軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第083話 ククリナイフですよ

町中を進んでいくと、ギルドにやってくる。

「ベッキー、馬車を見ておいてくれ」

「わかりましたー」

ベッキーが頷いたのでリーエと共に荷台から降りた。

すると、イレーネとダリアも降りてくる。

「ベッキーが見ておいてくれるそうだ」

「それはありがたいですね。では、行きましょうか」

俺達はギルドの中に入る。

すると、まだ早い時間だが、やはりそこそこの数の冒険者の姿がおり、依頼票を見ていた。

「多いな」

「昨日、仕事にならなかった人も多いしね」

「それもそうか」

俺達は右端にいるおばちゃん受付嬢のところに向かう。

「おはよう。出るのかい?」

受付嬢はさすがにわかっているようだ。

「ああ。東の方に行き、ブレイナに行く」

「まあ、それが良いね。ウチも南の山を確認したんだけど、ありゃダメだって感じだってさ。大規模工事で当分は使えない」

それだけの雨だったからな。

「人的被害は?」

「ないよ。雨が強すぎたせいで全員、見送ったからね」

不幸中の幸いか。

「わかった。ブレイナに行くのに護衛をすることになった」

「はいよ。じゃあ、これに書いて」

受付嬢がダリアに書類を渡す。

この前と同じで2枚あり、ダリアが必要事項を書いていく。

「なあ、フォレナ村にはギルドがあるのか?」

「ないよ。宿屋もない。村長に言って、空き家を貸してもらうんだね。村で泊まる場合はそのパターンだよ」

屋根があるだけマシか。

「わかった」

受付嬢と話をしていると、ダリアが書類を書き終わった。

そして、その書類を受付嬢が確認する。

「ブレイナまでで10万ソルね。あの森を抜ける護衛はEランクが受ける仕事じゃないよ」

「腕には自信がある」

めちゃくちゃ。

「そりゃオークを狩るくらいだからね。まあいいよ。これで受理する。ブレイナのギルドに到着したら料金を受け取りな」

「ああ。じゃあ、世話になったな」

「こっちこそ助かったよ。特別に教えてあげるけど、あと何個かギルドのお願いを聞きな。それであんたらはすーぐDランクだから」

やはり1軍女子作戦はすごいな。

「わかった。じゃあ、行ってくる」

「気を付けてね」

俺達はギルドを出ると、馬車に乗り込む。

すると、すぐに動き出し、東門の方から町を出た。

「ベッキー、何か違和感があったら言ってくれ」

「わかりました。魔物が出た場合はどうします?」

「俺が出る。イレーネはダリアを守るし、お前は教授だ」

その教授さんは我関せずで本を読んでいる。

「わかりました。危なそうだったら言ってください。援護に行きます」

「頼む」

役割分担を決め、いつでも外に出られるように手前に座り直す。

すると、馬車が森の中に入った。

「道は問題なさそうだな」

「そのようですね」

ちょっと身を乗り出して前の方を見てみるが、倒木なんかもない。

「ベッキー、何か感じるか?」

「森に入ると違いますね。いやーな感じがします」

やはり魔力感知だ。

森の浅いところには魔物や冒険者がいるし、その魔力を感じ取っているのだろう。

「魔物が出て、倒した場合だが、魔石の採取はどうするんだ?」

「基本、無視です。オークとかの大物なら回収しても良いと思いますが、第一は安全、最速に依頼主を目的地に運ぶことですね」

ダリアも強行軍って言ってたし、時短が良いか。

「わかった」

魔力感知をしながら周囲を見ていく。

奥に進んでいっても魔物の数は多いが、道に出てくるということはない。

午前中は特に問題も起きなかったので昼食のサンドイッチを食べる。

「道にはあまり出ないのか?」

ベッキーに聞いてみる。

「基本的にはそうですね。私も詳しくは知らないですけど、街道って舗装の土に魔物が嫌がる成分が含まれているって噂です」

「そうなのか……」

特に魔力は感じないが。

「それは嘘だよ。出る時は普通に出る。単純に道より森の方が広いからそう思うだけだ」

教授が即座に否定した。

「そっかー。あっ!」

ベッキーが何かに気付いた。

まあ、魔物が近づいてきているのだ。

「ダリア、止めろ!」

身を乗り出して、そう指示すると、馬車が止まったので降りる。

そして、前に回った。

「どうしました?」

ダリアが聞いてくる。

「ベッキーが反応した。何か来るかもしれない」

ウルフが来るんだけどな。

そのまま待っていると、前方からゆっくりとウルフが出てきた。

タイミング的に馬車が止まらずに進んでいたら飛びかかってきていただろう。

「お願いします」

「任せておけ」

久しぶりに腰の剣を抜き、ゆっくりと近づく。

すると、ウルフの方は右前足を上げ、止まった。

直後、ウルフが踏み込み、駆けだす。

狼なだけあってかなりのスピードだ。

しかし、俺はただのデスクワークの魔法使いではない。

戦争で幾度もなく活躍してきた英雄の大魔導士なのだ。

よし、ブレイナに着いたら久しぶりに俺の武勇伝を語ってやろう。

「ふっ」

ウルフが飛び上がって噛みつこうとしてきたが、身体を捻って躱すと、剣を振り下ろす。

「ギャンッ!」

ウルフは真っ二つになって地面に叩きつけられた。

「おー……旦那さんもすごいですね」

「さすヴェルー」

俺の強さがバレてしまったか……ふっ。

「行こう」

剣をしまい、馬車に戻る。

「魔石はよろしいのですか?」

「今は急ぎたい。良い獲物だったら回収するが、ウルフ程度ならいい」

って、先輩が言ってました。

「そうですか。では、急ぎましょう」

「ああ…………かっこよくなかった?」

後ろに行く前にイレーネに聞いてみる。

「最高」

イレーネのサムズアップに満足したので荷台に乗った。

すると、すぐに馬車が動き出す。

「ヴェルナーさん、お強いんですね。すごい剣の振りでしたよ」

ベッキーが拍手をしてくれた。

リーエは満足げにうんうんと頷いている。

教授は読書。

「まあな。魔物が出てきたら任せておけ」

やっぱり時代は剣な気がする。