軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第5話 自分でそこまで言うの!?

ハメルに引き連れられるようにして走る俺とユーリエ。

いつの間にかマガツヒ様は見えなくなっているが、ついてきていることは何となくわかる。

筆頭信徒って無駄な機能がつけられるんだな。

というか、走るのしんど……。

もう休みたい……。足が疲れた……。

「というか、君たち脱税していたの!? ダメでしょ!?」

マガツヒ様が後ろからそんなことを言ってくる。

いや、脱税って言い方……。

それに、神様のくせにどうして人間の法律とかを気にするんだよ。

「いや、だって……。ここスラムだし、払う必要ないかなって……」

「そうよね。街の方も、スラムには何もしてくれないから、代わりに税を見逃してくれているはずなのに……。だいたい、どうしてわたしの金を他人に分け与えないといけないのよ。意味不明だわ」

不満そうに顔をゆがめるユーリエ。

スラムの住人は、公共サービスを受けることができない。

その代わりに、納税を免除されている。

決まりとしてそんなものがあるわけではないが、昔からの慣習というか、暗黙の了解なのである。

それなのに、急に税金を払えと言われても……。一銭も払うつもりはない。

「お前の金じゃないが、まったく同意だな。そもそも、税ってなんだ。ふざけんな。俺が不正貯蓄している金だぞ」

「いやいや、税があるから国が公共サービスをすることができるんじゃないか。恵まれない人達の支援にもつながるし……」

苦笑いしながら俺たちを説得しようとするマガツヒ様。

善神である彼女は、力のない人々を救済しようというのだろう。

しかし、それは俺とユーリエの心には響かない。

「え、まず俺の支援をしろよ」

「そうよそうよ。赤の他人よりわたしでしょ」

「これが僕の筆頭信徒です……」

首を傾げる俺たちに対して、絶望の表情を見せるマガツヒ様。

俺たちは一心同体。俺たちの悪行は、すべてマガツヒ様のご意思である。

すなわち、脱税もそう。やったぜ、マガツヒ様。

ちゃんと国から怒られたときは、それを理由にして逃げるつもりである。

神を生贄に捧げる。意味わかんねえな、これ。

と、ハメルが立ち止まる。

まあ、そんなに教会から離れていない場所だからな、孤児院は。

孤児院なんて偉そうなことを言っているが、そんなに大きな建物ではない。

ここで完全に生活している子供もいるが、多くはこの周辺で寝泊まりしており、日中だけ生活している子供がほとんどだ。

お金がなくてねぇ……。苦労を掛けるねぇ……。

「ご足労いただきすみません。何とか説得しようとしているのですが、官憲は孤児院に押し入り、こちらの話を聞いてくれず……」

「そうでしたか……。私たちの言葉を聞いてくれればうれしいのですが……」

難しい顔をするハメルに、俺も同じように合わせる。

いや、ハメルとかの言葉を聞かないんだったら、俺とユーリエが対応しても一緒では……?

まあ、しょせん公僕。

自分のことしか考えていない頭の悪い奴の末路だ。

俺みたいな知的な頭脳の一パーセントでも持っていれば話は別だが、当然それだけの脳はないから、たぶん言葉で解決できないんだろうなあ……。

「公僕って言い方やめない?」

やめない。

マガツヒ様の意見は無視である。

しかし、女の公僕なら、俺のイケメンと演技で接待してやれば何とかなりそうだが……。

「相手が男の時は、お前が何とかしろよ、ユーリエ」

こそこそとユーリエに言えば、心底面倒くさそうに顔をゆがめた。

「えー……クソ面倒くさいわ……。というか、官憲なんて男の方が多いでしょうから、ここに来てるのも男でしょ? わたしが対応することになるじゃない。男の機嫌を取るの、簡単だけどすぐに調子に乗るからうっとうしいのよ」

機嫌を取れないとは一切言わないのが、こいつの自信を表している。

まあ、その演技で逆ハー要員を集めているのだから、実力は折り紙付きだ。

「これが僕の教祖と聖女! すごいでしょ!?」

誰に言ってんだ、この神?

さて、どうやって懐柔してやろうかと思っていると、孤児院から子供が飛び出してきた。

「あー、教祖様! 聖女様!」

そんなことを言いながら、俺の身体に抱き着いてくる。

うーん、邪魔……。

しかし、おびえる様子を見せる子供にそんなことは微塵も見せず、安心させるように笑顔を浮かべた。

「おやおや、どうしましたか? かわいい顔が台無しですよ? ほら、笑ってください。私たちが来たからには、もう大丈夫ですよ」

「教祖様……」

ホッとした様子を見せる子供。

そこに、汚いだみ声が聞こえてくる。

俺の美声とは偉い違いだ。

「あー、あんたらがこのガキどもの言っていた教会のトップ連中か? 随分とこっちを待たせてくれたなぁ」

「あなたは……?」

ゆっくりとこちらに近づいてくるのは、厳つい顔つきの男。

屈強そうな体つきは、荒事に慣れていることを表していた。

すなわち、俺が勝てないということ。逃げたい。

「俺はゴール。この街の格好いい正義のおまわりさんだよ」

「私はライアー。イケメンで性格もいいマガツヒ教の教祖です」

「わたしはユーリエ。かわいくて美人で教祖よりも性格のいいマガツヒ教の聖女です」

「自分でそこまで言うの!?」