軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

分岐する世界

「行きますぞ!」

後方に儀式魔法の合図を出しますぞ。

すると、後方から様々な儀式魔法、竜巻や隕石、裁き等の儀式魔法が応竜目掛けて放たれます。

「アル・リベレイション・ダブルファイアストームⅩ!」

両手で魔法を唱えて俺は応竜に向けて放ちました。

二つの巨大な炎の竜巻が応竜を取り囲むように回って雨雲や霧に変化して逃げようとする応竜を焼き焦がしますぞ。

「――!?」

やがて応竜は二つの炎の竜巻にもみくちゃにされながら錐揉み回転をして浮かび上がります。

これだけ力を込めても、生きているとはタフ過ぎますぞ。

「ブリューナクⅩ! グングニルⅩ! 流星槍Ⅹ! エイミングランサーⅩ!」

トドメとばかりに俺はスキルを放ちます。

後は……放つのにとても時間が掛る……実用度外視のスキルを使いますかな。

お義父さん曰く、オーバーキルでしょう。

ですが、勇者がどれだけの存在であるかを見せてやりますかな?

「ルナティック・ジャッジメントⅩ!」

槍に力を込めて俺は高らかに跳躍いたします。

そして狙いを定めると、槍が空中でピタリと硬直しますぞ。

俺は槍に体重を預けたまま、様々な魔法とスキル、儀式魔法の一斉放射を受けて硬直している応竜を見つめます。

槍の先に大きな魔法の玉が作り出されますぞ。

その玉が槍に吸い込まれるまでの時間……チャージ時間が果てしないほど時間を必要とするのですぞ。

ブリューナクとは次元が違う程に必要時間があります。

力を込めれば込めるだけ短縮出来るブリューナクとは一線を越えるほどの必要チャージ時間を、どうにか使える領域までSPと魔力、EPを集約させます。

やがてカッと槍全体が輝いたのを確認した俺は、応竜に向けて放ちました。

「これで……トドメですぞ!」

一斉射撃のダメージから回復の兆しを見せていた応竜に更に動きを抑えるバインドクロスという杭で動きを止める拘束スキルを命中するまで放ちます。

かなりギリギリでしたな。

ガツンとバインドクロスによってロックされた応竜……まあ水になるので、抑え込むのが大変でしたが、止める事は出来ましたぞ。

ルナティック・ジャッジメントが応竜に命中し、その中心で一度、爆縮をした後、巨大な爆発を起こしましたぞ。

俺達の視界が光で埋め尽くされました。

「うわ――」

「な、なんて力だ」

「すごーい!」

「これでおわりー?」

「たおせたのかなー?」

メルロマルク軍とフィロリアル様達は目がくらみながらも各々の感想を述べていますな。

俺も光を手で遮りながら視界の数字に目を向けますぞ。

10という数字が明滅しております。

どうやら応竜を仕留める事が出来た様ですな。

前回の戦いはやはり倒せていなかったのでしょう。

あるいは他の四霊の撃破猶予時間内に倒したから、とも考えられますな。

ここから同時撃破までの猶予時間があると考えるのが無難でしょうな。

バラバラとなった応竜の死骸が降ってきましたぞ。

どうやら、液化したり再生する気配はありませんな。

俺が唱えたプロミネンスの効果も切れて、空は一面の青空となりました。

「「「わぁああああああ!」」」

メルロマルク軍とフィロリアル様達の歓声が聞こえてきます。

「勝利に浮かれてはいけません! まだ、決まった訳じゃないのですから」

女王の言葉はもっともですな。

まだ、反応から鳳凰と霊亀は生きていて、麒麟と応竜を復活させようとしているのですぞ。

残り時間は……体感で6分くらいですかな?

なんて思いをしながら一分経過した時、8という数字が明滅しましたぞ。

後は7……霊亀ですな。

パンダ獣人とコウとルナちゃんですぞ。

少々パンダ獣人では荷が重すぎましたかな?

コウとルナちゃんは善戦していると思いますぞ。

「……」

俺はフィロリアル様とメルロマルク軍の方へ近づいて成り行きを見守りますぞ。

「キタムラ様、経過はどのようでしょうか?」

「後は霊亀だけですぞ」

残り時間は……おそらく2分を切りましたぞ!

やばいですな。

作戦失敗も視野に入れなければいけませんぞ。

「あ……」

フィロリアル様が青空に浮かぶ青い砂時計を発見しております。

今にも満タンになる寸前にまで青く輝いた砂時計がゆっくりと降りてきていますぞ。

もしや……あそこから応竜が再度出現するのですかな?

と言う所で、7の数字が明滅して砂時計の数字が……?

パアアアアアアアっと、青い砂時計から青い閃光と共にドーム状の何かが風の様に俺達を通り過ぎて行きました。

目がチカチカしますな。

「い、一体何が……」

「四霊は全て倒せたと思いますぞ。全ての青い砂時計の数字が点滅しましたからな」

「では、先ほどのは討伐した証でしょうか?」

「……」

おかしいですな。

鳳凰を倒した時、こんな光はなかったはずですぞ。

お義父さんと相談した方が良いでしょうが、視界の数字が……?

――こうして世界は救われました。

分岐する世界 発動条件を満たしました。

これでよろしいですか? 0:59

→はい/いいえ

という項目が出現しましたぞ。

これはなんですかな?

世界が救われたと書かれていますが、むしろ世界はめちゃくちゃになっていると思いますぞ。

それと……霊亀や鳳凰討伐後の、次の波の到来時間の砂時計が影も形もありません。

と言う所でお義父さん達がポータルでやってきました。

「元康くん! そっちは上手く行ったはずだよね!?」

「やりましたぞ」

「うん。俺も確認してて、打ち合わせ通りに合流しようと思って来たんだ」

するとすぐにユキちゃん達とパンダ獣人がポータルでやってきましたぞ。

「一体何が起こったか、みんなの話を聞いてみよう。四霊は……倒せたのかな?」

「……」

「……」

「……」

その場に居るみんなが声を出せずにいますぞ。

なんとなくですが、違う結果になったのではないかと言う結論が出てきますぞ。

「俺は麒麟をサクラちゃんやメルティちゃん、フォーブレイの人達と倒せたと思う」

「サクラがドカーンと麒麟の頭を叩いたよ?」

「サクラちゃん凄かったよね」

「うん、メルちゃんも一緒に戦ったよ」

「タクトの仲間だった人は……事実を知らずに特攻して行ったけどね。タクトがここにいないけれど、国を守るんだって……」

ふむ、敵ながら少々同情してしまいますな。

まあタクト達を殺したのは俺なので、同情するのもアレなのでしょうが。

「俺も応竜を倒しましたぞ。そういえば変な冒険者共がいきなり現れて突撃し、蒸発しましたな」

守る暇もありませんでしたぞ。

アレは何だったのですかな?

「えっと……状況的に仕方なかったのかもしれないけど、元康くん、なんで応竜を麒麟の次に倒したの? 打ち合わせだと最後だったはずなんだけど……」

「すっかり忘れておりましたな! これが戦いの熱というモノでしょう」

「何開き直ってんの!? 結果的によかったから良いけど、次は守ってね!」

「わかりました! この元康、次からは作戦を忠実に守りますぞ」

お義父さんが何やら呆れております。

これでも大変だったのですぞ。

囮としてフィロリアル様が使われているのでハラハラしたのです。

「私もウィンディアちゃんや……不服ですがガエリオンと一緒に倒しましたわ!」

「確かな手応えはあったぜ!」

「うん、凄く強かった」

「みんなでがんばったの! お姉ちゃんが一番活躍してたの!」

「活躍したのは私ですわよ」

「お姉ちゃんなの!」

ユキちゃんとライバルが睨み合いを始めましたぞ。

俺はユキちゃんの方に付いて睨み合いに参加しますぞ。

「元康くん達は放置して……じゃあ、後はラーサさんとコウ、ルナちゃんの方だけど……」

「コウ悪くないよ! だから解体しないで!」

何やらコウがお義父さんに脅えた様に答えますぞ。

完全にお義父さんを恐怖の対象として見ていますな。

「えっと……怒って無いから話してほしいな。どうなったかを整理したいだけだし、倒せている様だし、俺も怒っていないよ。それに誰も悪いとは言ってないでしょ?」

「うー……」

「ルナもコウもちゃんと心臓倒した……何か前よりも攻撃凄かったけど、ちゃんと倒した」

コウの代わりにルナちゃんが言いますぞ。

「ラーサさんの方は?」

「攻撃がかなり苛烈で対処が難しかったね。援護をしてくれた連合軍にかなりの被害を出しちまったよ」

「そう……だけど倒せたんだよね?」

「頭を潰せたとは思うんだけど、最後の一撃とばかりにあのブレス攻撃が飛び出てね。連合軍に大打撃さ。後……なーんか変だったねぇ」

「変って?」

「一回、時間通りに頭と心臓を潰したはずなのに倒した事にならなかったのさ」

「それって……」

おや? お義父さんにも心当たりがあるのですかな?

「元康くん、前に霊亀に挑んだ時の事、覚えてる」

「覚えてますぞ。倒せませんでしたな」

「うん。その時ね、最初に倒したと思った時、ああ元康くんが頭を潰した後なんだけど……すぐに再生したんだ」

「ほう、そんな事があったのですかな?」

「うん。まあすぐに倒したから何事も無かったんだけどさ。タイミングが合わなかったと思って」

同時撃破の問題ですな。少しでもタイミングがずれると起こりえる話ですぞ。

何を不思議がっているのでしょう?

「いや、すぐに再生して、どうにか倒せた時に倒した反応になったから何かの間違いだったんだろうさ」

「うん……大変だった」

どうやら霊亀の方はかなり接戦だった様ですな。

割り振った人数の関係もありますが、状況的にあれが限界でした。