軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ボールドラゴン

「先制攻撃に始まり、上から目線で武器を寄こせとか色々と調子に乗ってぶちかましているようだが……その原因がビッチとなると尚の事腹立たしいな」

お義父さんがタクトを指差しますぞ。

これは許可をしてくださったと言う事で間違いないですな。

なので俺はズイッと前に出ますぞ。

タクトと教皇は揃って構えてますな。

後ろには中々に人員がいる様ですぞ。

まあ、色々と収穫となるべき案件は理解できましたな。

ですがタクトの態度は俺も正直腹が立っているので、しっかりと報いを受けてもらいますかな。

そうでないと錬も樹も浮かばれないですぞ。

「さて、お義父さんの許可も得られたので、お前等を処理しなくてはいけませんな」

「ブブブ! ブブヒー!」

何故かそこでタクトの豚が俺を指差しながら鳴き喚きました。

うるさい豚ですな!

殺処分される豚の分際で、俺を指差すとはどういう事ですかな?

「何!? 確かにその口調、その声……お前! フィロリアルマスクだって言うのか!?」

おや? 俺のゼルトブルでのリングネームを知っているのですかな?

しかし、何故タクトがフィロリアルマスクを知っているのでしょうか?

俺が疑問符を浮かべているとお義父さんが言いました。

「おい、フィロリアルマスク。正体がバレてるぞ」

おかしいですな。

フィロリアルマスクは秘密の戦士。

誰にも正体を見られた事はないはずですぞ。

やがて、俺の脳裏にゼルトブルでの出来事が駆け巡り、とある人物が浮かんできました。

「ああ、なるほど。ボールドラゴンはタクトだったのですな」

あの時に殺していればこのような事にはならなかったのですな。

これでもうループ時の対策が取れましたな。

コロシアムに現れたタクトをぶち殺してやれば良いだけですぞ。

「何か知っているのか?」

お義父さんが俺に尋ねてきました。

「ゼルトブルのコロシアムで何度かやりあったのですぞ。まさかタクトだったとは気付きませんでしたな」

「ほう……こんな事を仕出かす奴なら覚えておけ!」

「もちろんですぞ」

この元康、一生の不覚ですぞ。

タクトの事だからフォーブレイ辺りでやりたい事をやっているだけだと思っていたらあのような場所にいたのですな。

「フィロリアルマスク! ここで会ったが百年目! ゼルトブルで俺に勝ったからって調子に乗ってんじゃねえぞ! あの時は卑劣な能力低下の魔法が掛っていただけで俺が本気になれば――」

「グングニルⅩ!」

ベラベラとうるさいタクトは無視して、一番の懸念であるタクトのドラゴンの脳天をぶち抜いてやりますぞ。

ドラゴンは俺達をバカにする様な表情のまま頭に槍が突き刺さりました。

「な――!?」

タクトの近くにいたドラゴンの頭が消し飛び、鮮血を出しながら倒れ、徐々に本来の姿に戻り始めました。

よし、ですぞ。

これで応竜の心配はなくなりましたな。

「まずは挨拶ですぞ。それとタクト、お前が幾ら本気になろうと俺には勝てませんぞ」

いきなりのカーススキルらしき攻撃へのお返しですぞ。

「い、今……!?」

タクトがドラゴンの死体と俺を交互に見ながら絶句していますな。

さて、面倒ですから立て続けにやりますぞ。

「誰が調子に乗っているのですかな? 自己紹介はその位にしておけですぞ」

槍に手を添えながら俺は久しぶりにあの言葉を紡ぎますぞ。

おや? 俺の脳裏に更なるワードの追加が浮かんできました。

「愛の狩人が命ずる。聖武器よ。眷属器よ。愛の狩人の呼び声に応じ、愚かなる力の束縛を解き、目覚めるのですぞ!」

タクトの手に宿っていた剣や弓が光り輝きますぞ。

それから更に四つほど光り、俺達の方に飛んできました。

「な、なんだ!? 何が起こっているんだ! ぐ……力が抜けて行く! な、何をしやがった!」

タクトの手から聖武器と七星武器が離れて俺達の周りを漂いますぞ。

毎度同じ台詞をタクトはぶちかましますな。

ここでお義父さんがゾクゾクする様な素敵な笑みを浮かべました。

盛り上がってまいりました。

やはりお義父さんはこうでなくてはいけませんな。

「正しい持ち主の手に収まる為に仮の持ち主を選定したに過ぎない、だったか……それはむしろお前の事を言ってるんじゃないか? 仮の持ち主」

「て、てめぇえええええええええええ!」

おお、タクトが瞬間湯沸かし器の様に怒りを露わにして激怒していますぞ。

全く怖くないですな。

「返せ! この泥棒野郎共!」

「それはお前だろ? なにが正しい持ち手だ。救世の英雄だ。ただの武器を強奪するだけの卑劣な野郎だっただけだろ」

「うるさい! 俺は選ばれた存在なんだ!」

「ハッ……自分で言ったら格好が付かないな」

本当にコイツは馬鹿の一つ覚えとしか言いようがないですな。

選ばれた存在はお義父さんの事ですぞ。

なんせこの世界を救った真の勇者ですからな。

「よくもレールディアを殺しやがったな! 挙句正しい持ち主である俺から武器まで奪うとは許せねえ! みんな! コイツ等を皆殺しにするぞ!」

などと叫んでいるタクトを無視して、俺は動きますぞ。

俺はタクトの隣で隙あらば攻撃しようとしていた教皇の胸倉を掴んでから上に投げ飛ばし、突き刺してやりますぞ。

タクトとその豚共は俺が近づいた事すら気付かなかった様ですな。

「バーストランスⅩ!」

「な、何!? か、神――」

槍の先に突き刺さっていた教皇が一瞬で爆散しました。

まずは一人、ですな。

いえ、既にドラゴンを倒しているので二人ですかな?

「汚い花火だな」

バーストランスの爆風を見て、お義父さんが吐き捨てました。

「あらー……」

「えーっと……私達は状況に付いていけていないんですが、どうしたらいいでしょうか?」

「下手に動かないでくれ。守り辛い。この調子なら元康に任せればなんとかなるだろう」

「わ、わかりました」

素早くタクトから距離を取って俺は更にタクトの方を睨みますぞ。

貴様には数限りない恨みがありますからな。

軽く仕留める事も考えましたが下手をしたらフィーロたんが怪我をしかねなかった危険な事をやりました。

思えば最初の世界でもフィーロたんを傷付けておりましたな。

絶対に許しませんぞ。

「な、なんと……まさに神の如き強さ」

「私達は騙されていた……ああ、神よ。どうか怒りを収めてください」

「剣や弓の勇者は偽者でも、槍の勇者は本物だったのだ」

「なのに私達は一時の気の迷いで聖武器を幾つも手にする事が出来る悪魔を受け入れてしまった」

「どうか我等をお許しください」

教皇の後ろにいた三勇教徒が何やら祈る様に両手を合わせましたな。

残念ですが、許しませんぞ。後で処分してやりますぞ。

一瞬の出来事にタクトは俺の方を見て青い顔をしておりますな。

「この世界は既に俺が攻略済み……でしたかな? それは俺達の台詞ですぞ」

まあ、しっかりと世界を波から救ったのはお義父さんですが、その仲間として戦っていた俺も少し位は語る資格があると思いますぞ。

「何言ってやがる!? この強さ……まさか」

「残念ながらタクト、何か心当たりがあるのかもしれませんが、おそらく違いますぞ?」

確かお義父さんの話ではコイツは転生者、波の元凶である奴の配下だそうですな。

しかも配下同士で殺し合いをするという、どうしようもない連中ですからな。

そんな奴と同類として扱われるのは不服ですぞ。

「タクトだったか。コイツって異世界人が召喚される場所で、出待ちしてそうな奴だよな」

「そうですな。自分よりも強い奴が絶対に出て来れない様にしてますぞ」

「それで波から世界を救えるのかね? そんなに甘いのか?」

「全然甘くは無いですぞ。むしろ俺は波に一度負けましたからな」

「これだけの強さを持ってる元康が敵わない程の敵が居るのに、この程度で攻略済みとか、笑わせてくれるな」

おお、お義父さんがここぞとばかりに俺の話相手になってくれていますぞ。

タクトへ当て付けているのですな!

これがお義父さん流の挑発ですぞ。

効果の程はタクトの顔を見ればわかりますぞ。

「て、てめぇえええええええええええ! 調子に乗るんじゃねえぇえええええええ!」

「お前、さっきからそればっかりだな」

「ブブブー!」

「返せ! それはタクトの物なのじゃ!」

「フィロリアルなんて連れて気持ち悪い! 絶対に許さない! この泥棒!」

「は……これで情報は出揃ったな。もう話すのもウンザリだ。元康、やれ」

お義父さんは俺の方を向いて首元で親指を立てて、線を切りました。

ついに許可がおりましたな。

では殺処分ですぞ。

ああ、せめてもの手向けにする良い皮肉を閃きました。

「ではタクト、そんなに聖武器が欲しいなら俺の槍をあげますぞ」

「は?」

「しっかりと受け止めないと大変な事になりますぞ。では、受け取れですぞ!」

うるさい豚は元よりタクトの取り巻きが存在する事こそ世界の害悪ですからな。

何より波が発生しているのでサッサと終わらせないといけません。

「エアストジャベリンⅤ!」

若干加減したエアストジャベリンをタクト目掛けてぶちかましてやりました。

「うわ――」

タクトは僅かに体を逸らして避けてしまいました。

まあ一直線に放ったから避ける事は出来るでしょうな。

ですが俺の放ったエアストジャベリンは一直線に飛んで行き、タクトが避けた所為で後ろに居たメイド豚に命中し、ぶち抜きますぞ。

「ブ――」

「は……?」

驚愕の目でタクトはぶち抜かれたメイド豚を見た後、俺を見ました。

「ほら、掴まないからこうなるのですぞ」

お義父さんから聞いた話によると最初の世界でもタクトは避けて仲間に攻撃が当たったらしいですな。

ここで避けるとは……馬鹿ではないですかな?

確かに避ければダメージはゼロですが、それは自分の後ろに何も無い時だけですぞ。

大事な物であるなら身を挺してでも守れるはずですぞ。

咄嗟にそれが出来ないからこそタクトは勇者ではないのでしょうな。

「て、てめぇえええええええええええええええええええええ!」

何度目かのタクトが絶叫していますが、もう問答に付き合うのも煩わしいですぞ。

なのでサクッと仕留めるとしましょう。

「では赤豚の所へ送ってやりますぞ! エイミングランサーⅩ! ブリューナクⅩ!」

出来る最大範囲のエイミングランサーでタクトの取り巻きや三勇教の連中に狙いを定め、更にブリューナクを横薙ぎにぶちかまして蒸発させてやりますぞ。

脅威となりえるドラゴンは既に処分してますからな。

心配は何もないですぞ。

「くたばれですぞ!」

俺の投擲した槍が幾重にも分かれて飛んでいきます。

タクトの取り巻きと三勇教徒を蜂の巣にしてやりました。

「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」」

そこから更にブリューナクの光が連中を一掃していきますぞ。

塵一つ残さずに消してやりましょう。

「「「ブヒィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!?」」」

そしてエイミングランサーを受けて動けなくなっているタクト自身にも命中しますぞ。

タクトは絶望でも恐怖でもない……呆けた顔で仲間が光に消えて逝くのを眺めていますな。

ですが、次はお前の番ですぞ。

ブリューナクでそのままタクトを巻き込んでやります。

やがて、ようやく己のピンチに気付いたのか、大きな声を上げ始めました。

「ぎゃあああああああああああ――――…………」

一瞬にしてタクトとその取り巻き、そして三勇教徒の掃除は終わりました。

まあ波の最中に死んだので、世界の栄養になったでしょう。

最初の世界のお義父さんの話では、確か波での死者の魂とはそう言う物になるそうですぞ。

そういう意味では、少しは役に立ちましたな。

「こんな物ですな」

「半端ねー! やっぱ槍の兄ちゃんってすげー強いんだな!」

キールが興奮しながら感想を述べてますな。

そうですぞ。ですが最強はお義父さんとフィーロたんですぞ。

「キール……あの蹂躙を見て、そんな感想を言えるお前の方が凄いぞ」

「え? いけねーの?」

お義父さんが疲れた様な表情でキールに言っています。

まあ、確かにタクトを相手にするのは疲れますぞ。

主に精神が、ですが。

「あの……勝利ムードになってますが、波はまだ終わってませんよ?」

「そうだったな。お前等、ふざけた連中の一掃は済んだから波を鎮めるんだ!」

「お、おー! けど何か後処理みたいな感じがしねえ?」

キールが首を傾げながらお義父さんに答えますぞ。

HAHAHA。

何を勘違いしているのですかな?

どちらかと言えばタクトの方がおまけで、波が本体ですぞ。

「否定はしないが、イレギュラーな事態だったんだ。後でアイツ等が何だったのか詳しく元康から問いただすから、お前等は波に集中しろ」

「もちろんだぜ! みんな! 被害を出さない様に行くぞ!」

「「「おー!」」」

「フィロリアル達もキールくん達に負けない様にがんばる。そうすれば今日は御馳走」

ルナちゃんがキールの掛け声に合わせてフィロリアル様を激励しますぞ。

するとフィロリアル様達も俄然やる気を見せて声を上げます。

「「「わー! しゅっぱーつ!」」」

土煙りを上げながらフィロリアル様達とキール達が近隣の村や町を守る為に走って行きました。

うぉおおおお!

タクトの所為でテンションを下げられましたが、俺も一緒に駆け出せばよかったですな。