軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第264話 キョウカ「ウチはセーフ!」

「や、八神さん、それで話は?」

やべっ。

声が上ずった。

「以前、私が香港で休暇をしていたと言いましたね?」

「ええ。バカンスでしたね。羨ましい限りです」

まあ、俺も異世界で楽しんでいるけど。

「何故、香港かというと、昔から知り合いがいるからなんです。滞在費を出してくれたんですよ」

へー……良い友達だなー。

うん、良い友達だなー……

「マフィア?」

こら、ユウセイ君!

君は怖いもの知らずにもほどがあるだろ。

「ええ」

頷いたー!

ミユミユとリコリンが俯いて、手を繋ぎだしたよー。

「あのー、八神さんがそのマフィアさんってことはないですよね?」

「もちろんですよ。さすがにそんな人間が協会に入れるわけないじゃないですか」

ほっ……

ミユミユとリコリンもほっとしている。

「仕事関係ですか?」

「ええ。こういう仕事なんかは裏社会でこそ需要がありますから必然ですね。他の方々も少なからず、関係はあると思いますよ」

加賀美さんもかな?

いや、あの人はそれ以上の悪魔を使い魔にしてたわ。

「それでその香港がどうしたんです?」

「香港に滞在している時にマフィアの知人から聞いたことがあるんですよ。生贄信仰をしている組織があるとね」

生贄信仰……

「生贄というと……」

「実を言いますと、こういった黒魔術やまじないは昔から世界各地で行われています。昨今は人間ではなく、動物を使ったりもしますが、裏では人間を使ったりもします。私もどちらかというと、そっち系の魔法使いになります」

ひえっ……!

ミユミユとリコリンの顔が再度真っ青に!

「八神さんもですか?」

「勘違いしないようにして頂きたいですが、私もまじないは行いますが、生贄系はあまりしません」

あまりって……してんじゃん。

「生贄で魔法ですか?」

「負の力を集めると言いましょうか……まあ、昨今はヘビとか鶏を使いますね。しかし、一番良いのは子供や処女と昔から相場が決まっております」

八神さんがそう言うと、ミユミユとリコリンが真っ青な顔を見合わせる。

「子供?」

「処女?」

「「あわわ……」」

やっぱり帰った方が良かったんじゃないかな?

今、チーム八神の結束に大きなひびが入っているぞ。

「八神さんも?」

「日本でそんなことできませんよ。手段は習いましたが、私は使いません。というのも実は私は元々、神社の子でしてね。そういうまじないから守るのが本職です。呪うすべを知らないと守れないから学んだだけです」

神職の方だったのか。

それでかっこいい苗字なのかな?

「それは立派な職業ですね」

「いえいえ。子供の頃からやんちゃをし、ついには勘当された身ですよ。それでもぐりの呪術師としてマフィアや暴力団の仕事を請け負っていたのです」

ほー……色んな事情がありそうだな。

「大変ですね」

「いえいえ。儲かってますし、こうやって協会にも就職できましたから。そういった事情でそういう情報なんかも私の耳に入るんですよ。中国は人口も多く、都会は素晴らしいですが、そこから少し外れれば貧困な地域も多いです。そういった地域では人身売買、誘拐なんかも多いわけですよ。いや、これは別に中国に限った話ではありませんし、何なら日本でも年間で何万人もの行方不明者が出ています」

物騒だな……

ちょっと怖い。

「それらが生贄の対象ですか?」

「もちろん、全部じゃないですよ。行方不明も色んな事情がありますからね。借金や人間関係で蒸発する人もいます。それに誘拐や人身売買も必ずしも黒魔術の材料に使われるということはありません。似たようなことになりますがね」

こわー……

高校生の3人に外すように言ったのも頷ける。

子供、いや、高校生に話す内容じゃない。

「中国は多いんですか?」

「アジアでは多い方ですね。貧富の差が大きい国は多い傾向にあります。世界中の呪術師が買うわけです。そんな国で生贄を信仰とする謎の組織があり、大量に子供を購入しているという噂がマフィアの中で広がっているそうです」

信仰だもんな……

「悪魔教団?」

「その可能性が非常に高いと思います。教団関係者のリストを見て、外国人がチラホラいたと言いましたね? そこに中国人らしき名前は?」

あった……

「ありましたね。漢字で3文字の名前です」

あれは日本人っぽくなかった。

「そうですか……やはり噂は事実ということでしょうね」

「そんな気がします。このことは協会には?」

「これから報告します。まずは山田さんの意見を聞きたかったんです」

こっちは聞きたくなかったような、大事なことだから聞いて良かったと思うような……

「八神さんは悪魔教団をどう考えますか?」

「まあ、我々の敵でしょうね。とはいえ、海外となると動くのは厳しいかと。どうしても縄張りというのがあります。協会やこの子達の家でもそういった争いがあるようですし、それが国を跨げばもっとでしょう。今は備える他にありません」

やっぱりこっちの世界ではどうしようもないな。

「わかりました。お互い、気を付けましょう」

「ええ。それでは私は先に失礼します。このまま協会に向かい、報告してきますので。2人共、好きなだけ飲み食いしろ」

八神さんはそう言って懐から財布を取り出し、万札をテーブルに置く。

そして、立ち上がると、そのまま店をあとにした。

「今日もお小遣いをもらいましたわね」

「これをファミレスとかでもするんだよー。どう思う?」

パパ活かやーさんに飼われている家出少女。

確かに笑えないわ。