作品タイトル不明
第101話 食〇――ッ!!②
『さて、いよいよ調理作業に入ります! おおっと小鈴ちゃん! フライパンを三つ用意して油を敷き火を入れる! そしてさっそくオーク肉の塊に手を掛けました!』
小鈴はオーク肉を前にし、包丁を掴んだ。
じっと肉を見下ろし、淡々と呟く。
「それでは始めます。――【調理】」
すると、小鈴の身体が暖かい光に包まれた。その光は手に持った包丁にまで及んでいる。
これぞ〈料理人〉のスキル【調理】。これを発動した瞬間、使用者の魔力が食材にまで影響を与え、食材が本来持つポテンシャルを引き出すことができるようになる。
『おおーっと! 小鈴ちゃん、スキルの光に包まれたと思ったら、迷いなく肉をカットしていきます!』
『さすがにプロの〈料理人〉だけあって手際がいいですね。もうこれだけで美味しい物を作ってくれるという予感が――あ、もう焼くんだ? へぇ……』
残念ながら、実況席の二人に料理の知識はほぼない為、彼女のやろうとしていることの説明は出来ない。しかし、その必要がないほど小鈴の動きは見る者を楽しませた。
カットした肉を強火で焼く、ジュゥウウウウ、という音と共に肉の匂いが溢れ、それだけで涎が出そうになる。今度は弱火にしてから蓋をして放置。その間にいくつもの野菜をカットし、炒める。
同時にいくつもの作業を並行しながら、その動きに乱れはない。どんどん食材を料理へと変えていく。その作業は見ているだけでワクワクするものがあった。
『いやー、さすが〈料理人〉! 見事なパフォーマンスです!』
『はい。この点に関しては楓太とは比べ物になりませんね。【錬金術】は鍋に入れてあとは魔力を注ぐだけなので。見栄えで言えば〈料理人〉とは比べる事すら烏滸がましいです』
『そうですねー。まぁアイツも頑張っていることには変わりないでしょうし、いくらつまらなくても応援だけはしてあげま――ああああっと!? こ、これは――!?』
川辺は楓太に目をやり、驚愕した。
楓太は――パイプ椅子に座って足を組み、がっつりスマホを弄っていた。
『な、なんと楓太のやつ! スマホです! スマホを弄っております! 向かい側では対戦相手が【調理】を進めているというのに、だからなに? と言わんばかりです!』
『いや、まぁ【錬金術】で料理をするなら、三十分もあれば充分ですからね。食材を放り込んで魔力を注ぐだけなので。時間が余るのでしょうが、まさか堂々とスマホを弄るとは思いませんでした』
舐めプにも程がある。
さすがにこれには小鈴もイラッとした表情を浮かべた。
しかし、それ以上に実況席の川辺が怒っていた。
『だとしても、これは無礼過ぎる! とても真剣勝負だとは言えません! 小鈴ちゃんの本気をなんだと思っているのか! いくら親友といえど、この態度は見過ごせませ――『いくわよっ、お兄ちゃんっ!【 不思議の国のアリス(アリス・イン・ザ・ワンダーランド) 】ッ!!』――今のはシュガレスのメインキャラクター兼ヒロインであるアリスの【 極演(クライマックス) 】発動時の声ですね。許します。実は私、どうにかして楓太をシュガレスに染められないかと画策しておりまして、最近シュガレスの可愛いヒロインたちを布教しておりました。あの巨乳好きにはどのキャラを見せても今一つの反応でしたが、スノウリリィというキャラを見せた所、どうやら刺さってくれたそうでシュガレスを始めてくれたという経緯があります。ちなみにこのスノウリリイ、シュガレス第五章〝天災たる 白雪姫(スノウリリィ) 〟のメインキャラクターであります。ロリ系の可愛らしい女の子が多い中、数少ない巨乳クール美人系のキャラであります。シュガレス信者としては苦渋の選択ではありましたが、シュガレスへの理解者が増えるのならば背に腹は代えられない! 見事楓太を吊り上げることにも成功したので良しとしましょう! ソシャゲセールスランキング上位常連! 人気沸騰によりコミック化、ノベル化だけではなく、来年には映像化まで予定されております!〝この世界に、甘い 物語(ハナシ) はありえない〟のキャッチフレーズでおなじみ、超人気スマホゲーム〝シュガーレスファンタジー〟! 略してシュガレスであります! 皆様もどうぞ応援よろしくお願いします!』
『ダイマは止めろ。長いんだよ』
実に私情がバリバリの実況だった。というかもはや実況ではない。宣伝だ。
長々と川辺が語っている間に、楓太もいつの間にか【錬金術】に入っていた。
小鈴が忙しなく動いている中、楓太はじっとそのまま魔力を注ぎ続ける。
そうしていよいよ、料理がいよいよ完成しようとしていた。
『さぁ、制限時間も残り僅かです。小鈴ちゃんの方は順調にでき上がりそうですね』
『さすがプロの〈料理人〉。時間管理もお手の物です』
実況の言う通り、残り十分を残して小鈴は盛り付けの準備に入ろうとしていた。
その顔には小さな笑みが浮かんでいる。どうやら【調理】自体は成功したようだ。自分の実力以上の素材を使った上で成功しているとなれば、自信を持つのも当然だろう。
『これは楓太も負けてられませんね。まぁアイツに関しては料理の用意は問題ないでしょう』
『そうですね。無事に実食という流れにはなりそう……楓太?』
楓太の顔を見て、伊波は疑問の声を上げた。
楓太は困ったように眉を顰めていたかと思ったら、あっさりとした口調で言った。
「ごめん。調理時間あと十分くらい延長で!」
「――はぁ!?」
これには小鈴も声を荒げた。当然である。
「十分!? 十分延長ってなに!?」
「いやー、ほら、全部を深層素材で揃えたら、なんか調理時間が思った以上に伸びちゃって……」
「伸びちゃってじゃないでしょ!? 制限時間の意味が分かってますか!? 制限ですよ、制限! 料理バトルでそこのルールだけは変えちゃだめでしょ! 時間が変わるなら作る品だって変わるんですけど!? なんだったらデザートだって作れたんですけど!?」
「悪いんだけど、二品作ったらルール違反で失格なんだよね」
「どの口で言ってるの!? そのルールを捻じ曲げているのは貴方でしょ!?」
「発想が甘い。まだまだ子供だな。ルールが変わると何故考えなかった?」
「考える訳ないでしょ!? 常識的に考えて!」
「俺なら考える。審査員により大きな衝撃を与えれば、ルールを曲げてでも勝利を得られるであろう、とな」
「衝撃を受けてんのは私なんですけどっ!? ちょっと実況さん! 審査員の皆さん! 本当にこんな無法を許すんですか!?」
「仮にこのまま俺が料理を出せなかったとして、君は不戦勝で満足できるの? 俺の実力が見たかったんでしょ?」
「それをお前が言うなっ! ルールを守れって話をしてんですよっ!」
「残念だったな。ここでは俺がルールだ」
「ふざけんなこんにゃろぉおおおおおおお!!」
小鈴は手元にあったトマトを掴んで振りかぶり、ぐぅぅぅううう、と唸り声を上げてその手を下ろした。〈料理人〉としてのプライドが、すんでの所で食材を無駄にすることを防いだようだ。
手元に拳銃があったら、たぶん撃ってる。
『正直小鈴ちゃんには同情しますが、このまま続行ということで! 料理が出ないとか興ざめも良い所ですし! これを機に社会は理不尽であることを知って頂ければと思います!』
「理不尽なのは社会じゃなくあの人です! 間違えるなっ!」
『先に小鈴ちゃんの料理の審査に移りましょうか。料理が冷めるのも良くないですし』
「そうさせてもらいますよっ! くたばれっ!」
可愛らしくも怒りに満ちた声で叫び、小鈴は料理を審査員席に運び出した。
あの子は小畑会にとけこみそうだなぁと、川辺と伊波は密かに思った。
「お待たせしました。〝レッサーオークの肩ロースステーキ~香草バター添え~☆4〟です」
ほう、と。審査員の感心した声が漏れる。
皿の上には一口サイズに切られたステーキがドンと中央に乗せられ、付け合わせのトマト、パプリカ、ズッキーニが彩を与えている。見ているだけで食欲が湧いてくるような、そんな料理だった。
『おおー! これは素晴らしい! ただのステーキだけど野菜がお洒落! 個人的には脂身の部分が美味そうです!』
『浅い感想だね。まぁ僕も似たようなことしか言えないけれど』
『まぁそれっぽいコメントは審査員に期待ということで! それでは実食です!』
川辺の合図で、審査員がそれぞれ手を付け始めた。
一口食べ、各自がしっかりと味わう。それぞれ反応は違いながらも、幸せそうな顔をしている。
真っ先に感想を述べたのは、ミライだった。満足げに息を吐き、何度も小さく頷いている。
「焼き色の付き方が完璧で、表面は香ばしくカリッと、中は均一に火が通っていてジューシー。肩ロースなのに全く固さを感じさせない火入れのコントロール、見事だわ。香草バターの香りも計算されていて、肉の旨味を邪魔せず引き立てている。付け合わせの野菜も甘みと食感が残っていて、全体の構成がきちんとしている。レッサーオークは自分でも料理して食べることが多いけれど、それとは明らかに味が違うわね。【調理】スキルによって食材の味を完全に引き出しているのね。そして純粋な調理技術によって、その味を余すことなく活かしている。まさしくプロの仕事。さすが小鈴、見事だわ」
『おおおおっと! いきなりの高評価です! これは楓太も危ういか!?』
『予想以上にちゃんとしたコメントが返ってきてほっとしております。さすがミライさんです。最低限の審査は出来そうで本当に良かった』
続いて、アキラ。もぐもぐと小さく噛みながら、嬉しそうな声を上げた。
「おお~……! つい最近に食べたローストビーフに似てる~……! でもこっちの方が美味い~……! あとなんかバターの香りもいい~……!」
『それ豚やぞ?』
『いやまぁ、食感は確かに……柔らかい、ジューシーって言う意味では近い物が……うん。あとバターの香りに言及できたのは素晴らしいと思う』
まぁ俺らよりはマシか。そう甘い採点をして、二人は最後の一人を見た。
三人目、トシ。彼は無言で次々と口の中に肉を放り込んでいた。勢いが衰えることがないのは、美味いと感じているからだろう。
しかし、突然その手がピタリと止まった。
「――なぁ、マヨある?」
『『邪道食いはよせぇえええええええ!!』』
思わず実況席は叫んだ。
『トシさんあんた審査員ですよ!? マヨをぶっかけたらマヨの味だけになっちゃうでしょ!?』
「いや、でもこれたぶんマヨかけた方が美味いぞ?」
『美味しいかもしれませんが、できればそのままの味を評価して頂けると……』
「ん~、美味いんだけど、なんか薄くてなぁ。もっとガツンとした味付けが欲しいんだよな。やっぱりマヨかけたほうが美味いって」
プロの作った料理にとんでもない暴言だった。
笑って誤魔化しているが、ヒクリと小鈴の頬が引き攣っている。
『おいマジで誰だよこの人に許可だした奴よぉ!? ただのバカ舌じゃねぇか!』
『今更だけど、普通に店長とかで良かったんじゃないかな』
「あれだったら私の方が良かったですよ」
「やっぱり私が審査したしたかったですね~」
残念そうな七海姉妹の声に、思わず頷いてしまう実況席の二人だった。
完全な人選ミスである。
「そんな野蛮な男に味の違いが分かる訳ないでしょ? 初めから分かっていたことじゃない。大丈夫よ。私とアキラでちゃんとやるから」
「そうそう~……私達で判断できるから~……トシさんは好きに食べてればいいよ~……」
「ちょっと待て。今回ばかりは何も言い返せねぇからババアの発言も許してやる。でもアキラ。お前は俺と大差ないだろ」
「はぁ~……? 心外なんですけど~……? バターの香りにはちゃんと気づいてましたし~……」
『低みの争いなんだよなぁ……』
『言っても仕方ない。もういい、次に行こう。楓太、準備はできたかい?』
伊波が楓太のほうに目をやれば、既にクローシュ――料理を隠せる銀色の蓋――を被せている皿を三つ、用意していた。道具だけはそれらしいものを使いたがるあたり、素人くさい。
そこまで準備が終わっているというのに、楓太の顔色は優れなかった。
『なんだお前? どうした?』
『まさかと思うけど、料理が失敗したとか?』
「いや、それはないんだけど……すみません、サレンダーいいっすか?」
「――ッ!?!?!?」
これには小鈴が一番驚いた。あんな反則手段を使われた上にまさかの相手のほうから試合放棄宣言である。これで驚くなという方が難しい。
なんとしても勝たなければいけない勝負での逃亡に、会場中がどよめく。
『お前何言ってんの? 許される訳ねぇじゃん』
『全くだ。何か相応の理由が無い限り許されないよ。本当は失敗したんじゃないんだろうね?』
「いや、むしろ大成功だけど……成功しすぎたっていうか……」
『はあ? なら問題ないじゃん』
『大成功なら渋る理由がなおさら分からないんだけど? 一体どういう理由で?』
「その……自分でもビックリするくらいうまく行っちゃってな。これでショックを受けて、傷つけてしまうと思うと、ちょっとな」
「――舐めないでください!」
会場の騒めきが収まるほどの怒声が響く。
小鈴は、険しい表情で楓太を睨んでいた。
「料理勝負の前ではどちらが美味いか、それだけです! 傷つけたくないから辞退!? たとえ相手が素人だろうが、私はその結果を受け入れます! 見くびるなっ!」
「あ、いえ、そういう意味では……分かりました。なら俺も覚悟を決めましょう」
何かの踏ん切りがついたのか、楓太はキッと目つきを変えると、料理を審査員席に運んだ。
ようやく運ばれた料理を前に、三人はそれぞれ興奮しながら、蓋を持ち上げる。
――その時、光が漏れた。
「あら?」
「おお~……!」
「おぉう」
例え話ではない。蓋の中から確かに眩い光が漏れ、三人は思わず目を瞑る。
ゆっくりと目を開け、とうとうその料理の全貌を目にした。
「〝エリートオークとブッチャーズブルの合い挽きハンバーグ☆3〟です。さぁ――おあがりよ!」
『ハンバァァァァァァァァァァグ!!』
『師匠は止めろ』
スパンッ、と伊波は川辺の頭を叩いた。
気を取り直して、真面目に川辺は続ける。
『これは定番な料理が出てきました! ハンバーグ! ハンバーグです! 子供も大人も大好きハンバーグです!』
『ですがこれは良い選択ですよ。小鈴さんのステーキなどはシンプルな分、料理人の腕が直に出ますからね。そういう意味で楓太は正しい選択をしたと言えます。自分の未熟さを理解したうえでこのチョイスだとしたら賢いです。いや、まぁ【錬金術】ならどの料理でもいけるんですけどね』
「小鈴ちゃんがオークを使ったので、あえて深層のオーク素材で力押ししようと思いました! ついでに牛も混ぜて格の違いを教えてやろうかと!」
『思った以上にクソな理由だった……』
『作戦としては最上の選択ですけどね。戦略的に勝利を狙っています』
仕方がない。勝負は非情であることが正しいのだ。
むしろよくやったと誉めてあげてほしい。
『っていうかさ、今光ったよな? 俺の見間違い?』
『いや、僕にもそう見えた。まるで料理アニメかと思ったよ』
「確かに光ったわよ」
「私も~……眩しかった~……」
「というか、まだ光ってるぞ?」
審査員の三人はじっくりとハンバーグを観察する。蓋を開けた時のような勢いはないが、確かにハンバーグ自体が光を灯していた。
『光るハンバーグ……どういう理屈?』
『楓太。これはなんだい?』
「いや~、全てを深層素材にしたのと、奇跡のバランスで☆3クオリティが出たせいかな? 俺もびっくりしたわ。ダンジョンって不思議だよな」
本人の意図していない現象だったようだ。こんな時に限って引きが強い。
しかし、それだけの物を作りだした価値がある。
「光るハンバーグ……どんな味がするんだろ……」
「私も食べたいです……」
七海姉妹ですら、遠目でぼうっとして審査員席に置かれたハンバーグを見ている。羨望の色が隠せない。ピーちゃんですらどこか夢心地であり、マルに至ってはチヨが止めなければ今頃跳び掛かっていただろう。
いや、この者達だけではない。
会場の全員が、揃ってその料理に目を奪われていた。そして心を一つにした。やっぱり自分が審査員をやるべきだった。少なくともトシは蹴り飛ばすべきだった。
そして、当然この人も――
「光るハンバーグ……どういう理屈で……いえ、理屈なんかどうでもいい……これが高レベル生産職の力……食べたい……だっ、駄目よ。駄目。今は料理人、審査員じゃない……でも……ッ!」
〈料理人〉であるからこそ、その価値が誰よりも分かる。
下手すればマル以上の欲求に襲われながら、小鈴はその精神力でなんとか押さえつけた。
全員が羨望の目で見守る中、いよいよ審査が始まる。
「これは――ッ!」
「おぉ~……おぉぉぉぉ~……!」
「おっ、おぉぉ……」
一口食べた瞬間、三人揃ってその動きを止める。そして一分以上固まった後、再びハンバーグに手を付け始めた。
『いや喋れよ審査員』
『職務放棄はしないでください』
「……ごめんなさい。でも無理もないわよ。一緒に遠征して、楓太君の深層素材料理は何度も食べた。その経験があるからなんとか耐えられているけど、これは――」
なんとかミライが言葉を絞り出すが、アキラとトシに至ってはガン無視してハンバーグを食べ続けている。
ふざけてんのかテメェ、といつもなら怒り出しそうな連中が集まっているが、この二人の様子――特にトシの姿を見て怒りよりも驚愕の方が勝った。
味なんか二の次、と飲むように早食いする男が、一口一口大事そうに、味を噛みしめて、浸りながら食べているのだ。よほどの味なのだろうと、想像するだけでごくりと唾を飲む。
三人はまさしく、天に昇るような気持ちを味わっていた。ミライでさえどんどん手が進み、気づけば、三人共が同時に食事を終える。
「ふぅ……」
「ああ~……食べ終わっちゃった~……」
「おう。終わったな。終わっちまったな……」
満足しつつも、悲しそうな。そんな微妙な表情で、揃って皿を眺めている。
悪いかなと思いつつも、川辺は進行を進めた。
『大変すみませんが、お味の感想を窺っても?』
「感想ね~……凄かった~……」
「ああ。本当に凄かったな……」
『小学生か?』
もっとマシなコメントをしろ。
素直にそう思った川辺だったが、ミライが二人を庇うように言う。
「正直、この美味しさを語れる語彙が私にはないわ。それだけの料理だった。言葉にすればするほど陳腐になるから、あえて言葉にしたくないわね。小鈴には悪いけど、比べるまでもないわね」
「うん……それはそうだね~……」
「ああ。俺でもどっちが上かは分かる」
示し合わせた訳ではない。しかし、これ以上に相応しい言葉はない。
三人は素直な想いを、口を揃えて言った。
「「「――美味い」」」
――パァアアアアアアアアアアアアンッ!!
その瞬間、三人の服が弾け飛んだ。