作品タイトル不明
四度目の契り
ロランはジゼルの腕を掴みベットに押し倒した。
驚くジゼルに目を細め、ブラウスに手をかけ一つ一つ素早くボタンを外す。
ロランの柔らかい表情と荒々しい感情、静と動、矛盾するそれらが一つになった時、ジゼルはこの状況を全く理解できない表情を浮かべた。
「ロ、ロラン様!? あ、あの、洋服が汚れていて、すぐに着替えますから、ご、ご不快で、」
的外れなことを言うジゼルの髪に触れ、無造作にまとめてある髪を解く。白紙にインクを落としたように艶やかに広がった黒髪、解き放たれた甘い芳香が空気を変えた。
甘く官能的な香りにますます理性が吹き飛ばされる。自らのシャツを脱ぎ捨て呆然と見つめるジゼルを抱き起こした。
四度目の契り
ジゼルはようやく気がついたのか体をこわばらせた。それは拒否ではなく恥じらいの硬さ。
ロランは優しくジゼルの髪を撫で、ジゼルの顔にかかる黒髪を真っ赤に色づいた耳にかけた。
ジゼルは恥ずかしさにロランから顔を背けようとし、ロランは露わになった首筋にキスをした。
恥じらいながらもロランの優しい愛撫に身体を預ける。ロランは腕に力を入れゆっくりとジゼルをベットに寝かせ、仰向けになったジゼルに覆い被さり耳たぶにキスをした。
「あっ……」
ジゼルがたまらず声を上げる。
その甘く気だるいジゼルの声にロランは唇を滑らせる。熱った体の汗が、お互いの肌を密着させた。
ジゼルは仰け反りロランの唇から逃げようとした。だがロランはジゼルの両手を掴み上げ、身動きできないように拘束する。
黒髪の隙間から見えるきめ細かい肌、男には無い優しい弾力と質感を楽しむようにその肌を唇でなぞった。ジゼルはくすぐったいような不思議な感覚にたまらなくなり体を傾け、ロランは手首を掴む手を緩め、ジゼルの指に自分の指を絡めた。
向かい合った二人の距離は測れないほど近く、お互いの粗い息遣いだけが部屋に響く。
ジゼルは真っ直ぐな視線をロランに向け、ロランは目を細め応える。
密度の濃い夜が始まりを告げた。
ロランは一度果ててもまたジゼルを抱いた。
言葉では表せない感情をぶつけるように、全ての愛を行動に込めて、何度もジゼルを求めた。
これほどまでに、理性を失うほどジゼルを求める自身に驚きながらも、これが愛なんだとジゼルに伝えるように、激しくも甘い契りを交わした。
ジゼルも戸惑いながらもロランの求めに応じた。
深いつながりを求めるように細い腕でロランを抱きしめ、最初こそ遠慮がちだったジゼルの両手は、いつからかロランを求め、時にその痕跡をロランに付けるほどの感情があった。
繋いだ手から情熱が伝わり、絡め合う指の力に愛の強さが表れる。
情熱が過ぎ去るごとに、ジゼルがロランの頬に手を当て気遣うように見つめ微笑む。言葉がなくともロランをいたわるその姿を見て再びロランは情熱をぶつける。
四度目の契りは二人の間にはっきりとした愛が現れた契りとなった。
そんな濃厚な時間を過ごすうちにジゼルは疲れ果てロランの胸の中で眠った。
「あ!!」
ジゼルの声が聞こえた。胸の中にいるジゼルが目を覚ましたのだ。
「うそ……私……ロラン様、ごめんなさい」
頭が回らないロランは優しい眼差しをジゼルに向ける。ジゼルは顔を赤くしロランを見つめる。
「なに?」
ジゼルがなぜ謝るのかわからなかった。だがジゼルは涙を浮かべ申し訳なさそうにロランを見つめている。ロランも愛しさを視線に込めジゼルを見つめ返す。
ジゼルはこの甘いやりとりに耐えられなくなったのか、両手で顔を覆い言った。
「私が眠ってしまい……ロラン様の腕の中で……。朝まで、ど、どうしよう、申し訳ありません」
ロランはその言葉を聞き驚いた。
想像と違うジゼルの言葉に衝撃を受ける。
(なぜジゼルはそう思うのだろう?)
契りを交わしお互いに求め合った翌朝はその余韻に浸りそばにいたい。
けれどジゼルは一歩引いてしまう。
(なぜ? どうして? 自己肯定感の低さ?)
瞬時に疑問が浮かぶが、不安な眼差しを向けるジゼルを安心させたいとロランは優しく微笑んだ。