軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第16話 ティムの雑用スキル。洗濯スキル、"洗浄"

「よし! ティム、回復魔法をかけるぞ!」

「お、お願いします!」

少し休んだ後、ギルネ様の魔力も回復してきたらしい。

僕はギルネ様に治癒魔法をお願いした。

「 回復魔法(ヒール) !」

「おぉっ! 凄いっ、痛みが引きました! ありがとうございますっ!」

傷の治りをアピールするようにベッドから起きて、腕を回してみる。

もう全く痛くない!

ギルネ様は僕の回復を喜んで笑顔でパチパチと拍手をしてくれた。

「すみません……僕は初級魔法すら使えないので」

「いいんだ、それに治癒魔術はかなり高度な部類だしな! そ、それよりもティム……お願いがあるんだが……」

「はい! 何なりとお申し付けください!」

ギルネ様は何やら身体をもじもじさせながら恥ずかしそうに僕に目を向けてきた。

「そ、その……ティム。この宿は入浴は別料金みたいでな」

「あっ、はい! どうぞ、ギルネ様は僕にかまわずご入浴ください」

「いやっ! やっぱり節約が必要だろう! ほぼ無一文の私達は出費を最小限にしなくては!」

「ですが……ギルネ様のお体の汚れを落とすのは重要と考えますが」

「だ、だから! ティム、『あれ』を私にやってくれないか!?」

ギルネ様の発言の意味を少し考える。

身体の汚れを取る……『あれ』をっ!?

「あ、『あれ』をギルネ様にですか!? そんな、恐れ多いです!」

「お願いだ! ぜひやって欲しい! やってもらっている冒険者たちが羨ましかったんだ!」

「わ、分かりました。では……少しお体に触らせていただきます」

「よしっ! どこでも、好きなだけ触ってくれ!」

ギルネ様は両手を開いて僕を迎え入れてくれている。

固く目をつむり、緊張しているようだ。

僕はギルネ様の頭の上に優しく手を置かせていただいた。

ギルネ様はビクリと身体を強張らせる。

少し無礼にはなってしまうけど、スキルを発動させやすいのはこの場所だ。

「では、僕の洗濯スキルの"洗浄"でギルネ様から『汚れ』を取り除かせていただきます」

「あ、あわわ……あ、頭に手が……ティムの手が"ポンッ"て――」

ギルネ様は顔を真赤にしながら震えられている。

やはり屈辱的な格好なのだろう、僕は手早く済ませることにした。

僕は雑用スキルの一つ、洗濯スキルの"洗浄"を発動する。

ギルネ様の身体から……

衣服全てから……

『汚れ』を落としていった。

「……終わりました!」

「あ、ありがとう! 凄い、こんな一瞬で! しかもなんか、体調まで良くなった気がするぞ!」

ギルネ様はピョンピョン飛び跳ねて喜んでいる。

不思議そうに自分の身体や服を確認しているギルネ様に、僕は一応スキルの説明をさせていただいた。

「『汚れ』には体内の毒素、病原菌、老廃物、毒や呪いなどのステータス異常・低下などが含まれますので、体調が良く感じるのはそのおかげかもしれません!」

「の、呪いやステータス低下まで『汚れ』として消せるのかっ!?」

「でも、傷を癒やしたりはできませんから……ギルネ様の魔法に比べると全然です」

ギルネ様は僕の説明を聞くと、目を丸くして驚いてみせてくれた。

今まで、ギルドの冒険者達はほとんど感謝もしてくれなかったのに。

僕を元気づける為だと思うけど、ギルネ様は僕の唯一の些細な特技である雑用スキルを喜んでくれるので嬉しい。

僕もこんな雑用スキルなんてものではなく、立派な"冒険者スキル"を身に着けていつかは本当にギルネ様の助けになってあげたいなぁ。

「あのギルドの冒険者達が誰も病気をせず、呪いの装備すらも使いこなしていたのはティムのおかげだったのか……これは想像以上だな」

ギルネ様はなおも僕のスキルを褒めてくださっている。

本当に優しいお方だ。

「冒険者の皆さんは面倒くさがりで、"洗浄"を受けたらそのまま寝たがる人が多かったですからね。聞きたがる人もいませんでしたから、誰も知らないと思いますよ」

「ティムのありがたみが分かっていなかったんだな。体調管理は歴戦の戦士でも難しいのに……おっと、ガナッシュの悪口はやめておこう」

再びやり玉に挙げられるガナッシュ様の名に思わず笑ってしまう。

「ふふっ、よろしければ"手もみ洗い"というスキルもありますよ。マッサージみたいで疲れが取れるそうです」

「て、手もみ!? そ、それはティムが私の身体を揉んでくれるという事か!?」

ギルネ様は何やら興奮した様子で僕に詰め寄ってきた。

きっと身体を触られてしまうと思ってしまわれているのだろう。

僕は慌ててギルネ様の誤解を解いて安心させる。

「い、いえ、大丈夫です! ご安心ください! 僕が直接手を触れるわけではありませんから! スキルを発動させるだけです!」

「なんだそうか……でもせっかくだしお願いしようかな……」

ギルネ様は何故か残念そうに呟いた。