軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白神祭⑤

トーレさんとフォルスさんと加えて、中層を目指す。とはいっても直で向かうのではなく、途中で出店なども巡りつつではある。

現在も出店のひとつ……バスケのフリースローのようなアトラクションのある店に皆で寄っていた。

出店というよりは小さな小屋のような感じで、中は空間魔法によって拡張されているらしくバスケットコートぐらいの広さがあった。

フリースローを五本打って入った数で得点を決める形式だが、シュートを打つ距離によって得点が違うみたいで、一番遠い……コート端と言っていい位置は一球百点だが遠すぎる。

現在は陽菜ちゃんが通常のフリースロー位置から挑戦しており、五球中四球成功というなかなかの成績だった。

「お~ヒナ上手いね」

「えへへ、バスケは結構得意なんですよ。トーレさんもやってみます?」

「じゃあ、挑戦してみようかな」

コミュ力強者のトーレさんはあっという間に皆と仲良くなっており、楽しそうな様子で陽菜ちゃんと交代する形でコートに入りボールを構える。

「……おぉ、なんかトーレさん凄そうです」

「たしかに、雰囲気あるわね」

陽菜ちゃんの呟きに葵ちゃんも同意する。たしかに、トーレさんは180㎝を越える高身長であり、スラッとスレンダーな体形も相まって、ボールを構える姿はまるでプロのように見えた。

見た目と雰囲気は100点なんだよなぁ……本当に、見た目と雰囲気は……。

そしてみんなが見守る中で軽快に跳躍しながら放ったトーレさんのシュートは……リングに触れることすらなく、明後日の方向に飛んでいった。

そしてそのまま、期待を裏切らず五球すべて外したトーレさんは、どこか満足げな表情で戻ってきた。

「……異世界で言うところの、紙一重ってやつかな?」

「いやいや、惜しいシュートすらなかったですよ!?」

「むむ、じゃあカイトもやってみてよ、絶対私と似たような結果になるんだから」

「…‥舐めないでくださいよ。俺だって学校の授業とかでバスケはやったことがありますし……」

そのままトーレさんに挑発する形で俺もフリースローに挑戦したが……最低一本は入れてやると気負い過ぎたのがいけなかったのか、絶妙にリングに嫌われて……俺の結果も0点だった。

なんとも言えない気恥ずかしさを感じながら戻ると、トーレさんは例によって鬼の首を取ったかのような表情を浮かべていた。

「カイト、私は信じてたよ!」

「……リ、リングには当たったので……」

「まぁ、落ち込む必要はないよ。誰にだって得手不得手はあるからね。気にせずにいこう」

「……いや、なんでトーレさんは勝ち誇った顔でこちらを慰めようとしてるんですか!? 貴女も0点ですからね!!」

「……いや、だってこれ難しいし……初めてでできるようなやつじゃないから……」

なぜか俺に勝利したかのような表情を浮かべていたトーレさんにツッコミを入れる。なんというか、悔しくはあるが……やっぱり俺とトーレさんは同レベルなので、なんかこういう競い合う的な雰囲気が成立するのでちょっと楽しい。

と、そんな風に少し複雑な心境でいると……ルナさんはリリアさんの方を向いて告げる。

「お嬢様、ちょっと私最高得点の商品が欲しいので……取ってきてください」

「え? 私、一度もやったことありませんけど……」

「いや、そういう謙遜は大丈夫です。ミヤマ様たちのを見て、シュートの打ち方は覚えたでしょ? というわけで、よろしくお願いします」

「……外しても恨まないでくださいよ」

ルナさんの要望に呆れたような顔を浮かべつつ、リリアさんがコートに入り……もっとも遠いシュート地点に移動する。

そしてボールを構えて放つと、ボールは綺麗な放物線を描いて飛んでいき、リングに当たらずにゴールに入る……いわゆるノータッチシュートを平然と決めた。

さらに続けざまに、先ほどまったく同じ軌道でリピート再生のように正確なシュートを放ち、五本すべてノータッチシュートで決めてしまった。

「ふぅ、なんとかなりましたね」

「……リリアさん、初めてやったんですよね? 完璧すぎて、ビックリしました」

「あぁ、私はカイトさんたちがプレイするのを見てましたからね。参考にできる前情報があったので簡単に入れることができました」

「……そ、そうですか」

最高得点の賞品を受け取って戻ってきたリリアさんに声をかけると、リリアさんは微笑みながら言葉を返してくる。

なんとなくそんな気はしていたが、リリアさんは簡単に最高得点を叩き出した。いや、この人は本当に天才すぎるというか、俺たちのプレイを見ただけで、距離感完璧のシュートを五本続けて打てるのだから凄まじい。

「……カイト、リリアがおかしいこと言ってる」

「トーレさん、慣れてください。リリアさんは基本だいたいのことは、一目見ただけでほぼ完璧にできるようになります」

「……そんなの、チートじゃないか」

「俺もそう思います」

実際問題、六王とか世界最高レベルの方々の影に隠れているだけで、リリアさんはアリスがバグというレベルの天才である。

大抵のことは一度やってるところを見ればほぼ完璧にこなせるのだから、トーレさんの言う通りその才能はまさにチートと言っていいだろう。

まぁ、ただ……なんだろう? それだけ凄いはずなのに、なぜか総合すると微妙にポンコツ感が勝つようなところが、リリアさんの可愛らしいところではあるのだが……。