軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

159 カタコンベ

「キュイイイイ!」

あ、これまでに無いくらい激怒してる。ブルブルと体を振るって針を振るい落とし、こっちに向かって猛突進……をしようとしているのだけど鈍足毒の所為か目に見えて動きが鈍っている。

「ルナス」

「おう!」

死んだフリで強化状態のルナスがデビルグリフィンに向かって4倍速で近づいて切り刻んで戦闘は終了した。

「ふむ……剣の手応えはそこそこであるな。毒を使う方法は分かったが……リエルの奇襲が成功すれば今のところ必要性は薄いな」

「ヌマー」

「いやー凄かったね。デビルグリフィンが針刺しみたいになってたよ。リエルの射撃の腕も中々なもんだね」

「中々優秀な石弓だなコレ」

結構拾い物なのは間違い無いぞ。今まで使っていたスピードクロスボウが霞む便利性能だ。

「問題はやっぱりルナスの勇者の怒りじゃないと楽に戦闘は終わらせられないな」

なんだかんだ勇者の怒りや墓守のゾンビ戦法に俺達は助けられているんだな。

死んだフリ無しで戦うのは厳しそうだ。

これが普通の勇者パーティーの戦闘なんだろうな。

あれだけ連射しても倒しきれない訳だし……そう思うとルナスが俺に暴露して勇者の怒り戦法を推奨する理由も分かる。

「石弓が凄いのは否定しないけどリエルの狙撃の腕もだよ」

「そんな難しいもんか? まあ、前よりも狙いやすいというか動きが読みやすい気がするけど」

「リエルの場合、把握スキルのお陰かな? それとも念魔法が影響してたりしてね」

「どうなんだろうな」

「占い師って職業スキルを持つ人は命中精度が高いって聞くしありえるかもよ?」

なるほど、フォーススキルが開花した影響の可能性もありえるのか。

そう考えると納得できるような気もする。意識するとピンっと当たる瞬間を感じた気もした。

色々と出来る事が増えるって面白く感じるもんだ。ルナスの気持ちが少しだけ分かったような気がする。

「シュタインは武器の性能とか意識しなくて良いのか?」

「回復系の効果が上がるってのが貰った杖の効果だし……とは思いつつ魔法弾の性能が誘導性のあるのがちょっと使えば分かるから大丈夫」

そんなもんか。誘導性……勝手に狙った相手を追いかけるって事だよな。

ある意味、俺が貰った石弓よりも優秀と言えば優秀か。

「リエルが杖を使って見るかい?」

「ヌマ?」

クマールが使う? って俺に差し出してくる。

なんで? と思ったけどよく考えたら俺は念魔法が開花したのだから使える可能性があるのか。

杖を手に持って……どう使えば良いんだ?

「基礎の魔法でも効果は出るはずだから……魔力を杖の先に集めるようにしてそこから放つ感じを意識して振ってごらん」

魔力を集める……狙うのを意識して放つみたいな感じか?

「こう……か?」

シュタインの言う通りに詠唱をしてからブンと杖を振るう。

すると杖の先からハチの形をした弾が飛んで行って消えた。

「なんか……あんまり強くなさそうだな」

「リエルはまだ馴れてないからねー」

「ヌマー」

「どうかねリエル、魔法を使ってみた感想は」

ルナスの魔法の威力が桁違いだからどうもショボく感じてしまうなぁ。

コレがスキルを得た時に思った魔法が使えるって事なんだろうけど複雑な気分だ。

「俺としては重量感や威力的には石弓の方がまだ使い勝手が良さそうだな」

杖をクマールに返す。

「ヌマー」

やはり思うのはハイロイヤルビークイーンは何でクマールに杖を渡したのだろうか?

そこがよく分からないんだよな。

クマールのスキル構成からして、魔法は使えないし……前人未踏のフィフススキルを見越して……とかだったりするのか?

な? クマール。

と念話で尋ねるとクマールはいずれ開花するかも知れないし、開花しないかも知れない。

この武器は自分の分に見せかけた俺の予備の武器でも良いとクマールは答える。

献身的な奴だな……。

「ヌマ!」

ハチミツの壺が嬉しい宝物! ってクマールは鳴く。

はは、クマールらしいな。

「まあリエルはレンジャーとしての経験の方が多いからね。フォーススキルが念魔法なんだからいずれは魔法使いと名乗った方が良くなるかもね」

「レンジャーでも魔法が使える奴は多いけどな」

あくまでレンジャーは罠感知や鍵開けとか周辺把握などのサバイバルが得意とする職種な訳だし。

「こう……ルナスは41階以降も潜りたいだろうけど俺も魔法とか色々と学びたいから早めに戻りたいって気持ちも沸いてくるのは否定しない」

「わかっているとも。そう何時までも迷宮に挑んで居られないという気持ちがあるのをな。君は勤勉だから次に迷宮にきた際は今までの行程がより楽になるであろうさ」

ルナスの期待に応えられるように努力したい。それは揺るぎようが無い事実だ。

「それではどんどん行こうではないか!」

「ああ、実験はこれくらいでさっさと行こう」

という訳で俺達は40階層を進んで行き、大物であるマジックカーボンスパイダーを見つけて仕留め41階層への道を発見して潜ったのだった。

マジックカーボンスパイダー戦の作戦は……まあ、知略を練るよりルナス達の力業でどうにかなるとごり押しをさせて貰った。

注意点としてマジックカーボンスパイダーの糸は火と物理攻撃に強い耐性を持つと注意して雷の魔法で攻めて貰い仕留めた。

マジックカーボンスパイダーの糸は火にも強く柔軟で編み込めば軽くて丈夫な布地になるので多めに巣から採取した。

他にもマジックカーボンスパイダーの甲殻なども持ち帰る物資にした。下手なドラゴン素材よりも優秀な品々だ。

そうして41階層。

「もう41階層か。長いようであっという間に来てしまったな」

「そうだな」

少なくとも才覚のある優秀なスキルを授かったエリート勇者パーティーが長期遠征でここまで来るような階層だ。

日数で表すなら俺達は驚異的な速度で降りているだろう。

あのドラーク一行が報告時の記録した日数の半分以下でここまで俺達は三人と一匹で来てしまっている。

どう考えても異常な速度だろう。

迷宮内はマップが定期的に変わるとはいえ、その全てを回って来てこの日数は……資料をまとめて提出した際に見た人は首を傾げるだろう。

そうして41階層……そこはカタコンベみたいな場所のようだ。

周囲の壁には棺桶が収められている。

把握で感知する範囲にはゆっくりだけど徘徊する魔物の気配がある。

っと、思っていると道の先から魔物がこっちに投げてくる。

「ルナス! 魔物が狙撃!」

「む!」

キン! っと飛んでくる何かをルナスが剣で弾いた。

何が飛んできたのかと思ったらそれは骨だった。

「なるほどね。ここはカタコンベ型のマップで遠距離狙撃をしてくる魔物がいるって事か」

シュタインが納得したように言ってるけどそれどころじゃない。

結構遠い所から狙ってきたぞ。

「あちらはこっちを把握しているのだ。足早に仕留めなければな」

飛んでくる骨を片っ端から弾いてルナスが駆けていくので俺達も追いかける。

俺も飛んでくる骨を石弓で迎撃しながら相手へと毒針射出で狙撃を行うのだけど当たった手応えはあっても相手の動きが鈍る気配が無い。

そうして狙撃してくる魔物が目視出来た所で判明したのはダークネススローゾンビと言う名前の骨を体から射出するゾンビだ。

「わ、階層に見合ったゾンビ……」

シュタインが鼻を押さえて言った。

おい、専門家。

「邪悪なネクロマンサーが得意とする相手じゃないのか?」

「うーん、悪いね。ちょっと僕の身に余るよ。魔の力が強くてターンアンデッドは効果が無いのが分かるよ。さすがは41階層としか言えないね」

シュタインがお手上げと言った感じで即座に答える。