軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第四百六十七話 助っ人到着

翌日。

俺の下へ三人の助っ人が到着した。

「せっかく弟と楽しい再会中でしたのに……」

「仕事が終われば解放してやる」

「囚人みたいな言い方はやめてほしいですわ!」

「お前は俺と専属契約をしているんだ。囚人みたいなもんだろ。休みがあっただけありがたいと思え」

「無茶苦茶ですわ……」

最初に到着したのはミアだった。

ラインフェルト公爵の下にいる弟に会いに行ったのに、すぐに呼び戻される羽目になった。

可哀想ではあるが、こっちも緊急だ。

戦力を遊ばせている余裕はない。

そんな風にミアと会話していると、残る二人も到着した。

「失礼します」

「よう、坊主」

一人は丁寧で、一人は砕けている。

変わらないと思いつつ、俺は二人の名を呼んだ。

「よく来てくれた、リンフィア、ジーク」

「帝都で緊急事態だとか? 天隼で伝令が来るほどですから、厄介事ですね?」

「ああ、とてもな」

リンフィアとジークは西部国境にいた。

現在、西部国境にはネルベリッターやレオの軍師であるヴィンがいる。

彼らに協力する形で、リンフィアとジークは国境を調べていたのだ。

きな臭い動きがあれば、すぐに国境守備軍へ伝える手筈となっていた。

そんな二人を呼び戻すのは心苦しかったが、背に腹は代えられない。

今は国境より帝都だ。

「これで役者は揃ったな」

「俺たちに何をさせるってんだ?」

「相手は強力な魔剣使いだ。近衛副団長と同格と考えていい」

一瞬で三人の顔が険しくなった。

三人とも武器を使う武芸者だ。

魔法で戦う俺よりも、近衛騎士団の隊長たちの実力をよく感じている。

その副団長と同格。

それだけでヤバさが伝わったらしい。

「まぁ安心しろ。三人にしてもらうのはエルナのフォローだ」

「エルナ様が出るのですか?」

「あのお嬢ちゃんなら一人で余裕だろ?」

「帝都に被害を出したくない。互角の戦いが長引けば、自然と被害は広がる。だから三人を呼んだ」

そう言って俺は古めかしい箱を机の上に出す。

これは城の宝物庫にあったものだ。

何かしら使える物があるだろうと、勝手に漁ったわけだが、予想通り使える物があった。

「それは?」

「使い捨ての魔導具だ」

そう言って俺は箱を開ける。

中には二つのリングが入っていた。

「単純な仕掛けだ。片方のリングを装着すると、もう片方のリングを装着している者の場所まで転移できる。本来なら緊急脱出用の魔導具だろうが、今回は場所を移すのに使う」

「なぁ、坊主。今、装着って聞こえたんだが?」

「ああ、装着しないと効力は発揮しない」

「……近衛副団長と同格の相手だぞ? 素直につけてくれるわけもないし、戦闘中に装着させろと?」

「だから呼んだ。どう考えても帝都で戦闘をすれば被害が出る。だから帝都から場所を移す。呼んでも向こうは来ないし、転移させるのが一番だ」

「そんな簡単そうに言わないでほしいですわ……」

「ちなみにその魔導具は何回利用できるのですか?」

「一回きりだ」

リンフィアは予想してたのか、静かに頷く。

ジークとミアは露骨に顔をしかめている。

失敗が許されないからだ。

「さて、それじゃあ作戦を説明するとしよう」

嫌がるジークとミアを見ながら、俺は意気揚々と作戦を説明するのだった。

■■■

作戦決行日。

俺はアムスベルグ勇爵家の屋敷の前で待っていた。

もちろん待っているのはエルナだ。

だが、どうも時間がかかっているようだ。

「遅いな?」

「理由はだいたいわかりますな」

セバスが呆れたようにため息を吐く。

俺のせいみたいに言わないでほしい。

すべて作戦だ。

「敵を油断させるためにあれこれとするのは、古くから使われてきた手だ。俺は悪くない」

「それはそうですな。ですが、自分を正当化するのは感心しませんな。アルノルト様が良いか悪いかを判断するのはエルナ様です」

「指示には従うと言ったんだ。当然、従ってもらう。こっちはメリットのない戦いなんだ。エルナにも当然、何でもやってもらう」

悪びれない俺を見て、セバスが肩を竦めた。

小言を言うだけ無駄だと察したらしい。

そしてそこからしばらくして、ようやくエルナが屋敷から出てきた。

着ているのは色鮮やかな赤いドレス。

ただし、背中や胸元は大きく開いているし、足には大胆なスリットも入っている。

恥ずかしそうに歩きながら、エルナが呟く。

「これで……本当に行くの……?」

「いつもの近衛騎士団の服装じゃ警戒されるだろ? あくまで食事だ、食事」

「食事でこんな痴女みたいな恰好しないわよ!」

「痴女みたいな恰好ってなんだよ……。ちゃんと腕の良い仕立て屋が作ったドレスだぞ? ザンドラ姉上の趣味だが」

ポツリとエルナに聞こえないように呟きつつ、俺は優雅に一礼してからエルナに手を差し出す。

「ではエルナお嬢様。今日は私がエスコート致します」

そう言って笑うと、エルナは顔を赤らめてそっぽを向いたのだった。