軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

「お前を愛することはない」と言われたけれど、仲間になってもいいですか?

葉っぱや花をもしゃもしゃと食べる。

お腹はいっぱいだったけど、心が満たされていく。

「おや、コレッティーナ様! ちょうどいいところに。この前干した根が乾いたのですじゃ」

「本当ですか! そしたら、鍋で黒くなるまで 炒(いた) めないとですね!」

「ほほぅ。コレッティーナ様は博識でいらっしゃるのう」

デンガおじいちゃんが、あごひげを撫でながら言う。

「生活の知恵ですよ」

本当は漫画で読んだ知識だけど。

問題は、厨房で根っこを炒めていいかだよね。私専用のキッチンが完成するまでは、乾燥したものを保管しておくってのも手だけど、味見くらいはしたい。

「デンガおじいちゃん、鍋って持ってますか? フライパンでもいいです」

「残念ですが、持ってないですじゃ」

そうだよね……。

使用人たちは基本的に ナビレート伯爵家(ここ) に住んでるし、食事が出るから、料理はしない。

私も実家では、調理場の仕事を任された時にこっそりやってたもんなぁ。

せめて、何か鉄製のものがあれば……。

「あ、 斧(おの) ! 斧ありますか!? もしくは鉄製のスコップ!!」

「それはもちろんありますのじゃ」

「ちょっと借ります!!」

スコップを水場に持っていき、よく洗う。

次は簡易のかまど作りかな。

ここの庭園には、大きな石があるから作るのは簡単そうだ。

「コレッティーナ様、何してますのじゃ?」

「今から、ここで根を焼きます!」

「え!? ここでですかの!?」

「はい。デンガおじいちゃんも手伝ってください! あ、この石、重い……。んぎ、んぎぎぎぎ──」

とやっていれば、デンガおじいちゃんが持ってくれる。

「デンガおじいちゃん、力持ちですね!」

「ハッハッハ! 重いものは、わしに任せてくだされなのじゃ」

「ありがとうございます! えっと、作りたいものなんですけど……」

石の積み方を木の棒でガリガリと地面に書く。

「平たくて、重ねた時に安定感のある石で作ります。まずは縦穴を作って──最後に石を渡したら完成です!」

「なるほどじゃの。これなら、すぐにできますのじゃ。お任せくだされ」

「本当ですか!? ありがとうございます!! じゃあ私は、デンガおじいちゃんがかまどを作ってくれている間に、枝を集めておきます」

あとは、枯れ葉とか枯れ草もあるといいかな。

火種は、厨房から拝借するか、薄暗くなった時間にランプを持ってくるしかないか……。

それから、三十分ほどで簡易かまどは完成した。

「やったー! いい感じですね!」

「ほう。ここに火を入れますのかの?」

「はい。厨房で火種を取っています!」

「待ちなされ。そんなことせずとも、わしが火を起こしますのじゃ」

デンガおじいちゃんは、板状の木にナイフで穴を作ると、木の棒をクルクルし始めた。

こ、これは、私ができなかったやつ!

実家で試したけど、上級者向けで断念したんだよね……。

デンガおじいちゃんすごい!!

「よし、かまどの上にスコップのせて、その上に根っこを並べてー♪」

かまどには火が入り、熱されたスコップの上の根っこからも煙が出始めた。

「ほほぅ。スコップが鉄板代わりというわけじゃの……。やりますなぁ! コレッティーナ様!!」

「へへへ。食への執念の勝利ですよ」

煙は、青空へ上っていく。

そろそろ根っこもいい頃合いかな。

「デンガおじいちゃん、そろそろ次の根っこにします。……って、分厚い布とお水!」

しまった!

このままじゃ、根っこがコゲコゲになっちゃう……。

「こちらでございますか?」

「──っ! デザー!?」

どうしてここに!?

「他の庭師から、コレッティーナ様とデンガが何かし始めたとの報告を受け来てみれば……。デンガ! 火を使う時は消火のことを考えなさい!! コレッティーナ様もです。強行突破ではなく、私も頼ってください」

「…………デザー」

何て、優しい……って、感傷に浸ってる場合じゃない!

根っこを救出しないと!!

「借りますね」

と手を伸ばしたところで、布は高いところへ行ってしまう。

「貸してください! こげちゃいます!!」

布に向かってピョンピョンと跳ねるけれど、デザーは手を空へと伸ばしてしまったので届かない。

こうなったら、タックルしてよろめいた隙に拝借するしかない……か。

持ってきてくれたことに感謝はするけど、今は時間がない。

デザー、ごめんね。

助走をつけるために少し距離を取る。けれど──。

「こういう時は、何と言えばいいのですか?」

そう聞かれて、踏み出そうとした足を止めた。

「……? 貸してください」

「それも悪くはありませんが、やけどの恐れがあることをコレッティーナ様にさせるわけには参りません。こういう時は「やって」と言えばよろしいのですよ」

優しく微笑みながら、デザーは根っこを救出してくれる。

「さて、このあとはどうなさいますか?」

「あそこの根っこも焼きたいです。……やってくれますか?」

すごくドキドキする。

デザーのことだから、頷いてくれるってわかってる。

なのに、このもぞもぞとする気持ちは──。

「まさか、恋!?」

「ほっほっほ! 旦那様に嫉妬されてしまいますね。ですが、それはお願いへの緊張でございましょう」

「……緊張?」

「はい。コレッティーナ様は、何でもご自分ですることに慣れていらっしゃいます。頼んだり、誰かに何かをしてもらうという経験が少ないのではございませんか?」

たしかにナビレート伯爵家に来るまでは、自分のことは全部自分でやっていた。

お母様が生きていた時は違ったけど、それも小さい頃までだし……。

小さく頷けば、デザーは腰をかがめ、私と視線を合わせた。

「ここは、コレッティーナ様のお家です。私たちを頼ってください」

「頼……る……」

「はい。コレッティーナ様が頼ってくださいますと、私たち使用人は嬉しいのでございますよ」

「そうですのじゃ! わしにも、たくさん頼ってくだされ」

いい……のかな。

ここを家だと思っても……。

寮付きの職場だと、私も仲間だと思っても……。

「ありがとうございます! デザーも、デンガおじいちゃんも、私のこと頼ってくださいね!」

このお屋敷で、仲間になれたら嬉しいな……。