軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第097話 魔性の中学生……

「どうする?」

イレーネを見る。

「4日なら良いんじゃない? ここにいても仕方がないし、行きましょうよ」

「そうするか。ベニー、王都に行ってみる」

「良いと思う。そこでなんだけどさ、頼まれごとを聞いてくれない?」

ん?

「仕事か?」

「そうそう。ほら、昨日、次の仕事を探すって言ったじゃない。探したというか、ぜひともお願いしたい仕事があるんだよ」

「王都に行くことと関係ある感じか?」

さすがに薬草を採ってこいではないだろう。

「まさしくね。実はさ、ウチの町って港町だから産業の9割が漁業なわけ。そして、獲れた魚なんかを王都やさっき言った中継地のスリーフに運ぶわけだよ」

まあ、そうだろうな。

昨日、食べた魚料理は美味かったし、町から魚の匂いがした。

「それで?」

「運ぶのは行商人。でさー、昨日、王都から魚介類の買い付けに来た商人さんがいるんだけど、階段から滑って、足の骨を折っちゃったんだよ」

ドジだな。

「それはご愁傷様」

「うん。しかも、かなりの重症。10日は絶対安静だってさ」

想像したくないが、相当だな……

ポーションがあるみたいだが、厳しいだろう。

「そいつを王都に連れていけって依頼か?」

「違う、違う。馬車の振動もダメなくらいだからその人はしばらくベッドの上。大事なのは荷物」

荷物……魚介か。

「もう買ってたのか?」

「そうだね。それでその荷と奥さんへの手紙を王都まで送っていってほしいって依頼がギルドに来た」

あー……ちょうどいいと言えば、ちょうどいいな。

「いや、それ、良いのか? 俺達が馬車ごと持ち逃げするかもしれないぞ。冒険者なんてロクでもない底辺だろ。ましてや、お前は俺達のことを二重登録とか言ってただろ」

信用なんてできない。

「いやー、君ら、犯罪による二重登録じゃないでしょ。絶対に駆け落ちだよ」

ここでもそう思われた。

俺とイレーネにはそういう空気が出ているのだろうか?

「違うんだが……いや、それはどうでもいいが、どちらにせよ、信用できないだろ。俺達、Eランクだぞ」

「Eランクだけど、これまでの仕事は完璧だし、護衛の仕事を2回も受けているじゃん。しかも、ギルドの頼み事を積極的にやっている。十分に優良冒険者だよ」

護衛は指名依頼だが……

「いや、別に持ち逃げなんかしないからそっちが良いなら良いんだけどな」

「そうそう。それに持ち逃げなんかしてもすぐに捕まるよ。バカはやらない方が良い」

俺は捕まらないがな。

いや、もう逃亡生活はごめんだし、そもそもそんなことはしないんだが。

「荷が魚介って話だが、冷凍か? 期限がある仕事だろうか?」

「馬車の荷台が冷凍庫になっているんだよ。だから遅れて腐るってことはない。でも、奥さんに早めに伝えてほしいから早めでお願い」

クール便か。

魔道具の発展がすごいな。

「わかった。俺達には渡りに船の仕事だ。俺達も馬車が欲しかった」

「でしょ? 僕もこれだって思ったね。依頼料は10万ソル。安いけど、足付きだからこんなもん」

無料でもやる。

「イレーネ、良いか?」

「ええ。ちなみにだけど、馬車の操縦はできる? 私はできるけど」

「大丈夫だ」

「私もできます」

馬車はそんなに難しくない。

「お嬢ちゃんもできるの? 可愛いのに偉いね」

「どうも……」

リーエはベニーのことを好きじゃないなー。

「ベニー、明日の……9時?」

どうしようかと思ってイレーネに確認する。

「いや、早めって言ってたし、8時半……8時には出ましょうか」

「8時に出る」

すぐジト目になる可愛いお嬢ちゃんだ。

「そう? じゃあ、こっちも用意しておくからここに来て。馬車と共に手紙と書類を渡すからさ。馬車と手紙を奥さんに届けて、書類にサインをもらってね。それを王都のギルドに提出したら10万ソルをもらえるって流れだから」

「わかった。じゃあ、今日の精算を頼む」

「はいはーい」

魔石を出し、ベニーから12万ソルを受け取ると、ギルドを出た。

「良い仕事が来たわね。案外、できる男なのかも」

「絶対にヴェルナー様の方ができますよ。格が違いますね」

リーエ、良い子。

「まあ、それはねー……叡智の魔勲章でしょ?」

「他にもいっぱいありますよ。ちょっとコミュ症ですけど、それ以外はとてもすばらしい人です」

「わかったから……ヴェルナー、缶詰とかを補充した方が良くない?」

イレーネがリーエの頭を撫でながら聞いてくる。

「そうだな。さすがに残りが少ない。出費になってしまうが仕方がないだろう」

「ちなみになんですけど、ベッキーさんや教授さんは携帯食料を食べてましたよね? あのクッキーみたいなやつです」

食べてたな。

「あれ、嫌い。昔はあれを水で流し込んでいたけど、舌が肥えた令嬢の私には無理。缶詰よ、缶詰。缶詰一択」

相当、不味いらしい。

「俺も軍属の時に栄養満点のレーションを食べていたが、その辺の雑草を食った方がマシと評判だったな」

しまいには敵の矢の方が美味いと言われていた。

「でしょ? 食は大事よ」

「賛成だな」

「では、缶詰を買いに行きましょうか」

俺達は缶詰を売っている店を探し、中に入ると、色々な缶詰を籠に入れていく。

「魚が多いわね」

「魚の町だからな」

「相変わらず、高いのは高いですね」

リーエが前に良いって言っていたヘブンバードの缶詰を見ている。

「5万ソルはダメだって」

「わかってます。そういえば、イレーネさんがいます」

リーエがイレーネを見る。

「ん? そりゃいるでしょ。ずっといたわよ」

「以前、マリティアで缶詰屋に来た時はいなかったので……」

いなかったな。

救出する準備をしていた時だったから。

「あー、そうね。その節はありがとう。お礼にこれから毎日、私を起こす権利をあげるわ」

「はい……でも、それはヴェルナー様に……無理か」

すまん、無理だ。

俺も寝てると思う。

「大丈夫。ヴェルナーには一緒に起きる権利をあげたから」

ど、どうも……