軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第98話 再会・思い出話

右手にAK47、左手にPKM、 ALICE(アリス) クリップには攻撃用『爆裂手榴弾』と防御用『破片手榴弾』をみっちり装備する。背中にはパンツァーファウスト60型を2本刺し、肩には襷がクロスするようにベルトリンク給弾状態で留められた7.62mm×54Rとグレネード弾をじゃらじゃらと鳴らす。

顔にドーランでペイント。

額に巻いた鉢巻きを靡かせて、勝手知ったる懐かしい応接室へと雪崩れ込む。

「どこのどいつじゃぁ! うちのエル先生にちょっかい出す野郎は!? ケツの穴から腕をツッコンで奥歯ガタガタいわしたる!」

「うおぉ!? な、なんだね、君は!?」

「きぃ~さ~ま~かぁ~!!!」

応接間には1人の男性が座っていた。

背は高く190センチ近くある偉丈夫。髪は短く髭を生やし、どちらも白髪交じり。片目を眼帯で覆っている。

見た目は完全に元世界だったら大佐とか呼ばれていそうな軍人だ。

年齢は高く、中年から、初老1、2歩前と言ったところだ。

この野郎が年甲斐もなくエル先生に手を出そうとしてやがるのか!?

どうせエル先生の美貌と性格・存在そのものに眼が眩んで権力&金にものを言わせ、もしくは孤児院の存続を楯に迫っている悪党に違いない。いや、きっとそうだ!

つまり、こいつを滅ぼして問題ないということだ。

「肉片1つ残ると思うなよ?」

「はっ!? ちょ! わ、儂は君とは初対面で……」

「言い訳など聞かん! How about a nice cup of shut the f○ck up《とっておきのクソを口いっぱいに喰らいやがれ》!」

AK47& 汎用機関銃(ジェネラル・パーパス・マシンガン) のPKMの銃口を男性へと向ける。

「リュートくん! 私の友人に何をするつもりですか!」

「イテテテテテ! 痛いです! 痛いですよ、エル先生!」

遅れて到着したエル先生に思いっきり耳を引っ張られる。

エル先生に耳を引っ張られるのは、オレがリボルバーを暴発させ怒らせた時以来だ。

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装備していた武装一式を改めて仕舞い、オレはエル先生の指示の元、床に座らされていた。

前世で言うところの正座だ。

エル先生は頬をふくらませて怒っている。

「まったくリュートくんは。お客様に対してあんな失礼な態度を取るなんて。いくら先生の友人でも、冗談では済まないこともあるんですよ」

「はい、すみませんでした」

謝罪を口にするが、眼は相手の男性に食らいついて離さない。

人の良い先生は気付かず、目の前にいる男性を紹介してくれる。

「彼は先生の古い友人で人種族のガルマさんです。冒険者レベルⅤの凄腕の方なんですよ」

「エルさん、儂はもう『元』冒険者だよ」

ガルマ、と呼ばれた男性はエル先生の紹介に苦笑する。

そうかガルマって名前か……これで顔と名前は覚えたぞ。

ぜってぇーに忘れねぇー。

応接間の席についているスノー達が、質問する。

「エル先生は……そのガルマさんと結婚するんですか?」

スノーの質問にガルマが爆笑する。

「あっはっはっ! まさかまさか。儂には家内がいて、娘も孫もいる。エルさんに手を出そうなんて気はこれっぽっちもないよ。それで彼は血相を変えて、儂に襲いかかってきたわけか、相変わらず人徳があるなエルさんは」

「もうガルマさんたら、からかわないでください」

2人は親しい者同士の和やかな空気で笑い合う。

勘違いだった、だと……!? では誰だ? エル先生に手を出すふとどき者は!?

「では、エルさんはどなたとご結婚なさるんですか?」

スノーに続いて、リースが尋ねる。

そうだ、それが聞きたかった! リース、ナイス質問!

「いえ、結婚するのではなく、ガルマさんに『相手を紹介するから結婚しないか?』と結婚話を申し込まれちゃっただけですよ。私は最初から断るつもりです」

結婚話を持ち込んできた!?

やっぱり目の前の野郎は敵じゃねぇか!

敵は殲滅するベきだろ!?

オレは喉から『ガルガルガル』と唸り声をあげ、ガルマを睨み付ける。

スノー達から呆れた視線を向けられるが気にしない。

「……じゃぁ、わたし達に相談したいことってなんですか?」

スノーはオレから視線を外すと、再度尋ねる。

エル先生がかいつまんで、オレ達が到着するまでの間受けていた説明を聞かせてくれた。

ガルマは現在獣人大陸で『純潔乙女騎士団』という 軍団(レギオン) の顧問を担当しているらしい。

純潔乙女騎士団は元は有名な 軍団(レギオン) だった。

女性しか入れない 軍団(レギオン) で、試験にさえパスすれば魔術師の才能がなくても、貧しい農民、貧乏貴族等――貧富の差が無く入れる 軍団(レギオン) だった。

しかし世代交代が進み実力が低下。

元冒険者レベルⅤのガルマが急遽顧問について、最低限の体裁は整えている状況だ。

これ以上、実績を落とすと 冒険者斡旋組合(ギルド) から、 軍団(レギオン) 解散命令が下される。

ただでさえ現在はガルマが元冒険者レベルⅤ、既に純潔乙女騎士団を引退しているOGが名前を貸しギリギリ 軍団(レギオン) 創設状況を保っているに過ぎない。

ガルマ自身、歳的にそろそろ引退したいらしい。

そこで白羽の矢が立ったのはエル先生だ。

ガルマはエル先生を純潔乙女騎士団の団長として迎え入れることを画策した。

エル先生に冒険者の経験はないが、一時その治癒魔術の腕で治療院をしていた。そのお陰でエル先生は顔が意外と広い。

エル先生が団長になれば、彼女を慕う実力者が入団するかもしれない――という狡い策略だ。

結婚話も、獣人大陸に移るなら自身のツテで条件が良い男を紹介すると言い出した。

なんだ、やっぱり敵じゃん、こいつ。

もちろんエル先生は結婚話も、純潔乙女騎士団入団も拒否。

しかしさすがに古い友人が尋ねてきたのに無下にする訳にはいかず、ちょうど尋ねてきたオレ達に 軍団(レギオン) について相談したかったらしい。

「リュートくんも 軍団(レギオン) 創設を目指していましたよね? 凄い魔術道具を作るぐらい実力もあるし、ガルマさんの代わりに顧問を務められると思うんだけど……」

「すみません、エル先生。実はもう僕、自分の 軍団(レギオン) を作ってしまって」

「ほう! その歳ですでに自身の 軍団(レギオン) を創設するとは!?」

これにガルマが反応する。

今度はオレが、リースの姉の件や注射など話せない内容を伏せて 軍団(レギオン) 創設経緯を話し聞かせる。

一通り聞き終えるとエル先生は……

「 PEACEMAKER(ピース・メーカー) ……平和を作る者ですか。良い 軍団(レギオン) 名ですね。でもまさか本当に 軍団(レギオン) を創設するなんて驚きました。これからも頑張って夢を叶えていってくださいね」

「ありがとうございます! エル先生!」

オレは床に正座したまま素直に返事をする。

エル先生に褒められると、痺れてきた足も気にならなくなる。

「ふむ、話を聞けば聞くほどリュートくん達に是非、純潔乙女騎士団の顧問について欲しいが……無理強いするわけにはいかないな」

ガルマは溜息を1つして、微苦笑する。

「予想していたとはいえエルさんにも断られてしまったし、他を当たってみるとするよ」

「ごめんなさいガルマさん、お力になれなくて」

「いやいや、さっきも言ったが断られるだろうなとは思っていたから、気にしないで欲しい。だが……儂達もいい加減いい歳だ。もうそろそろアイツのことも――」

「ガルマさん!」

珍しくエル先生が声を荒げる。

「……子供達の前ですから」

「すまない……。だが、儂は友人としてエルさんの幸せを望んでいるんだ。それだけは忘れないでくれ」

「……ありがとうございます。でも、私は子供達に囲まれていますし、リュート君達のようにわざわざ会いに来てくれる子達も居ます。だから私は今、とっても幸せですよ」

その笑顔には嘘偽りなど一切無かった。

「そうか……儂は余計な世話をしてしまったようだ」

ガルマさんは何度目か分からない微苦笑を浮かべる。

彼はその後、すぐ孤児院を後にした。

エル先生は泊まっていくよう勧めたが、オレ達が来る前に十分話が出来たら大丈夫――と、固辞して孤児院を出て行ってしまった。

オレ達は――というと、さすがに孤児院に泊まる訳にはいかない。

客室などなく、男子部屋に雑魚寝になる。

久しぶりにそれも悪くないが、他の子供達に悪い。

そこで宿泊は飛行船に寝泊まりすることになる。

寝床問題はこれで解決。

オレ達はハイエルフ王国、エノールで貰った食材などを提供して久しぶりにエル先生と食卓を囲んだ。

食卓を囲み、今まで経験してきた思い出話や名誉士爵になったことを報告する。

エル先生だけではなく、孤児院の子供達も目を丸くして話に聞き入ってくれた。

そして食事が終わった後も、オレ達は思い出話などに花を咲かせた。

深夜、遅くまで孤児院は笑い声に包まれた。