軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第099話 ロリコンさんはずばーです

俺達は御者台にリーエ、俺、イレーネの並びで座ると、ベニーに見送られ、出発した。

そして、東門を抜けると、平原の街道を進んでいく。

「へー……綺麗な平原ね」

地平線が見えるくらいの平原だ。

「そういや俺達っていつも荷台だったからあまり前を見てなかったな」

「眺めは前の方が良いわね。あ、疲れたら言ってね。操縦、代わるから」

最初は俺が操縦している。

「ああ。でも、この馬は賢いな。正直、俺は何もしていない。勝手に進んでいる」

街道を歩けばいいとわかっているのだ。

「じゃあ、楽そうね。問題はトランプができないこと」

並んで座っているしな。

それにトランプを置くスペースがない。

「魔法の練習が良いんじゃないか?」

「そうする」

イレーネが指先から蝋燭の火を出した。

なお、せっかくなので手は握っておく。

「スリーフまでは2日だったな」

「長いわね。ヴェルナー、武勇伝でも聞かせてよ」

でんでんででんでん。

「よし。それでは捕らわれのお姫様を救った話をしよう」

「あ、それ良いわね。どうだったか知りたい。じゃあ、超美人の令嬢を攫って身を投げたけど、奇跡的に生きていて、駆け落ちした話を聞かせて」

ほぼ言ってるな。

「ギルドで用事を終え、宿屋に戻ったんだが、宿屋のおばちゃんからイレーネが戻ってないことを聞いたんだ。その時に嫌な予感がした」

「合ってるわね」

合ってたな。

その時にはすでに捕まっていたはずだ。

「色々探り、イレーネが捕まったと判断した。その時にリーエがどうするか聞いてきたんだ。俺は即答した」

「誰かを助けるのに理由はいらない?」

んー?

「ああ」

『言ってない、言ってない』

いいの!

その後もイレーネを救うまでのことを話していった。

そして、最後の飛び降りまで話した時には昼になっていたのでパンと缶詰を食べる。

「ふーん……結構、苦労したのね」

「そうでもない。苦でもなんでもなかった。多分、生きているだろうとは思っていたし、貴族令嬢であることを考えても悪い扱いではないと思っていたからな」

本当は魔力を感知できなかったことにちょっと焦ったけど。

「へー……ほー……かっこいいわね」

そうだろ。

「そういえば、イレーネの冒険者時代はどうだったんだ?」

「あ、私も気になります」

俺の話を詰まらなさそうに聞いていたリーエも興味を持った。

「私ねー……あなたみたいな武勇伝はないわよ。地道にやってBランクになっただけだし、特に大物も倒してない」

「それでも二つ名持ちなんですから何かあると思いますよ」

「まあ、顔が良かったからじゃない? それにソロっていうのも珍しかったかも。大きな仕事はあまりしてないけど、色んな仕事をやったわね。採取、魔物退治、護衛、配達……基本的には王都でやってたけど、遠征もした、まあ、失敗は少なかったわね」

それで色々と詳しいのか。

「そりゃランクも上がるな。俺がギルド職員なら安心して仕事を回せる」

「私もそう思います。イレーネさんが冒険者を辞めた時はギルドも残念だったでしょうね」

あとイレーネを狙っていた男性冒険者連中。

「まあ、辞めるのはしょっちゅうだからね。毎日のように冒険者を辞めたり、行方不明になったりするわ。その分、毎日のように増えるけどね」

楽だからな。

俺がそうだったようにとりあえず、冒険者で稼ごうって思う人は多いのだろう。

「イレーネさんが倒した魔物の中で一番の大物は何ですか?」

「うーん……王都の近くってそんなに大物は出ないのよね……オーガ……いや、キングバイパーっていうでっかい蛇かな? 魔石が50万ソルで売れた」

すごくね?

「そんなのがいたのか?」

「うん。すごかったわね。ちょうど今の剣に買い替えた時だったけど、前の剣だったら食べられていたと思う」

運が良かったのか、そもそもそんなものに遭遇した不幸か……

「十分な武勇伝を持ってるじゃん」

「いや、あなたのと比べるとね……だって、そのキングバイパーも一撃で倒しそうだし」

まあ、そこはね。

「イレーネさん、モテエピソードとかあります?」

あ、気になる。

「コクられた回数は100回以降は数えてないわね。言い寄られた回数は無限」

すっげ……さすがは1軍女子……

数えてたんだって思わないでもないけど。

「すごいですね……さすがはお嫁さんにしたい冒険者ナンバーワンです」

「自虐風自慢をするけど、そんなに良いものじゃないわよ。トラブルのもとだし、私は楽しくやりたいのになんかギクシャクしだすのよね」

本当に自虐風自慢だ。

俺も一度は言ってみたいものだ。

「あのー、誰かと一緒になる気はなかったんですか? 良い男もいたでしょ」

「私に釣り合う男はいなかったわね。あとまあ、ウチは親があれだからさ……良いイメージがないわけ」

お母さん、愛人だもんな……

いや、愛人と呼べるだけの存在だったのかもわからない。

「今は?」

「リーエは本当にご主人様が好きね……ヴェルナーは誠実よ」

「誠実さは完璧ですね」

他に親しい人がいないからかな?

「ベニーも最初は言い寄ってたな」

「あれは無限の方ね。ヴェルナーやリーエの魔法の中で一番すごいと思うのはやっぱりミスディレクションよ。あれを使うと、本当に人が私を見なくなる。逃亡生活の時でも重宝したけど、以降もやっぱり重宝するわね」

ふーむ……

「やっぱりこれからも使っていくか」

クレイナの町では使ってなかった。

「そうしてちょうだい。強引な人間は本当に強引だから。リーエも可愛いから気を付けなさいよ」

「私にはククリナイフがあるので問題ありません」

大問題だよ。

やっぱりリーエにもミスディレクションはかけておくべきだな。