軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

蒸発

俺は今、決戦の地であるメルロマルクの草原で待ちかまえております。

メルロマルクを蹂躙した応竜は、フィロリアル様達によってかき集められました。

空を覆う程の大きな……強酸の雨を降らす雨雲がフィロリアル様達を追い掛ける形で近づいて来ております。

倒すこと自体は難しくは無いと思いますぞ。

ですが問題は討伐猶予の時間ですな。

お義父さん達と打ち合わせをした時間までもう少しあります。

そもそも戦闘を長引かせたら間に合いませんぞ。

かといって早過ぎてもいけません。

油断しない様に、且つ少しでも被害を少なく済ませるようにがんばるのですぞ。

「そろそろ戦いの時ですぞ。数々の被害を出した四霊を今日こそ、仕留めて世界を平和にするのですぞ」

「「「おおー!」」」

メルロマルクの兵達が俺の声に応じて各々の武器を掲げます。

強酸の雨に対応できるように精一杯の魔法防壁を展開しておりますな。

先頭は俺が務めてメルロマルク軍の兵士たちは援護を重視してもらいますぞ。

ま、あんまり強さを期待できませんからな。

さあ、後はフィロリアル様が来るのを待つだけですな。

「「「とー!」」」

ドドドと砂煙をあげてフィロリアル様達が応竜を誘導して俺の元にやってきました。

「みんな、良くがんばったのですぞ! ではみんなは後方で魔法援護に従事して欲しいですぞ」

「「「はーい!」」」

一糸乱れぬ元気な返答と片翼を上げて、俺に合図をしたフィロリアル様達はメルロマルク軍を守る様に陣形を組みました。

そして、メルロマルク軍を取り仕切る女王の指揮の元、儀式魔法と援護魔法の詠唱に入ります。

「――!」

一ヶ所に集まった応竜が集って一つの大きな雲になり、東洋の龍を連想する姿を雲の間から見せております。

姿が安定しない四霊ですからな。

おそらく、前回戦った時の様にコロコロと形状が変化するでしょう。

お義父さんと打ち合わせた時間まで後少し、トドメを刺す直前まで弱らせる事に意識を向けますぞ。

「アル・リベレイション・プロミネンス!」

前回と同じく、雨雲を消し飛ばす擬似太陽を生み出して撃ちあげます。

それから雨雲の逃げ道を塞ぐように、フィロリアル様達が風の魔法を使って大気を操りますぞ。

「―――――!」

応竜が雨雲から姿を現しましたぞ。

完全に東洋の龍の姿をしておりますな。

「ブリューナクⅩ!」

一直線に頭に向けてブリューナクを放つと、応竜が応戦するようにブレスを放ちましたぞ。

濁流の様な水と雷を含んだブレスでしたぞ。

バチバチと俺のブリューナクと拮抗するほどの威力があるようですな。

ですが、少しずつですが俺のブリューナクが押して行きますぞ。

お義父さんの言うとおり、四霊は強さを共有したのか目に見えた強さを見せつけております。

まあ、俺の強化されたブリューナクを弾くほどの強さでは無いようですがな。

「グングニルⅩ!」

ブリューナクを放ちながらグングニルを放つという継続攻撃ですぞ。

まあ、手は二つありますからこんな事も可能ですな。

いえ、上手く使いこなせばエイミングランサーも一緒に放てるでしょう。

お義父さんが使いこなしていた浮かぶ盾の要領で槍をフロート・ランスから射出すれば出来るでしょうな。

クールタイム中は別のスキルを放てば問題はありませんぞ。

とにかく、久しぶりに歯ごたえのある相手、お義父さんの言いつけ通りの時間までに仕留めさせてもらいますぞ!

「――!?」

俺の一斉射撃を受けて応竜の体が消し飛びましたぞ。

ですが致命傷には程遠い様ですな。

空を飛んでいた応竜が落下し、地面に溶け込む形で複数の頭を出現させました。

これはタクトのドラゴンが取っていた戦闘形態に酷似した姿をしておりますぞ。

そして複数の頭で各々複数のブレス攻撃を放ってこようとしています。

狙いは完全に俺とその後方に居るフィロリアル様とメルロマルク軍ですな。

「させませんぞ! 流星槍Ⅹ! エイミングランサーⅩ!」

ターゲットは全ての頭、ブレスを放つ前に撃ち抜きますぞ!

「――――!?」

反撃すら出来ずに応竜は驚愕の叫び声を上げているように聞こえますな。

ですがこの声ですらも攻撃性能を宿しているのです。

一般人では痛いじゃ済まない音波攻撃ですぞ。

ビリビリと辺りが振動しておりますな。

「すごい……アレが伝説の槍の勇者……」

「だが、あの槍の勇者様の攻撃を受け止めているあの災厄の四霊も、化け物だ」

何やらメルロマルク軍から驚愕の声が聞こえてますな。

この程度、造作も無いですぞ。

警戒すべきは沈黙のブレスですな。

アレを受けたら治療が面倒ですぞ。

そもそもあのブレスは範囲が広いですからな。

ピカッと光って、その光を浴びたら既に沈黙の効果自体は作動するのですぞ。

しかも俺やお義父さんすらも沈黙状態にさせるとなると、メルロマルクの兵では相当高位の薬か魔法が必要になりますぞ。

そうなると俺が意識を集中して回復魔法を唱える必要がありますぞ。

あの時は、応竜の欠片であったので、余裕はありましたがこれはメルロマルク中から集まった応竜の集合体。

悠長に回復魔法を唱える暇があるか怪しいですな。

事前に予防の魔法は唱えていますが……俺が得意なのは火と回復魔法ですから若干カテゴリーからずれますぞ。

こう言うのは援護のカテゴリーも必要なので、もっとも上手く予防させられるのはお義父さんとなります。

ですが、お義父さんは麒麟と戦ってこの場にいません。

「まだまだ行きますぞ! エアストジャベリン! セカンドジャベリン! ドリットジャベリン!」

続けざまに基本スキルで応竜に攻撃しておきます。

何分応竜はタフな相手ですぞ。

生きている水を相手に戦っている様なものなので、仕留めるのに苦労しそうですな。

「――――!」

またも咆哮ですぞ。

俺は後方の被害状況を確認しますぞ。

一応、フィロリアル様達は無事ですが、メルロマルク軍の方では若干ダメージを受けている者がいる様子。

クールタイムが終了したので、俺は再度、ブリューナクとグングニルを放ちます。

が……本当にタフですな。

少しずつ大きさが縮んで行っているように見えるのですが、これが効果がある証拠なのでしょうか?

トドメを刺すのには魔法による殲滅が効果的でしょうな。

前回も、それで倒した……という事にはなった様ですからな。

ですが、今は少しでも応竜を足止めして打ち合わせ通りに倒す事を優先しましょう。

続けざまにスキルを放っては、応竜を弱らせて行きます。

油断をしてはいけませんな。

最初の世界で鳳凰と戦った時、俺達は勝てると見越した瞬間、タクトの攻撃によってピンチに貶められたのですぞ。

「俺がやってやるぜー!」

と、何故か打ち合わせを無視した冒険者らしき奴が飛び出してきましたぞ。

「勇者がなんだってんだ! ここで俺達が活躍――」

何処から現れたのですかな?

既に一般冒険者で軍と協力するつもりの無い奴は国外退去を言い渡されているはずですぞ。

という所で応竜が狙いを定めてブレスを放ちました。

「エイミングランサーⅩ!」

守ろうとブレスを弾くようにスキルを放ったのですが……。

「偶然、トドメを刺して俺達に特別な――」

間に合わず、冒険者一行は蒸発しました。

パッと見ですが男一人に豚三人だった様に見えますな。

なんだったのですかな?

命令も告知も無視して応竜に突撃するとは……馬鹿ですかな?

さて、そろそろお義父さんが提示した時間が近づいて来ていますぞ。

ここから先は作戦通り、時間との勝負になりますな。

時間に合わせて応竜を素早く倒す必要があります。

やがてお義父さんが指示した時間になり、後方のメルロマルク軍が合図を上げますぞ。

それと同時に俺の視界に浮かんでいる9という数字が点滅しました。

おお……さすがお義父さんですぞ。

では今度は俺の番ですな。