軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第248話 緊急事態

街に戻ると、角馬を返すためにも 冒険者斡旋組合(ギルド) へと戻った。

オレが室内に入ると、冒険者達や社員達が鼻を押さえて距離を取り出す。中にはそのまま建物外へ出る奴すらいた。

分かっているよ。

体中に『 風船蛙(バルーン・フロック) 』の匂いが染みついて臭いことぐらい。

そんな中、受付嬢さんは笑顔で応対してくれた。

その姿はまるで本物の聖母のようで、あまりの眩しさに間違って惚れそうになる。

いかん、いかん、ちょっと優しくされたからって靡くなんてどこのちょろいヒロインだ。

惚れたとしても、あの受付嬢さんだけはヤバイ。

手を出したら、一生涯全部持って行かれてしまう。

オレは心を強く持ちながら、受付嬢さんに向かった先の状況を報告。

魔物一覧表を返して、報酬金を受け取る。

冒険者斡旋組合(ギルド) を出て宿へ向かう。

一階ロビーでオレ達の帰りを待っていたのかギギさんが居た。

しかし、ギギさんはオレ達の匂いに気付くと、慌てて距離を取り自室へと戻ってしまう。

普段、クリスを猫かわいがりしているギギさんがだ。

今のオレ達はどれぐらい臭いんだよ!

兎に角、部屋に戻ってすぐさま体を洗い流す。

服も宿に頼んで洗濯に出したが、あまりの臭さに特別料金を取られてしまった。

まさに踏んだり蹴ったりとはこのことだ。

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「さて、どうしたもんか……」

宿屋のカフェスペースで香茶を飲みながら思案する。

結局、前回のクエストでスノー&クリスは、ノーラとの距離を縮めることはできなかった。

彼女達が悪いのではない。

ただ運が悪かっただけだ。

今は香茶を飲みながら、次の作戦を考え中なのだが、なかなか良い案が浮かばない。

少々、考えすぎて行き詰まっている。

「あら、リュート様。難しいお顔をしてどうかなさったのですか?」

そんな思案中のオレに、通りかかったメイヤが声をかけてくる。

彼女は正面の席に座ると、男性ウェイターに香茶を注文する。

メイヤの注文品が届くまでの間に、悩んでいた内容を話して聞かせた。

彼女は男性ウェイターに香茶のお礼を告げてから、柔らかな微笑みを浮かべる。

「なるほど、それで先程からずっとお悩みになっていたのですね」

「そうなんだよ。メイヤ、何か良い案はないか?」

「でしたらこのリュート様の一番弟子にして、右腕、腹心、次期正妻候補のメイヤ・ガンスミス(仮(もうすぐこの仮は外れますけどね!))のわたくしにお任せください! リュート様がお望みなら、ノーラさんと1時間ほどでこのわたくしが仲良くなってみせますわ!」

メイヤの自称に色々増えているのが気になったが、彼女の『1時間で仲良くなる』に興味を惹かれる。

「1時間って……随分、自信があるんだな」

「むしろ、リュート様は天才的頭脳故に難しく考えすぎたのですわ。年頃の女の子同士が仲良くなるなんて、リュート様がお考えになるほど難しくないんですのよ」

メイヤは優雅に香茶に口を付けながら告げる。

彼女も言動はアレだが、年頃の女性だ。

男性の自分より、その辺の機微を良く理解しているのだろう。

「だったら、メイヤにノーラのこと任せてもいいかな?」

「ええ、わたくしでよければ喜んで!」

「助かるよ! それじゃさっそく、ノーラを呼んでくるから」

オレは一度カフェスペースから立ち上がり、自室に1人で居るノーラを呼びに行く。

10分ほどで再びメイヤの待つカフェスペースに戻ってくる。

ノーラはオレの後ろで、相変わらず借りてきた猫のように落ち着かなく立っていた。

そんな彼女にメイヤが笑顔で声をかける。

「お忙しいところお呼びだてして申し訳ありませんでしたノーラさん。どうしても、わたくしがノーラさんとお話がしたくてリュート様にお願いをしちゃって」

「い、いえ、ノーラも別にやることなくて暇でしたから……」

彼女はきょときょっと視線を動かし、メイヤへと返答する。

う~ん、メイヤを疑うわけではないが、本当にこんな状態のノーラと1時間過ごしただけで仲良くなることなんてできるのだろうか?

メイヤが笑顔でノーラへとうながす。

「さっ、いつまでも立っているのはなんですから、どうぞお座りくださいな。ここのカフェのクッキーはなかなか美味なんですよ」

「あっ、あ、あの、お気遣いありがとうございます」

ノーラはオレとメイヤを見比べる。

オレが座るよううながすと、大人しくメイヤの正面へと座った。

メイヤはノーラの香茶とクッキーを勝手に注文する。

「それじゃオレはちょっと用事があるから席をはずすよ。少ししたら戻ってくるから、それまでメイヤの相手を頼むな」

「えっ!? は、は、はい。頑張ります……」

オレのセリフを聞いて、最初『お茶を飲むだけって聞いたのに!? 1対1で相手をしろなんて聞いてない!』と顔をしたノーラだったが、すぐに従順に従う。

オレは胸中で心配しながらも、メイヤとノーラを2人っきりにするべくカフェスペースを離れた。

……1時間後。

メイヤとノーラが気まずい空気になっていないか心配しながら、カフェスペースに顔を出すと――

「さすがメイヤお姉様! ノーラ、ちょう感激です! 尊敬します!」

「あらあら、ノーラさんったら、そんな大したことじゃないのよ」

いったい何が起きた?

ノーラが1時間前とはうって変わって、明るい表情でメイヤに話しかけていた。

座っていた席も、最初は正面だった筈なのに、いつのまにか2人はソファースペースに移動。

ノーラはメイヤの隣に座り、キラキラとした瞳で彼女と会話をしているのだ。

精神だけが別人と入れ替わったお陰で懐いたと言われても信じるレベルのギャップだ。

いったい2人の間に何があっというんだ!?

「リュート様、どうしたのですか? そんなところに立たれて」

メイヤがオレに気付くと楽しげな会話を打ち切り、声をかけてくる。

オレがどう返事をすればいいか迷っていると、

「リュート様、用事がお済みでしたら、お茶でもいかがですか?」

「あ、うん、そうだな。もらおう」

「ノーラさん、リュート様のお茶の注文をお任せしてもいいかしら?」

「はい! 是非、任せてくださいメイヤお姉様!」

ノーラは喜々としてソファーから立ち上がると、運悪く奥へ引っ込んでしまった店員を呼びに行く。

お陰でメイヤと2人で話をする時間が取れた。

オレは彼女の正面ソファーに腰を下ろす。

「メイヤ、いったいどんな魔法を使ったんだ? たった1時間でノーラとあそこまで仲良くなるなんて」

「魔法だなんて大げさですよ。ただわたくしは、ノーラさんにリュート様やスノーさん達と一緒に体験した冒険譚を聞かせてあげただけですよ」

彼女の台詞に納得する。

ノーラは元黒メンバーだ。

シャナルディアの影響で、オレには従順に従い敬われている。

そんなオレ達の冒険譚を聞かせたら、ウケるのは間違いない。これは盲点だった。

またこの異世界は娯楽が少ない。

オレ達の冒険譚はノーラにとっては格好の娯楽なのだろう。

「盛り上げるために多少の脚色をしてしまいましたが……」

メイヤはぼそりと聞き捨てならないことを呟く。

おい、脚色ってなんだよ、脚色って!

オレが問い詰める前に、ノーラが注文を終え戻ってくる。

彼女は再び、メイヤの隣、ソファーと座る。

ノーラは大きな瞳にキラキラとした光を瞬かせ、オレにメイヤとの話を聞かせてくれる。

「リュート様、メイヤお姉様から聞きました! メイヤお姉様って本当に凄い方なんですね! ノーラ、お話を聞いて凄く憧れちゃいました!」

おい、メイヤ、いったい彼女にどんな話をしたんだ。

ノーラが目を笑顔でメイヤから聞いた話を教えてくれる。

「リュート様が魔物に食べられ死んでしまったと信じたスノー様を、偶然妖人大陸の魔術学校に立ち寄ったメイヤお姉様が励まして立ち直らせたり!」

うん?

「リュート様とクリス様が、メイヤお姉様の元へ連れて来られ、一目でメイヤお姉様はリュート様の才覚を見抜き、自分を一番弟子にして欲しいとお願いした話とか!」

あれ?

「ノーラが一番ワクワクしたのは、メイヤお姉様が作戦・立案・指揮を執り、クリス様のお母様を悪いヴァンパイア族から救出した話です! リュート様、スノー様、クリス様を従え、メイヤ様が悪いヴァンパイア族達を千切っては投げ、千切っては投げしたところなんて何度聞いても飽きないぐらい面白かったです!」

ノーラから出てくる話は、実体験と随分かけ離れているのだが……

オレはメイヤをジト目で見詰めるが、彼女はまったく動揺せず優雅に香茶を口にする。

ノーラはそんなメイヤに、憧れのトップスターに出会った少女のような表情で話しかける。

「メイヤお姉様、もしお暇でしたらもっとノーラにお話を聞かせてください!」

「ええ、構いませんわよ。今日の午後、お茶会を開きますからその時でよければ」

「はい! 是非お願いします」

その後、オレはメイヤに話があるからと、ノーラに離席してもらう。

彼女は午後のお茶会が楽しみだと、再度お礼を告げ来たときとは正反対に、軽い足取りで自室へと戻って行く。

確かに結果だけみるなら、大成功だろう。

どうも釈然としないが……メイヤはオレの希望通り、ノーラと仲良くなってくれた。これでメイヤを通して、ノーラが他の PEACEMAKER(ピース・メーカー) メンバーと仲良くなるのは時間の問題だろう。

「……ありがとう、メイヤ。ノーラと仲良くなってくれて。話の内容は随分アレだけど」

「いえいえ、わたくしとしても可愛い妹分ができで嬉しかったですから。お話の内容はノーラさんと仲良くなるため多少のスパイスを利かせただけですわ。許容範囲ですわよ」

メイヤは悪びれたようすもなく、胸を張って断言する。

オレは彼女への追求を諦めた。

「とりあえず結界オーライってことで。改めてありがとうメイヤ。何かお礼がしたいんだが、欲しい物とかあるか?」

「えぇ~お気になさらないでください。わたくし、そんなつもりでノーラさんと仲良くなったわけではありませんから~」

オレの何気ない台詞に、メイヤの表情が崩れる。

謙虚な台詞とは裏腹にクネクネ体を揺らし、右手で左手首を撫で、視線を何度も向ける。

彼女の要求しているブツをオレはすぐに理解した。

婚約腕輪か……ココリ街に戻って落ち着いたらと思っていたが、現状特にやることはない。

本人が望むならもう作って渡してもいいのかもしれない。

「……とりあえず、何かお礼のプレゼントを渡すから、今夜にでもメイヤの部屋に行くよ」

この台詞に、メイヤは先程のノーラとは比べものにならないほど瞳をキラキラと輝かせる。

「本当にお気になさらないでください。わたくし、本当にそんなつもりはありませんからっ」

再び、謙虚な台詞を告げるが、口元のニヤケをまったく隠そうとはしない。

オレはそんな彼女の態度に微苦笑しながら、断りを入れて先に席を立つ。

メイヤの期待に満ちた熱視線を背中にあびながら、オレはカフェスペースを出る。

向かう先はリースの所。

婚約腕輪を作るため、彼女から魔術液体金属をもらうためだ。

オレはリースの居そうな場所に思いをめぐらせ、歩調を早めた。

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メイヤはリュートと別れると、地下1階のバーへと向かう。

数日前、リュート&ギギが飲んでいた宿屋のバーだ。

本来、夜にしか空いていないバースペースだったが、メイヤが階段を下りると扉の前に男性店員2名が立っており、分厚い防音仕様の扉を開き中へと迎えてくれる。

メイヤはそれが当然とばかりに、男性店員に黙礼もせずさっさとバー店内へと足を踏みいれた。

バー店内には、音楽を奏でるスペースがある。

日によって演奏されることがあり、音楽を聴きながら客達は談笑を楽しむ。

なぜか今回は昼間にもかかわらず、楽団が揃いそれぞれ楽器の調整をしていた。

メイヤはそんな彼、彼女達にも目をくれず同じようにステージへ上がる。

まるでメイヤはオーケストラを指揮する指揮者のようだった。

彼女は楽団に背を向け、彼・彼女達がいない者のような態度を振る舞った。

「……ついに来ましたわ」

彼女は誰に聞かせるでもなく1人呟く。

「ついに来ましたわ! わたくしの時代が!」

その声はすぐに大きくなった。

「雨にも、雪にも、風にも、嵐にも、雷にも負けず、陰に日向にこっそりとアピールをし続け早数年……! 今夜! ようやくこの世界の歴史上前にも、後ろにも今後出現しない偉大な魔術道具開発の大天才神である愛しの! あぁぁあ! 愛しのリュート様からようやく正妻の結婚腕輪を贈られますわ!」

メイヤは自分の体を抱き締め、狂おしく悶える。

一方、背後にいる楽団員達が楽器の調整を終え、無表情で合図を待っている。

その対比はなかなか壮絶な光景だった。

もしこの様子をリュートが目撃したら、ドン引きするのは確実だろう。『やっぱり結婚腕輪を贈るのはなかったということで』と言われかねないレベルだ。

しかし、メイヤはそんなことも気にせず、興奮したまま高らかに叫ぶ。

バーが防音仕様で本当によかった。

「あぁ! 今夜が待ちきれませんわ! もうリュート様への愛しい想いが溢れすぎてこの繊細で傷つきやすいわたくしの心が今にもはち切れそうですわ!」

『繊細』とか『傷つきやすい』とか言う言葉は、メイヤとは本来かけ離れたものなのだが――彼女は大仰に両手を広げ宣言する。

「だから、わたくし歌います! この想いを少しでも吐き出すため! そして愛しいリュート様に想いが少しでも届くことを願って!」

メイヤの背後に居る楽団が演奏準備に入る。

「聞いてくださいまし、この想い! 『リュート様マジラブ3000%正妻の理! メイヤ・ガンスミスの正妻力が留まるところを知らない!』ですわ!」

無駄に長い自作の歌タイトルを告げると、楽団が演奏を始める。

メイヤは一心不乱に歌い出す。

本当にバーが防音設備完備でよかった――楽団員達は皆そう思った。

ちなみにバーや楽団の人達は、メイヤが自身の資金を使い高給を支払い集めた人達だ。

おおよそ考えられる無駄遣いでも、世界ランキングトップ3に入るレベルだろう。

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無事、リースを見付け、オレは彼女から魔術液体金属の小樽を受け取る。

リースはスノー、クリス、そして元女魔王のアスーラと連れだって街へ買い物に出ようとしていた。もちろんシアは影のように彼女達の後へ付いていく。

丁度、宿から出たところだった。

オレも街への買い物に誘われたが、メイヤの結婚腕輪を作らなければならないため断りを入れる。

自室に戻ると早速、メイヤの結婚腕輪を製作に取り掛かる。

彼女に贈る腕輪のイメージは細部の微調整以外はほぼ完成しているため、製作はそう難しくない。

ソファーに腰掛け、小樽をテーブルへ置いて手を中へ入れようとすると――

ノックの後、返事も聞かずに扉が開く。

「リュートくん!」

部屋に入ってきたのは先程、街に買い物に出かけた筈のスノー達だった。

いくらなんでも帰ってくるのが早すぎるだろう。

オレが疑問を抱いていると、意外な人物が顔を出す。

「ら、ラヤラ! どうしてここにいるんだ!?」

獣人種族タカ族、ラヤラ・ラライラ。

PEACEMAKER(ピース・メーカー) の疑似 無人機(UAV) を担当する少女だ。

本来、獣人大陸のココリ街で働いているはずなのだが、どうしてここにいるんだ!?

彼女は汗だくで、顔や衣服が汚れている。

まるで何日もお風呂に入っていない状態だ。

「き、緊急事態が、フヒ、起きたってみ、ミューアさんに言われて団長達が居るここまで、と、飛んできました。詳しい内容は、ミューアさんから渡されたこの手紙に、フヒ、かかれてあります」

緊急事態?

確かにラヤラは膨大な魔力と種族特性でほぼ1日中飛ぶことができる。

彼女が無理をすれば、飛行船よりずっと速く大陸間を移動することができるだろう。

その無茶をするために極力荷物を減らして、身軽にしてここまで文字通り飛んできたらしい。

とりあえず、疲労困憊のラヤラをベッドに寝かせて休ませる。

シアには胃に優しく、食べやすい料理を持ってくるよう指示を出す。

そしてオレはここまでして急いて彼女が持ってきた手紙の封を切り、内容を確認した。

「!?」

『リュートお兄ちゃん、手紙にはいったいどんなことが書かれてあるんですか?』

クリスが緊張した表情で問いかけてくる。

オレは彼女にすぐ返事をすることができず固まってしまった。

手紙を持つ腕が震えるほどだ。

「リュートさん、大丈夫ですか? 顔色が青いですが……」

リースの心配する声に意識がようやく再起動する。

「……すまない心配をかけて。もう大丈夫だ。しかし、確かにこれはミューアがラヤラに無理をさせて運ばせるわけだ」

手紙を掴む腕に力が篭もる。

「……『 始原(01) 』が、エル先生を取り押さえるため動き出そうとしているらしい」

魔術師S級が率いる最強の 軍団(レギオン) 、 始原(01) が見せている不穏な動き。

その場に居るアスーラを除くスノー達全員が息を飲む。

オレ達が魔物大陸で『魔王と5種族勇者の物語』について、真実を知った。

その後すぐ 始原(01) が、オレとスノーの育ての親であるエル先生に接触しようとする。

これは偶然か?

どれだけ贔屓目にみてもそれはありえない。

恐らく 始原(01) は、オレ達がこの世界の真実に到達したことを知っている。

だから、エル先生を捕らえて、オレ達に対する交渉材料や誘き出すエサにするつもりなのだろう。

想像するだけで体中を流れる血液が燃えているように熱くなる。

「リュートくん……」

スノーの静かな問いかけ。

しかし、声音にはオレと同じかそれ以上に燃えさかる怒気が含まれている。

もちろん、オレの返答は決まっている。

「これ以上、悠長に飛行船の順番を待っている暇はない。どんな方法を使ってでも今すぐ飛行船を確保して、 始原(01) 達より早くエル先生を保護しよう!」

オレの言葉にスノーだけではなく、クリス、リース、ラヤラ。そしてアスーラまで頷いてくれる。

オレも力強く頷き返し、手紙をしまうとすぐに部屋を出た。

そして、スノー達に出発の指示を鋭く飛ばした。

▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼

獣人大陸、ココリ街。

新純潔乙女騎士団本部。

午後、ココノは自室で窓を開き、太陽に向かって祈りを捧げていた。

床に膝を突き、手を胸の前で組み、目蓋を閉じ祈りを捧げ続ける。

「……天神様、どうかリュート様、そして皆様をお守り下さい」

現代最強の 軍団(レギオン) 、 始原(01) がリュート達と敵対するかもしれないと知って、ココノは時間を見付けてはこうしてリュート達の無事を願い祈りを捧げていた。

自分にはこれぐらいしか出来ることがないと歯噛みしながらも、ただひたすら無事を願う。

扉をノックする音。

ココノは祈りから顔を上げ、扉を開く。

そこには新・純潔乙女騎士団団員の1人が居た。

どうやらココノにお客様が来たらしい。

「お客様ですか?」

しかし、今の時期に彼女を訪ねてくる人物に心当たりがなく思わず首を傾げてしまう。

そして、部屋に1人の人物が入ってきた。

ココノが驚きの表情を浮かべる。

「あ、貴方様は……ッ!?」

<第13章 終>

次回

第14章 始原(01) 編―開幕―