軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第99話 竜人大陸への帰還

翌日の昼過ぎ、オレ達もあまり長居をして孤児院の邪魔をしてはいけないと早々に旅立つ。

飛行船側には、エル先生他、孤児院の子供達も揃っていた。

子供達は見知った顔もあれば、見覚えのないのもある。

全体的に人数が増えている気がするが、エル先生の才覚なら問題なく養えるだろう。

それに今回の帰省で、ハイエルフ王国の事件を解決し得た資金の一部を孤児院に寄付した。

エル先生はその金額に眼を丸くし、『多すぎます』と辞退しようとしたが大した金額ではないからと無理矢理押し付けた。

お金はあって困るものではない。

そして、別れ際、オレ達は代わる代わる挨拶を交わす。

スノーが子供のようにエル先生にギュッと抱きつき、暫く離れなかったのが印象的だ。

オレの番になり、握手を交わす。

「それでは行ってきます。何か困ったことがあったら連絡ください。どんなクエストを請け負っていても、最優先で駆けつけます」

「はい、気を付けて行ってらっしゃい。その気持ちだけで嬉しいですよ。でもリュートくんはもう3人のお嫁さんを持つ旦那さんなんですから。奥さん達のことを優先に、大切にしてあげてくださいね」

「もちろんです」

最後に挨拶をしたのはリースだった。

彼女は難しい顔でエル先生に声をかける。

「昨日はお世話になりました」

「いえいえ、大したおもてなしもできず。リュートくんとスノーちゃんのこと宜しくお願いします」

「こちらこそ、リュートさん達には色々助けられているので……あの、最後に失礼なことをお尋ねしても宜しいですか?」

リースは神妙な顔で尋ねる。

「私達、昔どこかでお会いしたことありましたでしょうか?」

「い、いえ、初対面ですよ。ふふふふふふ……ッ」

「そう……ですよね。初対面ですよね。すみません、リュートさんとスノーさんの尊敬する方に失礼なことを言ってしまい」

「いえいえ、お気になさらず」

リースの質問に珍しくエル先生が声を上擦らせている。

そんな動揺する質問だったか?

オレは首を捻りながらも、飛行船に乗り込む。

底に敷き詰められた魔石が反応し、飛行船の巨体を浮かせる。

エル先生と子供達は、オレ達の姿が見えなくなるまでずっと、寒空の下で手を振り続けてくれた。

そしてオレ達は約1ヶ月と少し使って竜人大陸へと戻って来た。

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飛行船が着陸すると、後は専門業者に頼み、借りている倉庫へと運んでもらう。

私物や荷物は飛行船に入れたままだが、取り出すのは後日だ。

今は兎に角、休みたい。

オレ達は馬車でメイヤ邸へと向かう。

今日はこのまま自宅へ帰らず、メイヤ邸で一泊する。

自宅に帰って風呂を準備して、食事の用意等するのが面倒だからだ。

メイヤ邸に着くとまずは風呂。

女性陣は皆一緒に風呂場へと向かう。

オレは毎度ながら1人で湯船に浸かる。

べ、別に1人で寂しい訳じゃないんだからね!

しかしやっぱり風呂はいい。

自宅にも湯船が欲しいな。

タオルで体を拭くだけというのはやっぱり味気ない。

それに自宅に風呂があれば、嫁3人と一緒に入ることが出来るのだ。

(うはぁ! 考えただけでテンションマックスなんですけど! マジやばいわ!)

風呂から上がる。

流石に女性陣の方が長湯だった。

風呂から上がってきた女性陣は、皆竜人大陸の伝統衣装ドラゴン・ドレス姿だった。

ドラゴン・ドレスはチャイナ服のデザインそのままだ。

「こんな足が見えるなんて……。それにスースーして落ち着きません」

「そう? ルナは別に気にならないけど。それにクリスちゃんとお揃いなのが最高だよ!」

リースとルナも初ドラゴン・ドレス姿を披露する。

2人ともとてもよく似合っていた。

彼女達が揃ってから食事。

久しぶりに竜人大陸メニューを口にする。

竜人大陸の食事は中華っぽくて美味い。

食事を終えるとそのまま予定通り一泊する。

さすがにメイヤ邸で嫁達と一緒に眠るわけにはいかず、オレは1人与えられている自室で眠る。

問題が起きたのは翌朝、朝食の席だった。

「どうしてお姉ちゃんが良くて、ルナが一緒に住んじゃいけないの!」

ルナが回転テーブルが揺れるほど強く叩き、抗議の声をあげる。

自分がオレの自宅へ住めないことを怒っているのだ。

オレが家主として説明する。

「部屋がないんだからしょうがないだろ。それにルナも狭い部屋よりメイヤの屋敷で広々と生活した方がいいだろ?」

「いや! ルナはクリスちゃんと一緒がいい」

「わたくしも出来れば、リュート様と一緒の方が……いえ、なんでもありませんわ」

メイヤを一睨みして黙らせる。

オマエまで言い出したら話に収拾がつかなくなるだろうが。

第一、無理をすればルナぐらい一緒に暮らせるし、もっと広い家に引っ越してもいい。だが、折角の新婚なんだ。

小姑と一緒に暮らすのはもう少し先でもいいじゃないか。

ルナがいなければ、ほら、ねぇ、色々ハッスルできるだろう?

オレの奴隷、リースの護衛メイドとして同行したシアがフォローを入れる。

「ルナ様、あまり我が儘を言って若様を困らせては駄目ですよ。無理を言って付いて来れただけでも運が良かったのに。あまり我が儘が過ぎますと、送り返されてしまいますよ」

「うぐぅ、それは嫌……」

その一言でルナが大人しくなる。

流石、シア。

「では、ボクと一緒にメイヤ様のお屋敷で生活しましょう。もちろんお勉強等に手を抜いたりはしませんからね」

「えぇ~」

ルナは嫌そうな声をあげるが、一国の王女、大事な娘さんを預かっているんだ。勉強をサボらせる訳にはいかない。

話と朝食が終わると、オレ達は早速街に出る。

リース、ルナに必要な買い物をするためだ。

買い出しはスノー、クリス、ルナ、シアに任せる。

メイヤには飛行船に置いてある私物、荷物の運び出し作業の監督をお願いした。

オレとリースは 冒険者斡旋組合(ギルド) へ帰宅した事と、 軍団(レギオン) 『 PEACEMAKER(ピース・メーカー) 』の立ち上げ、新たに加わったメンバーであるリースを紹介しに行く。

竜人大陸の 冒険者斡旋組合(ギルド) は3階建ての木造で大きさは体育館ほど、冒険者らしき人達がひっきりなしに出入りしている。

入り口を2人で潜り、待合いの木札を受け取る。

暫し待っていると、受付嬢に呼ばれた。

カウンターのサイドに仕切り用の板が立てられている半個室カウンターに座り受付嬢と向かい合う。

もちろん担当はあの 魔人種族(まじんしゅぞく) の女性だ。

見た目の年齢は20台前半、頭部から羊に似た角がくるりと生え、コウモリのような羽を背負っている。 冒険者斡旋組合(ギルド) 服がよく似合っていた。

恨み言さえ吐き出さなければ美人な女性だ。

彼女はオレの姿を眼にすると笑顔を浮かべる。

「お疲れ様です、リュートさん。竜人大陸に戻って来てらしたんですね」

「はい、昨日には。そういえば、ハイエルフ王国のエノールにある 冒険者斡旋組合(ギルド) で妹さんに会いましたよ」

「ええッ! 妹にですか!?」

そしてオレ達は久しぶりの会話を楽しんだ。

一通り近情を交換し合うと、話は具体的な用事に入っていく。

「結局、ツインドラゴンの値段はいくらついたんですか?」

「状態がよかったので金貨1100枚になりました」

約1億1千万か。

そこからさらに輸送費、人件費を引いた金額が提示されるが、ハイエルフ王国で引き落とした金額も引かれる。さらに飛行船での移動前に、エノール国王から貰った必要経費+報酬金+ 大蠍(ジャイアント・スコーピオン) 討伐&素材代金を、ハイエルフ王国エノールにある 冒険者斡旋組合(ギルド) に入金した。

その辺の金額移動はオレのタグに記録されている。

タグを受付嬢に預け最終的に残った金額を聞く。

エル先生の孤児院へ寄付もしたが、大分いい金額が残っている。

「ツインドラゴンを幼生体とはいえ倒したので、レベルⅤになるかも――とは、思っていましたがまさか 軍団(レギオン) を創って戻ってくるとは予想してませんでした。さらに末席とはいえ貴族の位を貰うなんて……よっぽどあちらで凄い手柄をお立てになったんですね」

「手柄というより、色々運が良かっただけですよ」

元日本人特有の謙遜を使う。

受付嬢の視線が、話の区切りでオレの隣に座るリースへ流れる。

彼女は営業スマイルのまま水を向けて来た。

「それでずっと気になって居たんですが……そちらは?」

「はい、3人目の嫁です!」

「……つまり夢だった 軍団(レギオン) を立ち上げ、貴族になり、3人目の可愛くて巨乳な嫁を貰ったんですか?」

「そうですね。そうなりますね」

「そうなんですか、そうですか! あははっはっははは…………星明かりの無い夜は背後に気を付けてください」

怖いよ!

突然、明るい笑顔からスイッチが切り替わったように、黒いオーラを放つような暗い顔に変わる。

あまりの変貌振りに、リースが『ひぃッ』と小さく悲鳴を上げ、オレの腕にしがみついてきた。

オレ自身、彼女の身長に合わない巨乳が押しつぶされる感触を楽しむ余裕もない。

「つい最近も私より若い娘が結婚……しかも子供が出来たからって。結婚する前に子供作るなんて……私より若いのに……許せない許せないユルセナイ」

悪魔か!? とツッコミを入れそうになるほど怖い表情になる。

もう誰かもらってやれよ!

そんなこんなで 冒険者斡旋組合(ギルド) への報告も終わり、建物を後にする。

ここの所、働きづめだったため当分休むと伝えた。

しかし、もし自分達――『 PEACEMAKER(ピース・メーカー) 』向けのクエストがあったら受けると伝えておく。

本物の悪魔化したような受付嬢さんに、言葉が通じているかどうかは分からないが。

オレとリースは腕を組んだまま、メイヤ邸へと戻る。

スノー達はすでに戻っていたが、屋敷の主であるメイヤはまだだった。

現在進行形で飛行船の荷物や手続き等をしているのだろう。

そして、そのままメイヤ邸にもう一泊。

自宅へ戻ったのは、その翌日からだった。