軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

危険なモンスター

五時間後、狭い通路を抜けると、僕の視界が広がった。

その場所は天井が高く、発光する白い石が壁に埋まっていて、全体を淡く照らしている。

僕は視線を落として、調査団の痕跡がないか調べる。

人族の足跡は……ないか。となると、こっちのルートは外れかもしれない。

その時――。

小石が転がるような音がして、頭上から何かが落ちてきた。

それは背丈が一メートル前後、赤黒い体で八本の脚が生えていた。八つの目は赤く輝いていて、黒い牙は鋭く尖っている。

「魔鋼蜘蛛だ!」

キナコが叫んだ。

「こいつらは群れで行動する。他にも……」

キナコが言い終える前に数十体の魔鋼蜘蛛が岩陰から姿を現す。

「キシャアア」

魔鋼蜘蛛が僕の隣にいたアルミーネに飛び掛かった。

「『雷撃盾』!」

僕は魔法のポケットに入れていた雷の効果を付与した紙を重ね合わせて盾を作る。

魔鋼蜘蛛が雷撃盾にぶつかり、その体が感電した。魔鋼蜘蛛は地面に落ちて、びくびくと八本の脚を痙攣させる。

この前買った魔法の本の知識が役に立ったな。そのおかげで金属の性質を持つ紙に雷の効果を付与できるようになったし。

「ありがとう、ヤクモくん!」

アルミーネが僕の背後に移動した。

「なるべく素材は温存したいの。ここは三人で戦ってくれる?」

「まかせておくのだ!」

僕の代わりにピルンが答えた。

ピルンはマジカルハンマーで右側にいた魔鋼蜘蛛を叩く。金属同士がぶつかる音がして、魔鋼蜘蛛が真横に飛ばされた。

ピルンは狂戦士モードじゃない時でも並の戦士以上の攻撃力がある。これなら、僕も攻められるぞ。

僕は正面にいた魔鋼蜘蛛に突っ込む。魔鋼蜘蛛は八本の脚を曲げて飛び上がり、下半身から白い糸を出す。その糸が僕の肩と腕に絡みついた。

僕は魔喰いの短剣に魔力を注ぎ込む。青白い刃が長く伸び、その刃で糸を斬る。そのまま、魔鋼蜘蛛に駆け寄り、魔喰いの短剣を振り下ろした。

キンと金属を叩いたような音がして、魔鋼蜘蛛の額に傷がつく。

んっ? 予想以上に硬い。それなら、魔力を増やして……。

魔喰いの短剣の刃がノコギリのように細かい刻み目がついた。

僕は片膝をついて、魔喰いの短剣を真横に振る。魔鋼蜘蛛の脚が関節部分から斬れる。

よし! この刃で関節部分を狙えば、楽に斬れる。

視線を動かすと、キナコが三体の魔鋼蜘蛛を倒していた。

さすが、Aランクのキナコだな。これだけ硬い魔鋼蜘蛛でも余裕で倒している。

僕にはキナコみたいなパワーもスピードもない。でも、僕だけができる戦い方がある!

粘着性のある紙をひも状にして……。

僕は脳内で魔式をイメージする。

「『粘着網』!」

左方向から迫る魔鋼蜘蛛たちの前に粘着性のある紙の網が具現化する。

魔鋼蜘蛛たちは粘着網に捕らえられ、その動きが制限される。

粘着網の具現化時間は約一分だ。でも、それだけあれば問題ない。その間に他の魔鋼蜘蛛をみんなで倒す!

僕は飛び掛かってきた魔鋼蜘蛛に向かって魔喰いの短剣を振った。

数分後、動いている魔鋼蜘蛛はいなくなった。

どうやら、全部倒せたみたいだな。

僕は呼吸を整えながら、視線を動かす。

予定通り、アルミーネの魔法を温存できた。僕の基礎魔力も700万マナ以上残ってる。キナコとの訓練のおかげで白兵戦のレベルも上がっているみたいだ。

「また、新しい技か」

キナコが僕の腰を肉球で叩く。

「雷の効果がある盾に粘着性のある網とは。なかなか使える技だな」

「うん。研究してた紙で魔法のポケットにストックしてたんだ。上手くいってよかったよ」

僕は魔鋼蜘蛛の死体を見回す。

どっちも予想以上に戦闘で役立ちそうだ。ストックを増やしておいてもいいな。

コンと小石を弾くような音が背後から音が聞こえた。

振り返ると、そこには四人の男たちが立っている。

あの人たちは……。