軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第090話 言質を取りましたー

俺とイレーネは甲板で眺めを楽しんでいたが、陸地から離れ、町がほとんど見えなくなったことと風が冷たくなってきたので船内の個室に戻った。

「おかえりなさい。どうでした?」

何かを読んでいるリーエが聞いてくる。

「良かったぞ」

「海から見る町並みも綺麗だったわよ」

「そうですか。夕方とかにまた行くと良いんじゃないですか?」

船首に行って、あれをやればいいのか?

氷山にぶつかるのは嫌だ。

「時間もあるし、また行ってみるわ。それよりもリーエは何を見ているの?」

俺とイレーネはリーエを挟むように腰かける。

「この船の案内です。食事は朝の8時、昼の12時、夕方の18時に持ってきてくれるそうです。部屋の前に置いておくそうですね。終わったら外に置いておけば回収するそうです」

確認してなかったが、食事付きか。

缶詰も少なくなってきているからちょっと嬉しい。

「お風呂は?」

「シャワー室があるようですが、数がなくて混み合うので注意って書いてありますね」

「微妙ね。そういうのってあまり良くないし、トラブルが多いのよ」

多そうだな。

この規模の船なら乗っている人数も相当だろうし、それでシャワー室の数が少ないならケンカが起きそうだ。

「クリアダストにしておきましょう。クレイナに着いたらゆっくり入ればいいです」

「それもそうね。さて……」

イレーネが寝転がった。

「お休みですか?」

「そういうわけじゃないわよ。これまで感謝しかないけど、色々あったじゃない? 最後は村単位で襲ってくるし、ひどい目に遭ったわ。でも、ようやく船に乗れたし、落ち着いたって感じ」

イレーネはリーフェル王国を抜けてからもなんだかんだ気が抜けなかっただろうからな。

実際、ダリアはリーフェルの密偵でイレーネを知っていたし。

「もう大丈夫ですよ」

「ええ。だからちょっと気が抜けちゃった。トランプでもする?」

「お好きですね。良いですよ」

俺とリーエも寝転ぶと、トランプを始めた。

「それにしても3日か」

「正確には明々後日の夕方前に着くようです」

「長いわね……」

いや、ホント。

「まあ、せっかくなんでゆっくりしたら良いんじゃないですか? ゴロゴロしてください」

してるな。

「船の中だし、魔法の練習も控えた方が良さそうだし、やっぱりトランプね」

「魔法は絶対にやめてください。いくら私達でもイレーネさんを抱えて、大陸まで飛べません」

緊急用のボートとかってあるんだろうか?

「60万ソルがパーになるから嫌よ。残金はどうなってる? 私の財布は空」

「こっちに20万ソルある。分けるか」

財布から10万ソルを取り出し、イレーネに渡す。

「どうも。しかし、20万かー。当分は大丈夫だけど、やっぱり仕事はしないとね」

「それは当然です。お屋敷を建てるんです」

まあな。

リーエはお手伝いさんホムンクルスだから家がないと、真の実力を発揮できない。

けっして、戦闘用殺戮ホムンクルスじゃないのだ。

「イレーネ、クレイナに着いたらどうする?」

「うーん……これまでは色々と調べてはいたんだけど、別大陸となると全然、わからない。とりあえずはギルドで聞いてみるのが良いんじゃないかしら?」

それが良いか。

俺達がトランプをしていくと、昼になったのでリーエが部屋の外を覗き、トレイに乗った料理を持ってきてくれる。

メニューは鶏肉料理だ。

「魚じゃないんだな」

「船だから魚かと思っていましたね」

な?

「いや、船は船でも漁船じゃないから。多分、冷凍食品でしょう」

ふーん……まあ、美味いなら良いか。

昨日は美味い魚料理を食べたことだし。

昼食を食べ終えた後もトランプをしていき、夕方になると、イレーネと共に甲板に出た。

「多いわね」

「そうだな」

乗った直後は俺達しかいなかったのだが、この時間は多くの乗船客がおり、夕日を見ている。

「朝日なら少ないんじゃないかしら?」

「すまない。一人で見てくれ」

「大丈夫。一緒に寝てると思うから」

まあ、起きないよな。

俺達は夕日を堪能すると、部屋に戻り、夕食を食べる。

メニューは魚料理であり、まあ、美味しかった。

夕食を終えると、寝巻きに着替え、トランプをする。

「明日もこんな感じですかね?」

「だと思うぞ」

「トランプは楽しいですけど、若干、暇ですね」

若干ではないかな……

「せめて、イレーネの魔法の練習ができれば時間を潰せるんだが……」

「ヴェルナー様は手を繋いでいるだけですけどね」

アドバイスとかもしてるよ。

「良いじゃない。休みよ、休み。私なんかこの前までの2年間はほぼ家にいるだけだったからね」

「貴族令嬢さんだもんな」

「それが今やもう……はしたない姿で狭い密室で男性と同衾する人になりました」

同衾ではない。

敷布団はマットレスだから一緒だけど、掛け布団は違うし……

「人はそれぞれ幸、不幸な生き方があるの。確かにあの貴族令嬢の生活は豊かだったけど、そういうことじゃないのよ。私は今の生活の方がずっと良い」

「私はヴェルナー様の生活を考えますが、今の方が良い気がしますね。魔法の研究はできていませんが、健康的ですし、ようやく良い人ができました」

引きこもりで不健康で嫌われ者で悪かったな。

「大丈夫よ、ホムンクルスちゃん。あなたのご主人様は私がちゃんともらってあげるから」

「おー、さすがは超絶美人さんです。かっこいいです」

「まあね」

ご機嫌だな……

その後も2人の楽しそうな女子トークを聞きながらトランプをしていき、いい時間となったので就寝した。