軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第128話 メイヤ&シア、純潔乙女騎士団団員達vs甲冑軍団残党

プランΣは戦闘行為に突入した場合、それぞれ事前に決めた相手を撃滅又は取り押さえる――というものだ。それぞれが役割を終えたら、担当指揮官の指示に従い他戦闘へ援軍へ向かうとも決めていた。

まずメイヤ&シア、純潔乙女騎士団団員達vs甲冑軍団残党の戦いが始まる。

対戦車地雷の直撃を受けた甲冑軍団は、最初300体あった数を大きく減らした。

現在は大凡、10数体まで激減している。

簡単な命令を実行することしか出来ないが、魔力が尽きない限り疲労をしらず、痛みを感じず、恐怖も、躊躇いもなく攻撃をしかけてくる。甲冑は通常のより分厚く、自動で保有する魔力が続く限りこちらからの攻撃を防いでしまう。

そんな怪物的甲冑がまだ10数体残っているのだ。

数は減ったとはいえ、脅威と言って差し支えないだろう。

「走れ! 走れ! 追いつかれたら奴らのぶっとい腕でくびり殺されるぞ!」

シアがメイド服姿のまま、団員達を叱咤する。

彼女達は今、ココリ街の街道を外れた平野を走っていた。

シアは時折背後に向かって、AK47を発砲したり、防御用の『破片手榴弾』を投擲していた。

だが、相手は40mmグレネードの直撃にも耐えきる怪物。せいぜい足止め程度にしかならない。

実際、銀色の甲冑達は銃声にも爆発音にも恐怖せず、その手に武器を持ち彼女達を狼のように追い続ける。

「ほら! もうすぐ終着地点だ! 敵を彼女達の前に誘い出せ!」

シアと団員達はただ闇雲に走っていた訳ではない。

彼女達が向かう先には、メイヤと数人の純潔乙女騎士団団員が塹壕から顔を出していた。

塹壕前には土嚢が積まれ、 汎用機関銃(ジェネラル・パーパス・マシンガン) ――PKM3丁が準備を終えて待ち構えている。

少女達はPKMの射線から外れるように迂回し、塹壕へと飛び込んだ。

遅れて最後の破片手榴弾を投げ終えたシアが塹壕へと飛び込む。

「メイヤ様、後は頼みます!」

「ええ、任せなさい! リュート様というこの世界の至宝に牙を向ける愚者、駑馬、鈍物共をこのわたくし! リュート様の一番弟子にして、右腕、腹心のメイヤ・ドラグーンが正義の! いえ、神に代わり神罰を与えてやりますわ!」

「メイヤさん! メイヤさん! 敵! 敵がもうすぐそこまで来ていますぅうぅッ!」

塹壕へ駆け込んできた団員の1人が悲鳴に近い声をあげるが、メイヤは自分の台詞に酔っているのかウットリとして表情で陶酔感に浸っている。

銀色甲冑軍団との距離が10mを切った。

刹那――甲冑軍団の姿が消失する。

事前に仕掛けていた落とし穴に嵌ったのだ。

しかしそれはただの落とし穴。深さも上れないほどではないが、単純な命令しか聞けない甲冑はすぐに穴から出ようとはしなかった。

状況を認識するまでのタイムラグがあるのだ。

それが勝敗を分ける。

メイヤが鋭い声で、指示を出す。

「投げ入れなさい!」

『はい!』

メイヤの指示と同時に、落とし穴に『対戦車地雷』が放り込まれる。

投げ入れたのは、メイヤと一緒に塹壕に待機していた純潔乙女騎士団、団員達だ。

直後――『対戦車地雷』の爆発エネルギーは落とし穴上空へと突き抜ける。

大量の土埃も一緒に巻き上げ、一帯を暫く視界不良にした。

そんな悪環境にいながら、メイヤは1人塹壕から身を乗り出し、両手で頬を挟みウットリとした表情を浮かべる。

「さすがリュート様、まさか本来待ち伏せ専用の防御型兵器である『対戦車地雷』をこんな素晴らしい攻撃型兵器にしてしまうなんて……ッ」

まるで感じているかのように、メイヤは身悶え、体を震わせる。

リュートが対戦車地雷の中で『T.Mi.35』を選んだ理由はここにあった。

『T.Mi.35』は側面、底面に排除防止用信管が備えられている。

本来の使い方としては――金属探知機などで敵が地雷を発見、その後敵兵が上部のメイン信管を外す。これで爆発しないと敵兵を油断させ、地雷を持ち上げさせる。

結果、側面や底面に排除防止用信管があり起爆させる――というものだ。

しかしこの排除防止用信管には別の使い方がある。

それが先程、メイヤの指示の元、団員達が穴に手榴弾のように対戦車地雷を投げ入れたやり方だ。

本来は消極的防御兵器である対戦車地雷だが、排除防止用信管(通常は側面のソケットを使用する)に手榴弾用の信管(B.Z.24など)と起爆信管の2つを取り付ける。

後は戦車に駆け寄り、手榴弾信管を点火して対戦車地雷の取っ手を握り締め投げつける。こうして敵戦車を破壊することが出来るのだ。

リュートは事前に最初の対戦車地雷で倒しきれなかった甲冑軍団は、まとめてこの方法で倒す予定を立てていた。

そのためルッカが甲冑軍団に演説をしている間に、魔術の力を使って落とし穴を掘っておいたのだ。

塹壕と土嚢、PKMは全て落とし穴から意識を反らすための罠だった。

メイヤは土埃が舞う中、飽きもせず喋り続ける。

「さすがこの天才魔術道具開発者、ごほごほ、と呼ばれたわたくしが、げほご! 神とあおぎ、敬愛し、ごほげほ、尊敬するお方ですわ! げーほげほ! この世界はやはり、リュート様に、ごほんごほ! によって統治されるべき、ごほ! げほ!」

「……メイヤ様、お辛いなら無理に喋らない方が宜しいのでは?」

さすがに見かねたシアが、ハンカチをメイヤに差し出しながら指摘する。

あまり感情を表に出さない彼女にしては珍しく、メイヤをどこか畏怖するように冷や汗を流した。