作品タイトル不明
お宝ダンジョンの説明
目の前の階段を四人揃って降りていく。
最初に出たのはロビーのような広い場所だった。
身体が軽くなった気がする。
ステータスの恩恵を得られたということは、ここは間違いなくダンジョンの中だ。
周囲を観察する。
側面の壁にそれぞれ赤い金属製っぽい扉が二つずつ、合計四つ。
奥にはカウンターがあり、その奥にも木製の扉がある。
その扉の奥から気配がした。
「何か来る。敵じゃないと思うけど、気を付けて」
「敵じゃない根拠は?」
姫が尋ねた。
「魔物の気配とは違う。たぶんダンポン」
俺が言った。
その予想は正しかった。
木の扉が一人でに開き、ぽよんぽよんと白いマシュマロ、ダンポンが現れた。
PDにいるダンポンにそっくりだ。見た目の違いは全く分からない。
「はじめまして、よくいらっしゃいましたのです」
ダンポンはカウンターの上に乗るとそう言った。
どうやら歓迎されているらしい。
「ダンポン……でいいんだよな?」
「はいなのです。お宝ダンジョン専用のダンポンなのです。お宝ダンジョンのお客様は七年ぶりなのでとても嬉しいのです」
「七年ぶり? 過去にも来た人がいたの?」
「はいなのです。あなたたちは二組目のお客様なのです」
まぁ、前例があっても不思議じゃないか。
スキル玉だって、ネットで調べたら過去に使用してスキルを覚えていた人がいた。ただ、その人は誰からも信用されず、ネタとして終わっていた。
お宝ダンジョンだって、過去に来た人が情報を秘匿にしたか、誰かに言ったけど信用されなかったかのどちらかかもしれない。
「お宝ダンジョンってどういう場所なの?」
ミルクが尋ねる。
「はい、説明するのです。お宝ダンジョンは文字通り、宝箱がいっぱいあるダンジョンなのです」
そのまんまだな。
「宝箱の中には普通のダンジョンにはないアイテムが入っている可能性もあるのです。それと、宝箱の中から金色のスライムが現れることがあるのです。その金色のスライムを倒すと、必ずレベルが上がるのです」
「必ず?」
「はいなのです。必ずなのです。金色のスライムは攻撃してこないし逃げたりもしないので、必ず倒してくださいなのです」
レベルアップ確定モンスターっ!?
それってかなり凄いな。
「滅多に出てこないので出たらラッキーなのですよ。前回来たパーティは二人で一匹ずつ倒したのです」
ダンポンがそう言ったとき、ミルク、アヤメ、姫が一斉にこちらを見た。
何を言いたいかわかってるので、俺は何も言わない。
「宝箱を一定数取り終えたら未開封の宝箱も消えてしまうのです」
「金のスライム以外に魔物は?」
「現れないのです。罠もないのです」
つまり、危険性は全くないダンジョンということか。
「赤い扉の向こうはお宝ダンジョンなのですが、扉を通れるのは一人だけなのです」
「じゃあ四人バラバラになるわけか。まぁ、危険はないから大丈夫か。これなら水野さんも連れてきてもよかったな」
パーティメンバーは四人までと決まっているが、アヤメの腰巾着を使えば五人まで入ることができると思う。
「シロを見る人が必要でしょ? それに、五人になったところで宝箱の数が増えるわけじゃないしね」
「そうだな。じゃあ、俺はこの扉に――」
と赤い扉を開こうとしたところで、
「待って、その扉、私が入る!」
ミルクの思わぬインターセプト。
なんでだ?
「だって、泰良が選んだ扉なら、きっといい結果になるはずでしょ?」
「お前、そう言ってガラガラ抽選で俺の前に割って入っても結局ハズレだったじゃん」
「ハズレ無しだったからハズレじゃないよ」
いや、末等のポケットティッシュはハズレだよ。
ちなみに、その時俺が当たったのはお米五キロだった。
当たりを引いたのに、持って帰るのが大変だったので、幸運とは思わなかったが、ちょうどお米が無かったからって母さんには喜ばれたっけ。
ミルクがここがいいって言うのならここに行ってもらおう。
既に姫とアヤメも選び終えていたので、俺は残りの扉に向かった。
残り物には福があるって言うしな。