作品タイトル不明
復興貴族税
『復興貴族税』とは何か?国土を復興させる為に貴族だけが払う特別税だ。
払う、払わないは任意らしい。ただ、払わなければ貴族ではなくなり平民落ちするだけの事である。
・・・。
私にとっては『だけ』でしかないし、自分がもし平民落ちしても文子だった頃平民だったから、ま、仕方ないかー。と別にあんまり気にならない。けれど、生まれた時から貴族として育って来た人にとっては平民落ちとは死刑宣告と同じである。
何が何でもそんな事態は避けたいと貴族達は思っているはずである。
その思っている人達から王室は金を搾り取る気なのだ。
『搾り取る』という表現がぴったりなほど税金は高かった。爵位や家族構成で値段は変わる。身分が上の人間ほど税金は高いし、扶養家族一人につき幾らと、子供が多ければ多いほど高くなる。
全貴族が脱税せずに税金を払ったら、新たに貴族になった人達全員の千年分くらいの年金になると思う。
そして勿論、全員が税金を余裕で払えるほど懐具合が豊かなわけではない。否。半分以上の人が払えないだろう。伝染病のせいでほとんどの貴族が困窮しているのだ。
平民にどうしても絶対になりたくなければ、売れる物を全て売ってでもお金を作るしかない。ほとんどの貴族がまず売るものは領地だろう。王様はその領地を新しく『男爵』になった人達に下げ渡すつもりでいるのだ。
それでも売れる物の全てを売っても税金を払えない人はたくさんいる。
デリクの所の新聞によると、伯爵家以上の家門の二割、子爵家と男爵家の半分、爵位を持たない下級貴族の八割が消えるだろうとの事だった。
爵位が上の方ほど税金が高いのに、伯爵家以上の家門で消えるのは二割か?と思う人もいるかもしれない。それには理由がある。
かつて困窮している家門にお金を寄付した税金支払い率TOP 10の家門は既に十分に国家に貢献しているという事で、税金の支払いを免除されたのだ。
それ、どこ?と思った方は是非『エーレンフロイト領の戦い・27』を見て頂きたい。
ちなみにうちは入っている(4位)。シュテルンベルク家も入っている(9位)。
おかしいだろ!
と抗議の声が至る所で上がった。
お金を持っている家門は持っているから接収されたのだ。その家門からは税金を取らず、寄付を受けねばならないほど困っている家門から税金を取るなんて!
それに対して王様は言った。
上位十家門から、お金を巻き上げてでも貧しい領地に配ったのは、国民を餓死させない為だ。領主に任せていたら、領民が餓死しそうだから、持ってる家門から接収したのだ。だが本来、領主は平民にとって範となるべき者なのであり、物乞いに領主とか貴族などを名乗る価値は無い。施しを受けねば自領の領民を養えないと言うなら、そのような者は貴族をやめろ!
貧しい貴族達は「天下の悪法だ!」と叫んでいる。でも、税金を免除された我が家には関係ないや。
と、思っていたが、来るわ来るわ、借金の申し込み。
その八割が「我が家の娘をヨーゼフやヘンリクのお嫁さんにしてあげるから、その代わりお金を援助してくれ!」というものだった。後の二割はただ普通に「金をくれ」というものである。
あまりにも借金の申し込みが来るものだから、サツマイモを焼くのに薪を割る必要が無いくらいだ。
ちなみに我が家だって、出してあげるべき人には出してあげてますよ。お父様は、家臣やエーレンフロイト騎士団の騎士の中で貴族位を持っている人には「特別ボーナス」と言って税金分のお金を渡してあげたのだ。
それに私も、エルヴァイラ先生とモニカ先生の家族分の税金を出してあげた。アルテミーネ先生には出さなかったけれど。だってアルテ先生はデイムになって、報奨金をもらったのだから。
だけど、親戚でもない。会った事さえない人から「援助してくれ!」と手紙が来るのはどうかと思うのですけれど。うちは孤児院とか災害被災地に援助する事で有名な家だからかもだけどさ。
というか、ヨーゼフはまだしもヘンリクに婚約者など早すぎるわっ!
「お嬢様ー。」
サツマイモを焼いている私の所に珍しく執事がやって来た。手に二通手紙を持っている。
「ん、ありがとう。」
と言って炎の中に放り込もうとしたら
「うわあああっ!駄目ですよ、お嬢様。」
と執事が叫んだ。
「アカデミーからと、ブランケンシュタイン公爵家からの手紙です!」
「アカデミーから?」
「来週アカデミーが再開するとの事です。」