軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大団円

お見合いを最後に、和やかにお別れと行きたかったところが、最後に大騒ぎになってしまったが、キングダム側ではそれを外交材料に使うつもりはないらしい。

そんなことで小さな負い目を持たせるより、たんたんと貿易を通して交流を重ねたほうがいい。

だから見合いを申し込んできたファーランドの体面をたてて、見合いは受けた。交流もした。ちょっとした事故はあったが、大したことはなかった。

残念ながら見合いはうまくいかなかったが、これからも仲良くやっていきましょうね、という結論である。

しかし、自分でちょっとした事故であると言うのはいいが、大人に大したことはなかったと言われると微妙に腹が立つのも確かである。しかし、それは大人に対してだ。

「リア、ほんとうにごめんよ」

「ぼくもちゃんと見てなかったから」

ロークとジェフがうなだれている。人の話を聞かないロークと、人の話を聞いても流してしまうジェフがこんなにしおれているということは、よほど叱られたのに違いない。

「私たちの監督不行き届きでした」

「本当にすみませんでした」

二人の兄さまたちからも謝罪を受ける。しかし、この兄さまたちもまだ子どもである。

「だいじょぶよ」

私はにっこりと笑った。

「じぇふ、ろーく、にこ。おはな、ほんとにありがと」

何のために屋敷の裏まで行ったのか、事故にまぎれて忘れてしまってはならない。お花畑は本当にうれしかったのだから。

「リア!」

「くるちいでしゅ」

ぎゅうぎゅう抱き着くのはやめましょう。ジェフとロークは兄さまとギルに引き離された。兄さま、笑顔が怖いです。

「リーリア、すまなかったな」

「自分のことばかりで、周りのことが見えておらず、申し訳ありませんでした」

謝罪するこのファーランドの若い二人のお嬢さんたちも、まだ成人はしていないのである。それに、お見合いの時に、ちゃんとおやつを分けてくれた人だ。アル殿下がおやつの皿にナプキンをかけるなどという気遣いができるわけもないのである。

もっとも、王族の一員であるテッサ王女は、もう少しちゃんとしていたほうがいい。

私は、謝罪する子どもたちの後ろの、ファーランドの随行員たちを厳しい目で眺めた。テッサ王女が来ているので、その中には護衛もいる。目立たなかっただけで、外交上の交渉などをしていたのかもしれない。しかし、四侯の子どもたち、つまり私達への対応は、すべて、自国の子どもたちにお任せだった。

そして、最後まで、子どもたちに責任を取らせようとしている。

私は厳しい顔をしてずいと前に出た。

「おい、どうした?」

「ろーく、どいて」

ロークは戸惑いながら、私の後ろを見て、どいてくれた。おそらく兄さまが何かしてくれたのだろう。他の子どもたちも脇によけてくれる。これで私の前にはファーランドの大人だけになった。

そして間抜けな顔で私のことを見ている。

私は腕を組んだ。ここはハンスも空気を読んで、「組めてねえ」などとは言わない。実際組めているのだし。

そして、一人一人をきちんと見た。端から端まで、ゆっくりと眺めた。

「りあ、ちいしゃいころ、しゃらわれまちた」

いきなり何を言い出すのかという目でファーランドの大人たちが私を見ている。今だって小さいだろうと笑いをこらえている人もいる。

「りあ、しゃらったひと、おぼえてりゅ。そちて、いま」

もう一度、端から端まで目をやった。

「ふぁーらんどのひと、おぼえまちた」

大人たちは一瞬ざわざわとして、それからしんとした。何のことかわからない人はどうしようもない。急に顔をひきつらせた人、真剣な顔をした人はまだ改善の余地があるだろう。

「こども、だめなこともしゅる。しょれをまもるのがおとな」

あなたたちはちゃんと守ったのかと、やるべきことをしたのかと目で問う。それがわからないなら仕方がない。

「ぜんいん、ちっかくでしゅ」

「ブッフォ」

「ハンスもちっかくでしゅ」

ハンスももう少しだけ我慢していればいいのに。私は言いたいことを言うと、くるりと振り向こうとして、兄さまに抱き上げられた。

いつの間にやら、私の隣にはニコが来て腕を組んで立っていたし、その斜め後ろには、ニコを守るようにギルが立っていた。他に見ぬキングダムの王族と四侯の瞳の色は、ファーランド一行に強い印象を与えただろうと思う。

そしてギルが口を開いた。

「貴公ら。四侯の、そしてキングダムの幼き後継を見極めようときたのであろう。しかし心せよ」

私はその言い回しに内心驚いたが、顔には出さず、静かにファーランドの人たちを見つめた。

「同じように、ファーランドのそなたらも見極められていたということをな」

うん、かっこいい。

そして今度は兄さまが、何も言えずに固まっている大人たちから目を外し、両脇によけたファーランドの子どもたちを集めた。自分たちも責められるかもと思った子供たちが神妙な顔をしている。

「楽しい語らいでした。あなたたちとの友誼は忘れません。またいつか、相まみえんことを」

大きい子たちの顔が明るくなったが、ジェフとロークはぽかんとしている。

「たのしかったぞ。またいつかあおう」

「たのちかった」

そういうことである。これで理解できたジェフとロークは明るい顔になった。

「ニコ!」

「リア!」

ほっとした空気が流れた。

要するに、子ども同士が仲良くなったから許すけど、大人が適当なことしてたらぶっ飛ばすぞと、そう言いたかっただけなのである。兄さま、ギル、ありがとう。

これで本当に、ネヴィル領での滞在は終わった。なかなかいい旅だったと思う。