだな……

こういうもんか?

「ふふ……ありがとうございます。ダンスでもします?」

「踊れないからパス。それよりコタツに入りなよ。寒いでしょ」

着替えるのが一番だと思うけどね。

「そうしますか」

キョウカがコタツに入ったので俺とモニカも入る。

「コタツが似合わないな」

ユウセイ君が苦笑いを浮かべた。

「それは仕方がないでしょ」

むしろ今日の夕食が蕎麦なことだよ。

絶対に似合わない。

「お姉ちゃん、紅茶の方が良いですか?」

ルリが空気を読む。

「ううん。熱い番茶がいい」

キョウカがそう答えると、ルリがキョウカとモニカの分のお茶を淹れ、2人の前に置いた。

すると、キョウカが番茶を飲む。

「あー、日本人だなー。この濃い番茶が私を日本人に戻してくれる」

上品な笑みを浮かべていたキョウカの顔が緩んだ。

「今日はそれを受け取った後にお茶会?」

「はい。試着したままでしたね。なんか一人だけ浮いてました」

他の3人は普通だろうしね。

「値段はどうだった?」

「わかりません。マリエル様が支払いはウチへって言ってただけなんで」

高そうなんだよ。

生地もすごいし……

「今度会った時にお礼を言うよ。モニカ、例の件は?」

もちろん、ポートリエ伯爵の探り。

「今度、マリエル様がお茶会を開いてくれることになりました。そこに参加し、情報を集めようと思います」

「御夫人方がいっぱい来るの?」

「ええ。派閥の貴族夫人ですね。まずは数人でしょうが、徐々に交流の輪を広げることになると思います」

なるほど……

「キョウカ、大丈夫?」

「大丈夫ですよ。お茶とお菓子を食べながらしゃべっているだけです」

ほとんどが初対面だろうにすごいな。

「モニカ、サポートをお願いね」

「はい。まあ、キョウカさんは社交的ですし、マリエル様のお気に入りですから大丈夫ですよ」

「そう? イジメとかない?」

多分、キョウカだけ年代が違うから心配。

「絶対にないです。上級悪魔を仕留めるだけの力を持った人間をいじめるような度胸のある人はいません」

普通に怖いか……

「血塗れ夫人とかあだ名がないよね?」

「どうでしょう……」

あるかもなー……

「大丈夫ですってー。それよりもタツヤさん達はどうでした? 八神さんと話をしたんですよね?」

「あー、それね……」

八神さんから聞いた話を説明する。

ちょっと刺激が強いかなと思ったが、説明はしないといけない。

なので、香港の噂から八神さんから聞いた生贄のまじないまですべて説明した。

「ふーん……そういう魔法もあるんですね。呪いって藁人形に五寸釘のイメージです」

俺もそれ。

「キョウカはそっち系に詳しくないの?」

「ウチは剣術などがメインです。ユウセイ君もだよね?」

キョウカがユウセイ君に説明する。

「そうだな。ウチも武術と一体化した魔法になる。そういうまじないは全然わからん」

2人はそんな感じがするな。

遠距離より近接戦闘ばっかりだし。

「だよねー。タツヤさん、八神さんと桐ヶ谷さんが香港に行って、解決しますかね?」

キョウカが聞いてくる。

「しないと思う。あくまでも情報集めで終わりだろうね。中国にいるかもしれない悪魔教団もやっぱりあくまでも中国支部だろうから」

「本部を叩かないとダメですか……」

本部は異世界だろう。

「難しい問題だよ。それでね、八神さんが香港に行っている間、九条さんと天海さんのことを頼まれたんだよ」

桐ヶ谷さんからも気にかけるように言われている。

「ミユとリコですか……」

「別に断っても良いらしいけど、どうする? 嫌なら断るけど」

ギスギスしたところでやっても効率的じゃないしね。

「いや、別にいいんですけど、5人チームは多すぎませんかね? まあ、報酬の配分は考えないでいいと思いますが」

研修の高校生は報酬がゼロだからな。

俺が全部、もらう。

非常に心苦しい……あー、だから八神さんも1万円を渡しているのか。

「多いとは思う。でも、そこまでがっつりやるわけじゃないよ」

「ふーん……まあ、良いんじゃないですかね? 私は反対しませんよ。あの2人が卒業後、正式に協会に入るなら同僚ですしね」

キョウカも大人になったなー。

さすがは辺境伯夫人だ。

「じゃあ、そんな感じで進めるよ」

その後、ルリが蕎麦を作ってくれたので皆で食べた。

やっぱり優雅な貴族夫人が蕎麦をすする姿は非常に違和感があった。