軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

危険な依頼2

「最近、西の森に新しいダンジョンが見つかったの」

アルミーネは部屋の真ん中にあるテーブルの上にタンサの町周辺の地図を広げた。

「場所は……この辺で中は相当広いみたい」

「そのダンジョンの探索を頼まれたの?」

僕の質問にアルミーネは首を横に振る。

「ダンジョンの探索はレステ国の調査団がやってる……いや、やってたかな」

「やってた?」

「うん。今は行方不明。その調査団を救出するのが仕事なの」

そう言って、アルミーネは白いカップに入った紅茶を口にする。

「……んっ、美味しい。いい茶葉を使っただけはあるかな」

「紅茶の感想より、話を進めろ」

キナコがじろりとアルミーネを見る。

「ごめんごめん。で、調査団の人数は三十人。それに護衛の冒険者のパーティーが十人」

「四十人全員が行方不明か?」

「そうみたい」

一瞬、部屋の中の空気が冷えたような気がした。

「何かの事故か、危険なモンスターに遭遇したか……」

キナコは左右にぴんと伸びた白いひげをぴくぴくと動かす。

「しかし、その規模の行方不明者を捜すのに俺たちのパーティーだけなのか?」

「ううん。私たち以外に二つの団が参加するみたい」

「二つの団?」

「一つは月光の団ね。タンサの町で一番実力がある団よ」

「Sランクのハイエルフがリーダーをやってる団か?」

「そう。十二英雄の『銀月のシルフィール』ね。彼女の強さは他国にも広まっているし、吟遊詩人が彼女を称える歌をいっぱい作ってるわ」

十二英雄のシルフィールか。

十二英雄はSランク冒険者の中で最強と言われている十二人の人族のことだ。彼らは災害クラスのモンスターや魔族の軍隊と戦い、多くの人々を救ってきた。その功績から、彼らを十二英雄と呼ぶようになった。その実力は武装した兵士千人分と言われている。

「そして、もう一つの団は……」

アルミーネは視線を僕に向けた。

「聖剣の団よ」

「えっ? 聖剣の団?」

思わず、僕はイスから立ち上がった。

「リーダーのキルサスは参加しないみたいだけどね」

「そう……なんだ」

僕の脳裏に聖剣の団の冒険者たちの姿が浮かび上がる。

聖剣の団には八十人以上の団員がいる。Dランクが一番多いけど、幹部の三人はAランクでBランクも七人いる。今回の仕事は危険度が高そうだし、Cランク以上の団員でパーティーを組むんだろう。

「それにしても、どうして僕たちが冒険者ギルドから依頼されたの? 僕たちだけ、団じゃなくてパーティーなんだけど?」

「予算の問題よ」

アルミーネが答えた。

「月光の団と聖剣の団に依頼して、少しだけ予算が余った。ならば、Aランクがいるパーティーにも依頼して、救出の確率を少しでも上げようって思ったみたい」

「つまり、俺たちはおまけってことか」

キナコがため息をついた。

「あまり期待されてなさそうだな」

「そうね。でも、ここで私たちが活躍すれば名声を上げることができる。当然、依頼も増えるし、報酬も高くなる。そうなれば貴重なレア素材を揃えることができて、私の魔法が強力になる。みんなのサポートも今以上にやれるようになるよ」

「それは悪くないな」

「ええ。六魔星ゼルディアと戦う時にもね」

「……ゼルディアと戦う時か」

キナコの金色の瞳の瞳孔が縦に細くなった。

「じゃあ、ピルンにも連絡しておくね。出発は二日後だから」

アルミーネは僕のベルトにはめ込まれた黄土色のプレートを指さした。

「しっかり準備しててね。Eランクになったヤクモくん」

「うん。今のうちに、いろんなタイプの紙をストックしておくよ」

僕は唇を強く結んで、右手で胸元のポケットに触れた。