軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

薔薇姫の来訪⑥

ロズミエルさんと雑談をしていてふと思った。ロズミエルさんって紅茶を飲む姿が滅茶苦茶絵になる。

なんというか、まさに高位貴族の令嬢みたいな雰囲気で、気品というかそういうものを感じる。

「……え、ええ、えと……どど、どうしたの? 私、なにか変かな?」

「あっ、いえ紅茶を飲む姿が絵になるなぁって……なんというか、飲みなれている雰囲気がある気がしますね」

見た目だけなら自信に溢れた高貴な令嬢だが、喋ると急に弱気な印象が強くなるのも不思議だ。たぶん、声が見た目からは想像できないほど可愛い声だからだと思う。

「そ、そうだね。ジュティアとかがよく紅茶をくれるし、よく飲んでるかも」

「なるほど、けどそれ以上にロズミエルさんがお洒落て気品ある感じだからかもしれませんね」

「おお、お洒落で気品がある? わ、私が……そそ、そんなことはないとおもうけど……」

「お洒落だと思いますけどね……そういえば、いまさらですけど、白神祭で会った時とはドレスが変わってたりします? 似ているとは思うんですけど、なんとなく前とはちょっと違うような?」

「えっと、ドレスは同じだけど……飾りの薔薇の配色を変えてるから、そそ、それで違ってみるのかも?」

なるほど、それで少し印象が違って見えたのか……確かに言われてみれば、白神祭で見た時よりも明るめの色合いの薔薇が多いかもしれない。

「なるほど……そういえば、話は大きく変わりますけど、ロズミエルさんって芸術とかもお好きなんですよね?」

「う、うん。芸術は好きだよ。喋らなくてもいろんなものが伝わってくるから……」

「俺はイマイチ芸術とかに疎いんですが……白神祭での展示場みたいな場所で、作品を見る時のコツとかってあるんでしょうか?」

「そそ、そうだね……えっと、凄く簡単な楽しみ方は、やっぱり作者はなにを思ってその作品を作ったんだろうって、想像することかな。そ、そこが見えてくるとどんな風な想いを込めたのかも、分かりやすくなってくると思うよ」

過去に芸術には痛い目を見た経験があるからか、どうにも若干敬遠がちになっていたが、この前の白神祭の時はロズミエルさんの解説のおかげで楽しく見ることができた。

シンフォニア王国首都の北区画はなかなか世界的に見ても芸術で有名らしいので、多少は分かるようになりたいという気持ちもある。

「で、でも、一番大事なのは、それを考えた上でどう受け取るかだと思うよ」

「というと?」

「結局、いろいろ想像はできるけど、本当の意味でその作品に込めた想いを真に理解できるのは作った作者だけだと思う。見る人によっては、作者の意図とは全く違った受け取り方になる場合もあると思う……けど、そういうそれぞれがいろいろな受け取り方を出来るのも芸術の魅力だって、私はそう思うよ。作者の想いを考え、それを自分なりの形で受け取る。私は、そういう楽しみ方が好きだなぁ」

「なるほど……勉強になります」

たしかに俺が経験した痛い目……六王祭で作った失敗作も、作者の意図と見たものの受け取り方が違ってしまった作品だった。

しかし結果的にその解釈があったからこそ、ガンロックドラゴンたちにはいい影響を及ぼしたわけだし……結局のところロズミエルさんの言うように、どう受け取るかが重要なのだろう。

「……それにしても、芸術に関して話してる時のロズミエルさんは饒舌でしたね。やっぱり、好きなものだからでしょうか?」

「あ、あぅ、ごご、ごめんね、つい勢いよく話し過ぎちゃったかな……」

「いえ、本当に勉強になりましたし、芸術について話してる時のロズミエルさんはなんかカッコよかったですよ」

「あわわわ、そそ、そんなに褒められると……恥ずかしいよぉ」

「あはは、いまはカッコいいというより可愛らしいですけどね」

「も、もぅっ……カイトくんのいじわる」

なんとなくではあるが、白神祭の時よりもそうだが、今日訪れたばかりの頃よりも確実にロズミエルさんと仲良くなれているようなそんな気がした。

「すみません。話は戻りますが、シンフォニア王国首都の北区画の芸術って、結構有名と聞いたんですが……」

「う、うん。王立美術館があるからね。かなり大きくていろいろな品を置いてるけど、シンフォニア王国は彫刻が多目だね。アルクレシア帝国は絵画が多くて、ハイドラはジャンルに捕らわれない……なんというか、前衛的な作品が多いね」

「へぇ、いや、俺もせっかくシンフォニア王都に住んでるので、そういう場所も見に行ってみたいなぁって」

「い、いいと思うよ。いろんな作品を見るのは見識が広がるし……も、もも、もしよければ、その時は私が案内しようか?」

「いいんですか、まだまだ分からないところが多くて、そうしてもらえると助かりますが……えと、ロズミエルさん的には大丈夫ですか?」

「……す、空いてれば……たぶん……きっと……」

もし本当に一緒に行くことになったら、事前にしっかりと人の少ない日や時間帯を調べておかないと……。