軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

116話 「顛末」

――『いろいろあった』

振り返ってみると、たぶんそんな言葉になるのだろう。

神様とティナの救出。そして身動きの取れない僕の目の前で繰り広げられた謎の戦闘。

ロイド先輩たちがあの場に現れた理由に関しては、僕と同じ目的だったのだろうと判断はつく。事実、あの後神様とティナをそれぞれの家に無事帰したのはロイド先輩だ。

しかし、あの恐ろしく強い金髪イケメンと女の子に関しては違う。

「……何者なんだ」

と、思わず学園の廊下を歩きながら、ひとり口にしてしまうくらいには謎だ。

「……」

…………クライムしかり、金髪にはイケメンが多い気がするのは僕の気のせいだろうか?

……考えることから逃げちゃだめだ。

ま(・) だ(・) 時(・) 間(・) は(・) あ(・) る(・) 。今のうちに整理しよう。

金髪イケメンと、お嬢様みたいな女の子

只者ではないことは確かだが、逆に言ってしまえばそれ以外なにも分かっていないのが現状だ。神様やティナ、そしてノアの姿だったとはいえ僕に対して手をだしてこなかったことから敵ではない……と判断することはできるのかもしれないが、敵の敵は味方という言葉もある。

この場合は神様たちを救出しにきたであろうロイド先輩……暗部を味方とするならば、やっぱりあいつらは僕の敵だった、という判断もできるわけだ。

「……うーん」

ひとり腕を組んで更に考えてみる。

あの謎の二人組の内、金髪のイケメンに関しては僕……というかノアに対して敵意があったように思う。実際ロイド先輩の 介(・) 入(・) がなければそのまま戦闘に突入、という流れも想像に難くない。もちろん、結果としてそうなっていないわけだからあくまで予想だが。

「……」

いや、そもそも、神獣ポチ様が僕に情報を出し渋っているのも謎だ。

なんとびっくり。ポチはあの謎の二人組を知っているらしいのだ。

にもかかわらず、『誰?』ってきいても『まだ判断がつかん、ひとまず儂にまかせよ』とかなんとか言ってハウスしてから今まで納得のいく説明はされていない。

「…………ふぅ」

大きく息を吐き出してみた。

冷静になろうじゃないか。

見知った廊下の角を曲がったと同時に、浮かび上がってきた言葉がある。

――時間は有限である。

……その通りだ。今僕が考えなければいけないのはあの二人組のことじゃない。

それに関しては言葉の通りひとまずポチさんに任せるのが一番なのかもしれない。神獣の顔見知り、という事実だけで安易に僕が首を突っ込んでいいことではない可能性もある。

「……」

それに僕にとって重要なのは、女神アテナの敵ではない、ということ。

そして、事実、あいつらは神様にもティナにも危害はくわえなかった。

今(・) は、ひとまずそれでいい。……ということにしておこう。

うん、うん、とひとりで 頷(うなず) いておく。

「……さて」

僕は一度足を止めた。

目的地である、生徒会室。その扉が向こうに見えたからだ。

ロイド先輩からの呼び出しを受けて、僕は歩いていた、というわけである。

「……」

冷静になる必要があった。

相対するのがロイド・メルツならばなおさらだ。

まず、呼び出しの理由だが、これに関してはいくつか想像できる。

まず思い当たるのは今回の事件の 顛末(てんまつ) についてだ。恐らく……などとつけるまでもなく、間違いなく説明があるだろう。

それからランス達がネムと呼んでいた少女……野良神の件。

彼女の処遇については説明が無くとも僕から確認する予定だからこれも確定にして良いのかもしれない。

あとは……今後の生徒会活動について、なんかもあり得る話だ。

「……」

僕は止めていた足を黙って前へと進めた。

こうして生徒会室に行くのはなにも初めてのことじゃない。それに呼び出された理由にも心当たりがある。

それなのにこんなに喉が渇いているのは、間違いなく僕が緊張しているからだろう。なにせ、事件の結末であるあの場にいたのは邪神ノアであってユノ・アスタリオではない。

当然、邪神ノアとして知り得たすべては無かったこととして考える必要がある。

英雄神を殺した反逆者の正体を知られるわけにはいかないとはいえ、なるべく嘘はつきたくない。

隠すことと、嘘をつくことは少し違うと思うから。

慎重に言葉を選びながら、ロイド先輩の勘の鋭さが発揮されないことを祈るしかない、か。

と、そんな気の重くなる気持ちを抱くと同時に、実は期待していることもある。

話の流れによっては僕が疑問に思っていた内の一つに関して情報が得られるかもしれない、という期待だ。

あの場にいたのは僕ではなく、邪神ノア。

だからこそ、生まれた疑問。

その答えを、もしかしたら知ることができるかもしれない。

「……」

ドアをノックする。

――「入れ」

ロイド先輩の声。

僕はドアノブに手をかけた。