軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

楽園

俺は翌日からフィロリアル様達の孵化を始め、Lv上げ作業に勤しみました。

日替わりで行く島を変えて狩る日々、実に有意義ですな。

難点と言えば龍刻の砂時計が遠いのでLv40で打ち止めになる事ですかな?

一度ポータル出来る場所まで移動して砂時計に行くという手もありましたが、さすがに百人も一緒に連れて行くのは不可能なので諦めました。

「えっと……元康くん」

「なんですかな?」

数日後、フィロリアル様に囲まれた俺にお義父さんが声を掛けます。

気分の良い俺は最高の笑顔で答えました。

今なら歯がキラッと光っていてもおかしくありませんぞ。

「島の奥地でフィロリアル達の育成をするのは良いんだけどね。元康くん達があまりにも狩りすぎたから島の生態系が傾いて来ているんだって」

「おや? 活性化のお陰で狩った方が良かったのではありませんかな?」

「限度を知ろうよ」

「「「きゃー!」」」

フィロリアル様達が浜辺に駆けて行って思い思いに楽しんでおられます。

その数……何人でしたかな?

少なくとも浜辺を俺達が独占出来る程、天使になったフィロリアル様達がいますぞ。

ここは楽園ですな。

「ちょっと多すぎない?」

「問題ありませんぞ!」

「あるから言っているんでしょ……とりあえず多少は制限しないと」

「ですが……」

お義父さんは俺の周りに居るフィロリアル様達の雛を見て額に手を当てていますな。

「全部孵化させちゃったのか……」

「ですぞ! 残念ですがフィーロたんはおりませんでした!」

そう、これは非常に残念な結果ですぞ。

どうしたらフィーロたんに会えるでしょうか?

とは思いますが、孵ったフィロリアル様達の世話をするのも重要なのですぞ。

手早くLvを上げて行かないといけませんぞ。

みんな俺の大切な天使達なのですぞ!

「えっとユキちゃん、みんなの監督をお願いね。コウやルナちゃんも。後でサクラちゃんにもお願いするから」

「わかりましたわ」

「わかったー」

「うん」

年長組のフィロリアル様達も手伝ってくださいます。

さあ、ドンドンLvを上げて素晴らしい楽園を築くのですぞ。

「お義父さんの経過はどうですかな?」

「まあ順調かな。メルティちゃんやラーサさんとも狩りに出かけて技術を習得してる所かなー。連携での問題点とかも改めて洗い出しをしているし、錬から言われた通り俺以外が指揮しても戦えるようにしてる所だよ」

さすがお義父さん、今回の出来事で即座に問題点の改善をなさっているのですな。

俺の方はユキちゃんが今回の出来事を聞いてある程度お義父さんと話し合いをしている様ですぞ。

まあ、もちろん俺も連携に関しては理解しているつもりですがな。

リーダーシップはお義父さんとユキちゃん、更に婚約者が一枚上手なので援護に回るつもりですぞ。

何分、俺が出ると基本俺頼りになるとの事で、そう言った練習には不向きだと言われてしまいましたからな。

一応、キールや助手もその辺りを学習しているそうですぞ。

ですが、錬の様な後輩ではなく、見て聞いて考えてから柔軟な対応が出来るように教えているとの話。

尚、クラスアップ出来ていない婚約者は限界である40に上げては資質向上を掛ける、という事を繰り返しているんだとか。

ま、そんな感じで島での日々は過ぎて行きました。

ただ、お義父さんの指摘通り、島の奥地で魔物退治をしていた俺とフィロリアル様は狩り場の魔物の絶滅の危機に陥り、奥地での狩りが制限されてしまいました。

これでは100匹のフィロリアル様を強くさせれませんぞ。

現にみんなLv40止まりで潜在能力の向上もままなりませんでした。

見に来たお義父さんがこんな事を言っていましたな。

「島が禿山になるよ!」

ま、島のボスのドロップは程々に集まりましたが。

お義父さんが所持していたペンギンの着ぐるみは……何故か一着しか手に入りませんでした。

これがフィーロたん着ぐるみに出来ると言っていた気がしたので集めようと思ったのですが……。

逆にお義父さんは入島制限が掛る間に何着か手に入れたそうですぞ。

ドロップ判定の差があるのか疑いたくなりますな。

俗に言うこれが物欲センサーですぞ。

錬や樹はその間、別の島で狩りを程々にしているのか、静かな物でしたな。

樹とその仲間は俺やユキちゃん達と狩りをして既に島に滞在する必要が薄くなったLv帯になったからでしょう。

錬の方も元々魔物退治でLv上げをしていた事もあって、最後の底上げだったのでしょう。

数日後には暇そうにしていた様ですな。

ただ、俺達とは顔を合わせたくないとばかりに避けている様でした。

「上級の冒険者と下級の冒険者で住み分けが出来ているのは良いんだけど……」

フィロリアル様達が育ち、お義父さんが島の外を見ながら俺に呟きましたぞ。

「元康くん。何事も程々と言うのを理解してる?」

「島の奥地に来る冒険者は稀ですぞ。その奥地の魔物を狩っていただけですぞ」

「気持ちはわかるよ。だけどね……やりすぎだったんだよ」

お義父さんに注意されてしまいました。

ですが、なんとかフィロリアル様達全員を一定のLvまで育てきることが出来ました。

「後は資質向上をしながら底上げですな」

「一般の冒険者に迷惑が掛るから、島から出てからやろうね」

お義父さんが俺の肩を掴んでお願いしてきますぞ。

まあ、魔物にも生活があるとか助手が言っていた様な覚えがありますな。

「しっかし……増えたねぇ」

パンダ獣人が浜辺で遊ぶフィロリアル様達を見ながら呟きますぞ。

キャッキャと楽しげに遊ぶフィロリアル様達を見てそんな感想しか出て来ないのですかな?

お! 婚約者がフィロリアル様達と楽しげに遊んでいるのを発見しました。

俺も混ざりに行きますぞ!

「婚約者! 俺も混ぜろですぞ!」

「また来た! 私達が遊んでいる所にいちいち来るんじゃないわよ!」

その様子をお義父さんは何やらパンダ獣人と話しておりました。

「物凄く大所帯になっちまっているけど、この先どうするんだい?」

「どうするも何も、いざって時以外は……ユキちゃん達の管理で国の各地で活動してもらうとかになるんじゃないかな」

お義父さんがそれとなくこれからのフィロリアル様達の運用方針を考えておりますぞ。

「問題が起こる前に鎮圧をしてもらうとか、流通経路の確保とかね。エレナさんの所での手伝いとして商売を手伝うとか」

「なるほどねぇ。しかし……こう、幼女とフィロリアルが浜辺を占拠している姿を見ると圧巻するというか、不気味な光景だねぇ」

「元康くんの野望の恐ろしさを垣間見たよ。しかもまだ増やす予定らしい」

「こんだけいて尚、欲しがるとか。勇者ってのはやっぱり変わってるんだね」

「あれと一緒にされるのはちょっと……」

「カッコいい姉ちゃんも遊ばねえのかー?」

キールも犬掻きをして泳いでおりますぞ。

その後ろをサメのようにルナちゃんが潜水してついて行っています。

尾が水面から出ていますぞ。

そこでパンダ獣人を手招きしています。

「俺の世界で見たことのある映画だったらキールくんはサメの餌になってるね」

「あの犬っころを好きなフィロリアルが覗き見してるとか知ると、気が抜けるねぇ」

何やらお義父さんとパンダ獣人が浜辺に座り込んで黄昏ていましたぞ。

サクラちゃんは婚約者に飲み物を持ってくる最中のようですな。

ついでにお義父さん達にも渡しております。

助手の方は……ライバルと一緒に沖の方で海の中に居る魔物を観察しているとか聞きましたな。

なんとものどかな時間ですな。

怠け豚はハンモックを揺らして相変わらず寝ておりますな。

水着を着用していて気持ち悪いですぞ。

パンダ獣人の部下は酒場の方で酒を飲んで楽しんでいるとの話ですな。

「あ、ラーサさん。水着似合っているよ」

パンダ獣人はパンダ姿で水着を着ております。

アレはお義父さんのリクエストでしたかな? スクール水着のような水着を来ていますぞ。

胸にはワッペンが着けられています。

パンダのパンダ柄が若干おかしく見えますが、お義父さんは似合っているように見えるのですかな?

確かセパレート水着を着せようとして嫌がっていたような覚えが……ありますぞ。

逆にキールはふんどしを付けて元気に泳いでいますな。

「褒めたって何も出ないよ」

「そんな訳じゃないんだけどな。じゃあ、もっと魅力的な水着にチャレンジしても良いんじゃない?」

「だからあたいを着せ替えしようとするんじゃないっての」

「土台が良いんだから磨くべきだと思うよ。ラーサさんって着飾ると別人みたいに綺麗にも可愛くもなるんだから」

「そ、そうやっておだてようとするんじゃないっての!」

「そう?」

パンダ獣人が照れくさそうにしております。

お前とお義父さんは釣り合わないと思いますぞ。あ、お義父さんが南国の花をパンダ獣人の毛に挟んで髪飾りの様にさせましたぞ。

「や、やめろっての! あたいをおもちゃにすんな」

「してないって」

嫌がりながらもパンダ獣人は花を取りませんな。

……何故ですかな? なんか覚えがありますぞ。

パンダ獣人の柄の所為か、お姉さんのお姉さんがお義父さんの隣に居る様な既視感があるような気がしますぞ。

お姉さんのお姉さんとお義父さんは不思議な関係でしたな。

のらりくらりとお義父さんをからかう大人の対応をするお姉さんのお姉さん、そしてちょっとムキになったように返答するお義父さん。

まるで今のお義父さんとパンダ獣人と関係が逆ですな。

まあ、こんな感じでLv上げも頭打ちになっていった俺達は錬と樹の動向を見張りながら島での時間を過ごしていたのですぞ。