軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ドラゴンカーニバル⑧

開始されたドラゴンカーニバルは、やはりというべきか、なかなかにすさまじい迫力だった。小型でも俺から見れば巨大な竜種がぶつかり合う様はかなりの迫力で、派手なブレスの打ち合いなどもあって非常に手に汗握る。

いくつか目立った活躍をするドラゴンたちがいる中で、俺の目を引いたのはフレアさんと同じワイバーンの特殊個体であるニーズヘッグだった。

そもそもニーズヘッグ自体、膨大な戦闘を潜り抜けたワイバーンが後天的に進化する存在のため、進化できている時点で歴戦の猛者であるのは確かなのだが、それでも己より何倍も巨大なドラゴンを圧倒する様は凄かった。

隣にいるリリアさんもとてもはしゃいでおり、一戦一戦興奮が伝わってくるようで、その無邪気な表情がとても可愛らしい。

そうこうしているうちに戦いは進み、勝ち残ったベスト4のドラゴンたちが揃った。

一匹目は、俺が注目していたニーズヘッグであり、獰猛で荒々しい戦いで並みいる竜種を文字通り蹴散らして勝ち進んできた。単純な戦闘能力という点では、勝ち残った中でも一番ではないかと思う。

基本的にほぼ遠距離攻撃はせず、接近して凄まじい膂力でなぎ倒すパワータイプである。

二匹目は、リリアさん一押しのテンペストドラゴン、そう言えばルナさんが壊してリリアさんがキレてたのもテンペストドラゴンの模型だったかな? ちなみに、俺がやっていたMMOにも同名のドラゴンが居たのはちょっと面白い偶然だ。

テンペストドラゴンは遠近共に優れた万能タイプという印象で、雷や風といった多彩な魔法を操って危なげなく勝ち進んできた印象だ。

三匹目は、これはまたなんか縁を感じる話ではあるが、ガンロックドラゴンが勝ち進んできた。ガンロックドラゴンはなんと言っても圧巻の防御力……数多の攻撃を受けながらもビクともしないその堅牢さは、残った四匹の中で一番大きな体躯も合わさり、まさに要塞と言っていい。

最後の四匹目は、若きブラックドラゴン……これは、ファフニルさんと同じ種族であり、ドラゴンとしての見た目では一番カッコいい感じがする。

黒い竜巻やカマイタチのような遠距離攻撃を中心としており、近づくことすら出来ずに多くのドラゴンが破れていた。

「……どうでしょう、リリアさん。俺的には、ニーズヘッグが強いかなぁと思ってるんですが」

「そうですね、戦闘経験も能力も極めて高いですし、いい読みだと思います。ただ、これまでの戦いを見る限り、強い遠距離攻撃の手段を持っていないのが不安点ですね」

「なるほど、距離をとられると不利になる感じですね。ちなみに、リリアさんの予想は?」

「やはりテンペストドラゴンですね。私が個人的に好きという贔屓目もありますが、一番遠近のバランスが取れていて、戦闘を有利に運べると思います。ただ……唯一ガンロックドラゴンが相手だと、ここまで見る限りガンロックドラゴンの守りを抜くのが難しそうですし、組み合わせ次第ですね」

竜に詳しいリリアさんでも、明確にこれが勝つとは断言できないほど実力は近いみたいで、ここからはある程度は相性勝負になるのかもしれない。

近距離に強いニーズヘッグ、万能ながら火力に欠けるテンペストドラゴン、防御特化のガンロックドラゴン、遠距離に強いブラックドラゴン……組み合わせはくじになるみたいで、少しして組み合わせが決まった。

ここから先は一戦ずつ行うみたいで、初めのカードはニーズヘッグVSブラックドラゴン……これは、近距離と遠距離のぶつかり合いって感じかな?

「これは、得手不得手が分かりやすい戦いですね」

「ええ、接近できればニーズヘッグが勝つでしょうし、ブラックドラゴンはいかにニーズヘッグを近寄らせないかがカギになるでしょうね」

リリアさんとそんな風に話していると、不意に感応魔法が複雑な感情を捉えたので、俺はそちらに視線を向けて声をかける。

「……ファフニルさん? どうかしたんですか?」

それなりに距離があるので聞こえるか不安だったが、どうやら聞こえたみたいでファフニルさんはこちらを振り返りながら竜の姿のままで口を開く。

『……いえ、分かってはいるんですよ。渾身の竜巻もなにもかも、《咆哮一発》で消し飛ばしたり、こちらの全力のブレスをただの火球で拮抗すら許さずに粉砕するとか……それはアイツがおかしいだけなのだと……でも、どうにもあの組み合わせを見ていると、トラウマが蘇ってきまして……』

「う、うん?」

『……願わくば、若き同種のブライドが粉々に粉砕されませんように……』

……なんか過去に会ったのだろうかと思って視線を動かして、腕を組んだままで直立しているフレアさんを見て、察した。

あぁ、なるほど……ファフニルさんは過去にフレアさんと戦ったことがあって、それがトラウマになっているのだろう。