作品タイトル不明
【補足】《呼び鈴》で呼べる「責任」について
今回は第5章に入る前に、《呼び鈴》で呼べる「責任」について少し補足させていただきます。
ここでの説明は、この5章前の時点で、レイベルナ自身が理解している《呼び鈴》スキルの仕組みです。
作中でいう「責任」は、ただ「何かをした責任」という広い意味ではなく、その場へ呼び出されて説明を求められるだけの責任が、書類・記録・名義・立場などに結びついているかどうかで扱っています。
ひと言でいえば、《呼び鈴》は「犯人を探す鈴」ではありません。
書類や記録に結びついた責任へ、音を届かせる力です。
【責任の分け方】
①行為の責任
書いた、置いた、運んだ、触った、などの責任です。
もちろん、これにも責任はあります。
ただ、《呼び鈴》は筆跡鑑定や犯人検索の力ではありません。そのため、「この紙を書いた人」「この紙を置いた人」という行為だけでは、相手を特定して呼ぶことはできない扱いです。
呼び鈴では呼べませんが、あとで聞き取りをしたり、誰が触れたのかを記録から調べたりする対象にはなります。
②接触の責任
預かった、届けた、受け取った、挟んだ、などの責任です。
これは、《呼び鈴》で呼べるかどうかの境目にある責任です。
誰から誰へ渡ったのか。
何の用件として受け取ったのか。
受け取りや保管の記録が残っているのか。
そこまで明らかになっていれば、《呼び鈴》が届くこともあります。
逆に、ただ手渡されただけ、意味も知らずに運んだだけの場合は、《呼び鈴》で責任者として呼ぶには弱い扱いです。
ただし、呼べない場合でも、その人がどこで受け取ったのか、誰に渡したのかは、あとで聞き取りや記録確認をする対象になります。
③処理の責任
作中でいうところの、受付番号を振った、担当部署へ回した、保管場所に入れた、会計処理に入れた、受領した、受付印や確認印を押した、処理担当者として名を残した、などの責任です。
ここからは、記録や役目に責任が強く結びつくため、《呼び鈴》が届きやすくなります。
たとえば、「その書類を正式に受け付けた」「会計処理に入れた」「担当部署へ回した」といった場合、その人や部署(担当者)には、その場で説明を求められる責任が生まれます。
そのため、《呼び鈴》の対象になりやすい扱いです。
作中でいえば、手配保証書や受領書、保管記録、会計処理などに責任が結びついた人物は、このあたりの責任で呼ばれています。
④統括・説明する責任
発行者、許可者、承認者、管理者、名義を使った者、基金や会の責任者などです。
これは、かなり強く呼べる責任になります。
たとえば、書類や保証書を発行した者、処理を許可した者、正式な名義を使った者、組織や会の管理責任を持つ者などは、「なぜそれを認めたのか」「なぜその名義で動いたのか」をその場で説明する責任があります。
一章で国王陛下や王妃陛下、財務卿が呼ばれたのは、このあたりの責任に近いです。
国王陛下は王家としての責任。
王妃陛下は社交や婚約者の扱いを見てきた立場としての責任。
財務卿はお金や保証書に関する責任。
このように、本人が直接すべての行為をしたわけではなくても、立場・名義・管理・承認に責任が結びついている場合、《呼び鈴》は強く届きます。
また、マレーネの場合は、青い封筒、協力金の控え、伝言箱の管理、取扱手数料などに、彼女自身の行動と記録が残っていたため、責任の糸が彼女のところまで届いた形です。
【黒い紙について】
何度か出てきている黒い紙にも、「書いた責任」「置いた責任」はあります。
ただし、作中の《呼び鈴》というスキルは、上述の「① 行為の責任」の通りで、「書いた手」や「置いた手」を直接探す力ではありません。
その紙がどの処理に入り、どの記録に乗り、何を動かしたのか。
そこが見えて、レイベルナ自身も理解して初めて、「その場で説明を求める相手」を呼べる、という扱いです。
そのため、黒い紙そのものを見つけただけでは、すぐに「書いた人」や「置いた人」を呼べるわけではありません。
まず、その紙がどこを通り、誰の処理に入り、何を動かしたのかを追う必要があります。
黒い紙は、はっきり命令しません。
責任者の名前も残しません。
ただ、読んだ人が勝手に意味を補い、勝手に動く余地だけを残します。
だからこそ、紙そのものではなく、その紙によって実際に動いた書類・お金・物・人の流れを追うことが重要になります。
【スキルとしての《呼び鈴》】
《呼び鈴》は、条件さえ合えば自動的に相手を探してくれる万能の魔道具ではありません。
レイベルナ本人のスキルです。
そのため、レイベルナが責任の結び目をある程度理解していないと、音が届きません。
責任の結び目が見えていない状態で鳴らしても、狙った相手へ届かないことがあります。
あるいは、受付・保管・会計など、その時点で見えている途中の責任にだけ届いてしまうこともあります。
また、本人のスキルなので、使えば負担もあります。むやみに鳴らせば疲労しますし、精度が落ちる可能性もあります。
《呼び鈴》は、何でも呼べる万能召喚ではありません。記録や立場に結びついた「逃げた責任」を呼び戻す力として書いております。
【今後の扱い】
《呼び鈴》は使わないということではなく、まず周囲と協力しながら記録や処理を追い、責任の結び目が見えたところから鳴らしていく、という形になります。
本文中でも、今後はこのあたりがなるべく分かりやすくなるように気をつけていきたいと思います。
ただ、短編から続く「チリンして責任者が来る」テンポのよさも大事にしたいので、説明しすぎず、物語の中で少しずつ見せていければと思っています。
引き続き、気楽に楽しんでいただけると嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします。
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