軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

貧乏くじを引き寄せるんだろうか?

いよいよやってきたシロさんの番。いままでの経験から考えるに、この方が世間一般的における常識的なプレゼントを用意してきたとは思えない。というか、絶対あり得ない。

いや、もちろん誕生日プレゼントをいただけるのは嬉しい。だけどその、限度というものがあるので、その辺りは空気を読んで……くれないよね。

『さて、満を持して登場しました。シャローヴァナル様です! って、こらっ、腐れ天使! 因果律干渉を強めんな!』

堂々たる足取りで壇上に上がるシロさんに、皆の注目が集まっていくが……あれ? 気のせいだろうか? なんかシロさんの機嫌が悪いというか、拗ねてるみたいに見える。

「……シロさん? なんか、不満そうに見えますが?」

「はい、少々不満です」

「な、なにが不満なんでしょうか?」

なんでだ? さっきのカラオケ大会の時はそうじゃなかったはずだが……順番が不満だったのか? いや、どうも違うっぽい。

も、もしかして、気づかないうちにシロさんの機嫌を損ねてしまったんじゃ……。

「クロとプレゼントが『被りました』」

「……」

どうせくだらない理由だろうとは思ってたけどね!? というか、クロとプレゼントが被った? ここまでもらったプレゼントの中では、一番被りそうにないものなんだけど……。

「私が用意したプレゼントは、こちらです」

少し不満そうなままシロさんが差し出してきたのは、30㎝四方くらいの黒い鉄の塊のような……謎の物体だった。

「……あの、シロさん?」

「なんですか?」

「その、全然被ってる感じがしないといいますか……いや、それよりも、この四角いものはなんですか?」

「誕生日プレゼントです」

相変わらずの天然返答、流石である。いや、そうじゃなくて、この謎の物体はどういうものなのかを聞きたいんだけど……。

クロと被ったってことは、これもVRとかなのかな?

「それは、ゲーム機です」

「……ゲーム機って、あのゲーム機のことですか?」

「はい。現時点で『地球に存在する全てのゲーム』をプレイすることができます」

「……え?」

ちょっとシロさんが言ったことの意味が、すぐには理解できなかった。ゲーム機? 地球に存在する全てのゲームがプレイできる? この、30㎝四方の箱で?

……マジもんのブラックボックス。いや、オーパーツか? な、なんてとんでもない。いや、それよりも……。

「……あの、この世界って、機械製品は駄目だったんじゃなかったんでしょうか?」

「正確には違います。機械製品は地球神との契約で禁止していました。ですが、今回は私と地球神の利害が完璧に一致しました。なので、この品に限るという条件で契約を解除しました」

「は、はぁ、なるほど……」

「……なのにクロと被りました」

な、なんか、いろいろとんでもなさすぎて思考が追い付かないが、これだけは言わせてほしい。

「いや、全然被ってないですからね!?」

「そうなのですか?」

「被ってるのは、ゲームという一点のみです」

「ふむ」

し、しかし、地球で遊んだゲームができるというのは、その率直に言えば嬉しい。ゲームは好きだし、こちらの世界に残ることを決めた以上、もうプレイはできないと思っていた。

なので、嬉しいが……。

「……その、シロさん」

「なんですか?」

「地球にあるすべてのゲームができるって……ネットゲームとかもですか?」

「はい」

「……どこに繋がるんですか?」

「この世界に造った電脳空間です」

「……俺以外のプレイヤーは?」

「いませんが?」

「……」

ある意味真のソロプレイである。いや、というか、サラッと流したけど……電脳空間造ったって言ってなかった? 怖いので、あんまり深くは聞かないことにしよう。

とりあえずこれは、ネットゲーム以外で遊ぶために使おう。そうしよう。

「けど、これ、どうやって使うんですか?」

「これが取扱説明書です」

なんか辞書みたいな取説出てきた!? いや、まぁ、このサイズであらゆるゲームができるとなったら、それぐらい膨大な説明が必要なのかもしれないが……。

また今度ゆっくり読むことにしよう。

「えっと、シロさん。いろいろ驚きましたけど、嬉しいです。ありがとうございました」

「喜んでもらえたならなによりです。あぁ、それと快人さん」

「はい?」

俺のお礼の言葉を聞いて、シロさんは少しだけ口角を上げたあと、ふと思い出したように告げた。

「……『この城、いりますか?』」

「いりません」

「そうですか」

つい即答してしまったが、この城ってのはいま会場として使っている空飛ぶ城のことだろう……うん、やっぱり、こんなトンデモな城はいらない。完全に持て余す。

シロさんは特に気にした様子もなく、視線を動かし壇上から軽く手を振った。

「……あれ? 私は?」

「人間、リリア・アルベルト」

「はへ? そ、創造神様!? は、はい!」

すると気絶していたリリアさんが目を覚まし、シロさんに話しかけられて大慌てで膝を突いた姿勢になる。

「本日の使用以後、この城を『貴女の所有物』とします」

「ふぇ? ……は、え? えぇぇぇぇぇ!?」

目覚めたばかりのリリアさんに向かって、シロさんからの殺人パス。当然ながら、リリアさんは受け止めきれない。絶望と驚愕があり混ざったような表情で絶叫している。

それでも流石というべきか、なんとか気を持ち直し、動揺しながら口を開く。

「……で、ですが――「リリア!」――クロノア様?」

「お前の気持ちはわかる! 痛いほどにわかる! しかし、駄目だ! よいか、シャローヴァナル様からの下賜だ。それを『拒否する無礼』が許されるのはミヤマのみ、拒否すれば神族すべてが敵にまわる……諦めよ」

「……はぃ。あ、ありがたく……ちょ……頂戴いたし……ます」

クロノアさんの忠告により、リリアさんは泣きながら頭を下げ……その姿勢のまま再び気絶した。

その、なんというか……ごめんなさい、リリアさん。まさか、そっちに行くとは思ってなかったんです。

拝啓、母さん、父さん――とりあえず、この城をどうするかについては、あとで俺も協力して話し合うことにしよう。俺が引き取るか、ライズさんに頼んで国で管理してもらうか、できるだけリリアさんの負担にならないようにしよう。しかし、原因は俺にもあるとはいえ、なんでリリアさんは、なんであんなにも――貧乏くじを引き寄せるんだろうか?