軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

フェイトと旅行⑤

フェイトさんが作ってくれた食事を食べ終え、さてこれからどうするかというと考えたタイミングで、フェイトさんから提案があった。

「昼寝しよう!」

「……まぁ、たしかに昼食も食べて程よく眠たい時間帯ですね」

「テラスもあるし、そこらへんで」

「いいですね。ビーチチェアとか使えばテラスで寝るのも問題ないでしょうし」

一瞬昼寝という提案に面食らってしまったが、今回はのんびりするのがテーマである。別に昼食を食べたあとなにかをしなければいけないというわけでもないので、のんびりと昼寝するのもいいだろう。

実際今日はいい天気だし、風も丁度心地よい感じなので昼寝というのはかなり魅力的だ。

「いや、せっかくだしハンモックで寝ようよ。私一度もハンモックで寝ころんだことないから、やってみたいんだよね」

「ハンモックですか……確かに俺も体験したことが無いので、興味はありますが……さ、さすがにハンモックの用意は無いですよ?」

フェイトさんが希望したハンモック。たしかにハンモックに揺られながら昼寝というのも、ちょっと憧れるシチュエーションではあるが……ハンモックなんて買ってないし、備え付けられてもない。

というかハンモックを取り付けられるような場所も、ざっと見た限りではないと思うんだけど……。

「大丈夫、任せて! とりあえず、テラスに行こう」

「わ、分かりました」

ハンモックで寝るなど不可能のように思えるのだが、フェイトさんにはなにかしら案があるみたいで、一緒にテラスに移動する。

そしてどうするのだろうとフェイトさんの方に視線を向けると、フェイトさんの目に縁取るような金色の模様と中心に金の十字が浮かび、直後にテラスに太い柱が数本と、すでに設置済みのハンモックが現れた。

「え? えぇ?」

「ふふふ、いまの私はシャローヴァナル様程じゃないにしても、創造も出来るんだよ。ハンモック創るぐらい簡単だよ!」

「な、なるほど……」

なんか、フェイトさんの権能が進化したとか、フェイトさんが神として一段階上のステージに上ったとかって話は聞いてたんだけど、実際に目の当たりにするとちょっとビックリする。

いつの間にか目も元に戻っているが、さっきのフェイトさんの纏う魔力はシロさんやエデンさんに似ていて、なんとなく格が違う感じの魔力だった。

凄い、凄いけど……そもそも俺のレベルから見れば、六王や最高神は皆全能みたいな感じなので、そこまで大きな驚きはなかった。

「……お、おおっ、コレ乗る前から結構揺れるんですね。乗るのが少し難しいですけど、よっとっ……」

初体験となるハンモックにドキドキしながら、なんとかバランスを取りつつ乗って寝ころんでみると……これはなかなかいい感じだ。

思ったより揺れがあって慣れるまではちょっと落ち着かないけど、慣れると空中に浮いてるみたいでかなり心地よい。

ここで昼寝したら、気持ちよさそうである。

「お~いいね。これ、結構いい感じだね」

「ええ、思った以上にいい寝心地ですね。これだとすぐに寝てしまいそうです」

「うんうん。よし、実際に体験して満足したし、移動しよ」

「うん? 移動?」

寝返りとかで落ちてしまわないかだけはちょっと不安だが、まぁ、意外とイメージより落ちるような感じはしないし、たぶん大丈夫だろう。

そんなことを考えていると、フェイトさんがなにやら奇妙なことを言い出した。移動? ここはもうテラスだし、別の場所で寝るというわけだろうか?

そんなことを考えていると、直後にむにっとなにやら柔らかい感触が……え?

「ちょっ!? フェ、フェイトさん!? なにしてるんですか?」

「え? 重かった?」

「い、いや、すぐには気付かなかったぐらい軽いですけど……」

「じゃ、大丈夫だね」

「いやいやいや!?」

そう、ハンモックにの転がる俺の体の上に覆いかぶさるようにフェイトさんが乗っていた。移動ってそう言うこと!?

フェイトさんの豊満な胸が俺の胸の上にあるのが見える。さっきの柔らかい感触はコレか……これは完全に予想外というか、フェイトさんの顔が滅茶苦茶近い。

ついでにハンモックの形状的に、変に体をよじったりも難しいので、逃げ場はない。

「ふぁぁ、カイちゃんは温かいねぇ。じゃ、お休み~」

「えぇぇぇぇ……」

戸惑う俺の上で、フェイトさんはゆるい口調で告げたあと俺の首に顔を寄せるようにして目を閉じた。そして少しすると、スヤスヤと微かな寝息が聞こえてくる。

この状態で平然と寝た上に、寝付くのが凄まじく早い。俺の方は、完全に眠気が吹き飛んでしまったというのに、フェイトさんは安心しきった表情で眠っていた。

う、う~ん。フェイトさんにとってそこまで安心できる相手と思われているのを喜ぶべきか、このとてつもない密着状態かつ首に吐息がかかる状態でしばらくじっとしていなければならないこれからを嘆くべきか……。

「うにゅ……カイちゃん……むにゃ」

「……」

フェイトさんが小さく顔を動かすと、俺の首にフェイトさんの唇が微かに触れるような感触がしてドキッとする。

もう駄目だこれ、完全に意識は覚醒しちゃったし……この状態じゃ、絶対寝付けない。