軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

158 エルダーゲイザー

「ヌマー」

で、クマールは俺達の冒険に付いてきた影響で驚異的な成長を見せて大きく育ち、立派な荷物持ちへと成長をしたと……振り返って見れば、うん。遠くに来たと思える。

「さて、我々の目標は41階層へ行き、そこの魔物を屠って王宮へ報告する手土産を確保するのが目的であるのだったな」

「そうだね。それだけの実力を示せればドラーク残党は手も足も出なくなるよ」

「では足早に行こうではないか。リエル。この階層で注意しなければ行けない事はあるのかね?」

「単純に足場が不安定だから注意するのと魔物も単純に強いから気をつけること……突風が吹いたりして投げ出されかねないから気をつける様に」

「うむ。それでここに出現する大物は分かるかね?」

「王宮で調べた資料によるとマジックカーボンキングスパイダーって言う、ものすごく固い蜘蛛型の魔物がヌシとして出現するそうだ」

「ほう……実に楽しみであるな」

相変わらずルナスは自信に満ちあふれているなぁ……。

「僕の方は……地形的にちょっと気をつけた方がよさそうかな?」

シュタインの質問に俺は周囲を見渡してから頷く。

「そうだな。幾ら俺達が無敵ゾンビになれるとしても崖下に落ちたら戻るのに苦労するし……」

幾ら体が頑丈の無敵状態だったとしても戦闘中に崖に落下したら元に戻った所で困る。

ちなみに崖下に落ちたら41階になる訳では無いのが嫌らしい階層だ。

「ヌマー」

「足場も悪いから死んだフリをするのも苦労するだろうな。場合によっては……俺だけ死んだフリをしてクマールに俺の棺桶を背負って貰うとかが良いかもしれない」

「ヌマ!」

任せろ! っとクマールが自身の胸を叩く。

本当……頼もしく成長したなお前。なんとも嬉しいもんだ。

「少年の出る幕は無い様だな。では私が存分に戦闘を楽しませて貰おうじゃないか」

「勇者の怒り戦法じゃなく普通に戦うというのはどうなんだい?」

「幾ら強くなって来ていると言ってもな……結局俺やクマールはそこまで戦闘向けじゃないし、消耗が激しくなって厳しくなると思う」

39階に戻れば比較的安全だしお願いすれば物資の補給とかハイロイヤルビークイーンはしてくれるかも知れないけどあんまり頼るのもな。

「まあ、僕も初見だし楽に対応出来るルナスさんに任せて普通に戦って勝てそうだって判断してからでも良いか」

という事で俺達は40階をルナスの勇者の怒りに任せて進む事にした。

「足場は悪いけど……魔物は把握で感知出来るからそこまでくせ者じゃないな」

「今の僕たちに奇襲できる魔物なんて数える位しか居ないと思うよ」

まあ……クマールのお陰で俺はファーストスキル相当の把握を展開してるもんな。迷宮の40階層なんて深い所で展開していればあっという間に習熟していくし。

それはクマールも変わらない。

「ヌ、ヌマ」

クマールは同族のタヌクマよりも遙かに修練を出来ている自覚があると意識で伝えてくる。

俺達との出会いがどれほどの幸運で恵まれているか、そして自身の把握が驚異的な成長をしていると。

まあな……感知出来る範囲にある代物を一個一個吟味して確認していくだけで習熟して居る自覚はあるだろう。

薬草とか落ちていたらそれを把握でしっかり確認する事でも成長するし、魔物の気配を知るのだって大事だ。

で、シュタインは隠密のセカンドスキルを所持して居るらしいし……この人員に奇襲出来るなんて感知範囲外からの奇襲か高Lvの潜伏が必要になる。

ある意味怖いのは35階の悪霊に混じっているはずの暗殺者の悪霊とかだけど、今のところそう言った脅威は感じられない。

「あ……エルダーゲイザーの気配。右側の先……あっちがこっちを目視したらくるな……速度もきっと速い」

「ほう……」

「エルダーゲイザーは魔法殺しの魔眼を持って居るから目を合わせたら沈黙させられる。魔法防御もかなり高い。先制攻撃をするか近接が良いだろう」

資料を元にルナスに助言を行う。

「高いと言ってもルナスさんの魔法を耐えきれるのかい?」

「耐えきれないだろうな。問題は一撃での確殺は難しいってだけだ」

「ならば問題あるまい。先制攻撃のメガブレイズで遠距離狙撃をしてくれるわ!」

「範囲は広がっていても狙撃となると射程を気をつけないと」

「わかっている。ではリエル、何処に狙いを定めて放てば良いのだ?」

ルナスはこの辺りの感知系スキルは所持していないからな……まだ戦闘に入っていないんだからしょうがないか。

「じゃあ手をこっちに向けて……」

俺はルナスの腕を掴んでエルダーゲイザーがいる所へと狙いを定める。

ルナスの勇者の怒りメガブレイズの射程を想定して……。

「う、うむ……」

なんかルナスの声がうわずっているな。大丈夫か?

……? なんかエルダーゲイザーがどう動くのか明確に分かるような?

気のせいか? 経験って事で納得しよう。

「俺が死んだフリをしたらメガブレイズをエルダーゲイザーが倒れるまで放てば良い」

「わ、わかった」

「わー……」

「ヌマー」

なんかシュタインとクマールが変な声を漏らしている。

一体どうしたんだ?

まあいいや……3……2……1……。

「今だ」

俺は合図をしてから死んだフリを行い、ルナスの勇者の怒りを作動させる。

「メ、メガブレイズ「「「メガブレイズ」」」」

なんか一発ワンテンポずれたけどルナスは放ったメガブレイズが無事エルダーゲイザーに先制攻撃で命中して倒す事が出来た。

死んだフリを解除してっと。

「よし、問題なく殲滅完了。やっぱり距離が離れていると幾ら勇者の怒り状態でも威力が多少は減退するな」

「そ、そうだな」

なんだ? ルナスが若干顔を赤らめている。

「よかったねルナスさん」

「ヌマ~」

なんかシュタインとクマールがニヤニヤしてる。何が良かったんだ?

おいクマール?

俺の念話に対してクマールはよく分からない返事をして居る。

「少年とクマール。私を茶化すのはやめろ!」

「いやールナスさんの珍しい所が見れたよ。そういう所が残っていたんだね」

「ヌマ」

「だ、黙れ!」

なんだ? なんかおかしな事をルナスはしていたんだろうか?

「なんかあったか?」

「いや、リエルは気にしなくて良いぞ! 少年とクマールが何やら誤解しているだけだ!」

「はあ……」

何かルナスがシュタインとクマールにしかわからない失敗をしたって事で良いんだろう。

「しかし……貰った武器を使うには厳しい階層なのが惜しいな」

貰った石弓を見ながら呟く。

「足場が良さそうな所ならばリエル、君が狙撃で奇襲して引き寄せても良いのだぞ?」

「誘導するのも一つの手か……そうだな。やってみるか」

って事で足場が広い所まで出た所で把握の感知範囲に来たデビルグリフィンへと俺はハイロイヤルビークイーンから貰った石弓で狙いを定めて放つ。

針は……えっと教わった複数出せる毒針の中では鈍足毒にするか。

上手く毒が回れば近づかれてもルナス達で対処しやすくなる。

バシュ! っと勢いよく石弓から針が射出されて遠くまで飛んで行き、感知していたデビルグリフィンに命中した。

「キュウイイイイイイ!」

奇襲に気付いてデビルグリフィンがこっちへと飛んでくる。

近づかれる前に連続射撃! 武器の力か当たるタイミングでピンっとなんか音というか感覚がして分かる。

ドドドと、オートリロードされる石弓がデビルグリフィンへと命中していく。

あ、さすがに避けようと回避運動をしながら接近しようとしているがそれは読んでいるぞ!

食らえ!

と、接近してこちらに近づいてきたデビルグリフィンは……針がめちゃくちゃ刺さっていて俺自身も驚く形相をしていた。