軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

7.嫉妬

目を覚ますとベッドの横でリオ様が本を読んでいました。

「……ずっとそこにいたの?」

「側にいろと言ったのは貴方だ」

それは眠るまでとお願いしたはず。

だけど、お風呂には入ったみたいね。服装が変わっています。

「ありがとう」

何となくお礼を言ってみました。

それは彼にとって意外な言葉だったようです。

「…平手打ちしたくせに」

「それはそれ。これはこれです」

ぐっすりと眠ったせいか気分が軽くなった気がするわ。今なら言えるかな。

「リオ様、ウィリアムに会いたいわ」

「……何故私に言うんだ」

「私は会わせてもらえませんから」

お義母様はウィリアムを本館に連れて行きましたが、私は出入りが許されておりません。

「……まさか」

「ご存知無かったの?」

「貴方が会いたがらないと聞いていました」

「会いたがらないのは貴方ですよね」

ああ、違う。今はウィリアムの話をしていたのだったわ。

「それは……」

……だから何故黙るの?

「リオ様。私には超常能力はありません」

「……だろうな」

「だから貴方の、『それは……』の後を読み解く能力などは無いのです。申し訳ありませんが言葉を濁さず最後まで言って下さいませ」

私は今更嫌われても構わないので、言いたいことは言わせて頂きますよ。

「…ウィリアムを産む時、死にかけただろう」

ん?

「だから?」

「……だから……その後もすぐに母上に預けてしまうし、嫌っているのだと思っていた」

「違います。有無を言わさず連れて行かれたんですよ」

確かに私は死にかけました。

なかなかの難産で陣痛が一日以上掛かったのと、出血が酷く、一度は心臓が止まったそうです。

私はというと、はっきり言って気絶していたようなものなので何も記憶にありません。

残念ながら、天国を覗き見などは出来ませんでした。

その後も弱りきった体は回復が遅く、体が休まらないでしょうと、ウィリアムはお義母様が連れて行ってしまいました。

あの子の側に行きたくても体が思うようにならず、私ひとりでは取り戻すことは難しかった。

そして、何故かリオ様もその頃から側に来てくれなくなったから味方がおらず、どうにもなりませんでした。

「あの頃、貴方がいてくれたらと何度も思いましたし、歩き回れないからと手紙を送りましたが返事を頂けませんでした」

「………貰っていません」

「では、お義母様に握り潰されたのでしょう」

本当に徹底しているわ。使用人達は私のお世話はしっかりしてくれますが、彼女達の管理はお義母様がしている為、決して味方にはなってくれないのよね。

「で?いい加減、浮気の理由を話してくれませんか」

はっきり言って聞きたくはない。でも、聞かないと前に進めません。

「………貴方に触れるのが怖くて」

「何故です?」

「あの時、貴方は本当に息が止まったんだ。

医師が心臓マッサージをして……私は、何も出来なくて……。

眠る貴方を見ると、本当に生きているのか心配になって、側にいるのが怖くなった」

「えっと…、ごめんなさい?」

ようするにトラウマになってしまったの?

私=死、みたいな?

「でもだからって女性を囲わなくてもいいではありませんか」

「………貴方があの男に平気で体を触れさせているから、浮気をしているのだと思いました」

あの男……まさかマシュー様?

「マシュー様は医師です」

「でも男です。それも貴方に好意を持っているじゃないか」

友情は好意なのかしら。でも言っても無駄そうね。

「やられたらやり返すって馬鹿なの?」

「……違う、最初は母上に頼まれてお茶に付き合っただけで。そうしたら……気分がおかしくなって。

その……しばらく抜いてなかったから、彼女に触れられて我慢できなくて……」

「致してしまったと」

怖いわ。息子に媚薬を飲ませたの?

「……彼女は純潔だったんだ」

「それで仕方がなく愛人に?どこまでお馬鹿なの?そんなのは犯罪行為でしょう!何故そこでお義母様を許してしまったのですか!」

「………すまない」

「ええ、ええ、済みませんよ。謝罪如きでどうにかなるわけ無いです。

一度だけなら貴方は被害者だった。でも、その後は貴方がご自分の意思で抱いていたのですよ。私への当てつけ?それとも具合が良かったから?

とりあえず言えることは、貴方達親子は最低だと言うことです」

挙句に理由を私の不貞にするなんて本当に最低過ぎます。自分の罪悪感を私を恨むことで誤魔化していたのだからどうしようもありません。

「私とマシュー様はただの友人ですよ」

「……」

「信頼関係が破綻した私達は、このまま一緒にいても幸せになれないわ。そうでしょう?」

「………好きなんだ、アシュリー」

眠りに落ちる時に聞いたのと同じ響きです。

切なくて、でも愛おしそうな。

「それなら信じて欲しかった。疑いの芽が生まれたのなら直接私に聞いて欲しかった。

私だって、ずっと貴方を……貴方だけを愛していたのに」

でも貴方は私から目を逸らし逃げて行ってしまった。

「ねえ、リオ様。

私の願いごとが何か分かりますか?」