軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

215.報われる時

光が徐々に収まっていく。

徐々に……徐々に……。

朝の霧が晴れていく位のゆっくりとしたペースで光が収まっていく。

収まっていくのと同時に、俺は、体の中から沸き上がる強い力を感じた。

最初はまさか、と思った。

しかしそれは次第に確信に変わっていく。

確信をもちつつ、力を確かめる。

やがて、光が完全に収まる。

そうして自分の手を見つめる、体を確認する、自分の姿を把握する。

「僕の体……だね」

「な、何があったのですか海神様!?」

「うん、ちょっと見ててくれる?」

「え、は、はい」

戸惑う女王、そしてサラ。

ジェスチャーで二人を下がらせて、手をかざした。

瞬間、神殿の天井が割れて、空――いや海面がみえた。

海神の力で海底にいても地上と同じ 見方(、、) が出来ていて、遙か頭上にある海面が青空のように見える。

その 海面(空) に向かって手を更にかざした。

瞬間――海が割れた。

比喩ではなく海が割れた。

全てが海だったそこに見えない海溝ができたかのように割れて、左右が崖、いや瀧のようになってきた。

「すごい!」

「こ、これは一体……」

「海神の力だよ」

「は、はい。そうだと思います。しかし……」

女王は驚いたまま、俺を見つめ続けた。

言いたい事はわかる、そしてそれこそが俺が見せたかった物だ。

「うん、見ての通り、これが本来の海神の力。前は海神の体を借りてじゃなかったら使えなかった、本来の海神の力」

「そ、それを?」

「うん、マテオの姿のままつかえるようになったんだ。……たぶん」

「たぶん?」

「ううん、なんでもない」

過去が変わったから、という言葉を飲み込んだ。

海神の力をかりれるようになって、海神のボディに乗り移って操作する力をえていた。

そこに海神の力が完全に使える様になった、マテオの体のまま。

理由は判然としない、が、脳裏に爺さんの後妻メリンダのこととか、細かく変わった歴史の事とかが浮かび上がってきて、それが理由なんじゃないかなって思った。

思ったが、言わなかった。

確信がないし、この先どうなるか分からないからだ。

「本当にマテオのままで海神様になれたの?」

サラがおそるおそる、って感じできいてきた。

その質問はまたちょっと意味合いが変わってしまうけど、それを指摘する必要もなかった。

「うん、そうなってる」

「すごい……あっ、ごめんなさい! 海神様にむかって」

「ううん、むしろありがとうサラ」

サラ見たいな子だと変にかしこまられた方が困るから、いつも通りで、って意味合いを込めてそう言った。

そして――女王をみる。

じっと彼女をみつめる。

やがて、記憶を思い出すかのように一つの名前が脳裏に浮かび上がってきた。

「そっか、そういうことなんだ」

「……」

「ごめんね、いままで待たせて」

「いいえ、海神様のご命令を長年守らせていただけて、むしろ光栄の極みです」

「それでも気になったよね、それが、ずっと」

「……」

「どういうことなの?」

「女王様のお名前だよ」

「お母様の?」

「そう、海神が女王様につけた名前」

更にそういって、女王を見つめる。

「名前は教えてもらってる?」

「はい、ですが、その意味は再臨したとき直接――と仰せつかっておりました」

「そうなんだ、うん」

気を取り直して、女王を見つめる。

そして「またせてごめんね」と改めていってから。

「フレン」

「……っ、はい」

一瞬、息を飲んで目を見開く女王。

驚きは一瞬、それはすぐに引っ込んで、代わりにあふれ出した喜びが顔に、いや全身に満ちていった。

「それはかつて、主の帰りを100年待ち続けたドラゴンの名前。帰らない主を死ぬまで待ち続けた忠誠者の名前」

「忠誠……」

俺の言葉に感極まる女王――いやフレン。

「フレン――それがあなたの名前」

そういった瞬間、フレンのまなじりから大粒の涙がこぼれて、そして体が光る。

新たな使徒、命令を数百年間待ち続けた使徒フレン。

光が収まった後、彼女は二本足で海底にたっていた。