軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ドラゴンカーニバル⑨

さすがに勝ち残った四匹による戦いは凄まじく、どれも激戦と言っていいものだった。そんな中で優勝を勝ち取ったのは、以外と言ったら失礼かもしれないが……ガンロックドラゴンだった。

まず最初のニーズヘッグとブラックドラゴンの戦いは、それはもう激戦であり実力は拮抗していたように思えた。

ひたすら遠距離攻撃に徹し、徹底的にニーズヘッグの接近を阻止するという戦法をとったブラックドラゴンが序盤は優勢だったが、中盤にニーズヘッグがダメージ覚悟で特攻したことにより流れは逆転した。

最終的にどちらも大きなダメージを負いつつも、ニーズヘッグが競り勝つ形で勝利を手中に収めた。

その次のテンペストドラゴンとガンロックドラゴンの戦いは、リリアさんが予想した通り終始ガンロックドラゴンが優勢だった。

テンペストドラゴンにはガンロックドラゴンの守りを貫ける攻撃手段が乏しく、数少ない有効打を与えられるであろう攻撃も、ここまでの戦いを見てガンロックドラゴンが対策していたこともあって、まともなダメージを通すことができずに敗北する形になった。

そして迎えた最終戦、ニーズヘッグとガンロックドラゴンの戦い。勝敗を分けたのは、ここまでの戦いでの消耗だった。

傷や魔力はエインガナさんによって回復されてはいるが、精神力まではそうではない。特にニーズヘッグは先の戦いでブラックドラゴンと一撃を競い合う、神経をすり減らすような戦いを繰り広げたばかりであり、精神的な疲労が抜けきっていなかった。

そのため序盤ニーズヘッグの動きはやや精彩を欠き、その隙を突いたガンロックドラゴンのカウンターのよって手痛いダメージを負うことになってしまった。

その後は持ち直して素晴らしい戦いを繰り広げていたが、結局序盤のダメージが最後まで響く形で、最終的に倒れたのはニーズヘッグだった。

組み合わせに恵まれた結果ともいえるかもしれないが、ガンロックドラゴンが徹底して自分の得意な防御主体の戦法を崩さず、微かな隙を的確に捉えたからの勝利だと、俺はそう感じた。

「……凄い戦いでしたね」

「ええ、実力は本当に拮抗していたと思いますが、最後は精神力が勝敗を分けましたね」

優勝したガンロックドラゴンへ拍手を送りつつ、リリアさんと言葉を交わす。あくまでこのドラゴンカーニバルは、若き竜種たちの実力披露という側面が強い。それでも優勝するのは大きな栄誉らしく、ガンロックドラゴンの岩のような顔は、心なしか嬉しそうに見えた。

『うむ、それぞれ己の能力を生かしたいい戦いじゃった。若さゆえの勢いもよい。特に最終戦に残ったニーズヘッグ、テンペストドラゴン、ブラックドラゴン、ガンロックドラゴンはいい練度じゃった。中でも優勝したガンロックドラゴンは、見事。それぞれ今後の分隊長候補としてさらなる精進を期待する』

マグナウェルさんが重厚な声で告げる。ちなみに、ここで特に個別に名前を呼んだりせず種族名で呼ぶのは、竜王配下の伝統らしい。

というのも、竜王配下では分隊長に任命される際に、マグナウェルさんから名前を貰えるらしく、それまでは種族名で呼ばれるらしい。

王であるマグナウェルさんから名前を貰えるのは、大きな誉れらしく、皆マグナウェルさんに名前貰い、その名前を呼んでもらえるのを目指して精進しているらしい。

ただそういう伝統になっているので、あえて名前を呼ばないだけでマグナウェルさんはちゃんと配下の名前は全て個別に記憶しているらしい。

なので優勝したガンロックドラゴンや、お褒めの言葉を貰えた三匹はマグナウェルさんの印象にも残り、後の分隊長候補として大きくリードしたと言えるだろう。

『ここからは交流の場じゃ。普段はあまり関わることのない他部隊の者たち、模擬戦で戦いを繰り広げた相手などと、この機会に交流を深めるとよい』

言ってみれば、打ち上げのようなものではあるが、マグナウェルさんの言う通り部隊が違うと関わる機会もあまり無いらしく、この交流の場を楽しみにしている若手の竜種も多い。

……まぁ、聞くところによると番となる相手を探したりもするらしいので、いろいろ有益なのだろう。

『さて、それでは各々楽しむように……と言いたいところじゃが、今回はその前にひとつ伝達しておくことがある。此度の交流の場には、ワシの客人としてミヤマカイト、リリア・アルベルトの両名が参加する。ミヤマカイトの名は皆もよく知っておろうし、リリア・アルベルトは人族の身ながら伯爵級に相当する実力を持つ強者、交流を持ちたいものも多いじゃろう』

そこで一度言葉を止めてから、マグナウェルさんはゆっくり首を動かして集まっている竜種たちを見る。

『……じゃが、全員に挨拶などを許せば、多すぎる。よって、お主らがミヤマカイト、リリア・アルベルトの両名の元に挨拶に赴くことは禁ずる。両名が訪ねてきた場合のみに、交流を許すものとする。くれぐれも留意せよ』

えっと、つまりドラゴンの方から俺たちに挨拶に来ることはないけど、俺たちがドラゴンたちに会いに行くのはOKと、そんな感じだろう。

たしかに、集まった竜種の数は相当だし、一匹一匹挨拶していたらきりが無いので、これは非常に助かる。

ただまぁ、リリアさんが期待するような目をしているので、それなりの数の竜種の元を訪れることには、なりそうではあるが……。