軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

24.冷凍弾と火炎弾

朝のニホニウム、地下一階に前に遭遇した集団と再会した。

現場監督に使いっ走り四人、そして相変わらすふわふわした感じの天然姫・マーガレット。

また空気箱か、商売になるんだなあ、と思いつつおれは地下三階に行こうと横を通りすぎようとした。

が、彼らが持ってる箱が前のものとあきらかに違う事にきづいた。

30センチ四方の立方体の箱。六面あるうちの一面が真っ白なのが特徴だ。

不思議な箱に、思わず現場監督の男に聞いてみた。

「すみません、その箱はなんですか?」

「うん? おおあんたは前にもあった」

こっちを覚えてるのか、なら話は早い。

「これはな、我が社が社運をかけて開発した道具、その名もパンドラボックス!」

男の背中に集中線が見せてきそうな勢いだった。

パンドラボックス、すごいネーミングだな。

「どういう物なんだ?」

「集荷箱はしってるよな」

「いえ」

「なんだ知らないのか。他人が触ったものとかダンジョンの地面に一度も落ちたようなものは食べられないって潔癖症が世の中にいるだろ?」

「……そりゃいるでしょうね」

実際にあったことはないけど、そういう人間っていそうだなとは思った。

「集荷箱ってのはそういう人間のために、発動させておくとモンスターがドロップした瞬間にアイテムを箱の中に吸い込むための魔法アイテムだ。それを使えば誰もさわらない、地面にも落ちないドロップ品のできあがりだ」

「なるほど」

昨日マスターした事を思い出した。

おれが魔法カートの上でスライムを倒してそのままカートに入れるような事を自動でやってくれるアイテムってことだな。

「それをベースに、我が社が社運をかけて実に3億ピロの金をつぎ込んで開発したのがこのパンドラボックス! みていろ」

男がそう言って、一行の「空気狩り」が始まった。

スケルトンがでて、使いっ走りの四人が弱めて、マーガレット姫がトドメを刺す。

スケルトンが消えて、パンドラボックスがドロップの空気を吸い込む。

やがて、ボックスの白い面にマーガレット姫の顔がプリントされた。

「とまあこんなもんだ。アイテムをドロップさせた人間の顔がそこに出るんだ」

「生産者表示ってことか」

「おう、たまーにな、本当にマーガレット姫の空気なのかって疑う連中がいてな。これさえあれば姫の空気の証拠になる」

「なるほど」

よく考えたものだな。

「あんた冒険者なんだろ? パンドラボックスをいくつかあげるから、これを使って仲間たちに宣伝してくれよ」

男はそう言って、パンドラボックスを5つおれに押しつけた。

宣伝するのは構わないけど、これ、おれにはあまり意味ないんだよな。

ニホニウムの地下三階、マミーをボコボコに殴って、速さの種をゲットしていった。

特にアクシデントもなく、午前中はこもり続けて、速さはEからDになった。

日課の能力あげが終わって、ダンジョンから外に出ようとした時ある事に気づいた。

このパンドラボックス、いや集荷箱もそうだ。

これで種を収集出来ないのかと、収集して、持ち出しは出来ないのかと。

それに気づいたおれは、地下一階に戻ってきた。

地下一階はスケルトン、おれのユニークスキルでドロップはHPの種になる。

もし種を持ち出せたら同居人のエミリーにあげたい、ならまずはHPだ。

ボックスを起動させて、スケルトンを倒す。

種がドロップして――箱に吸い込まれた!

これは、これはいけるぞ!

おれは興奮して、箱に満杯のHPの種を詰め込んで、ニホニウムを出た。

「とれないです……」

合流したエミリーに箱を差し出し、種を取らせようとしたが、彼女は種を取れなかった。

「そうか……」

「やっぱりヨーダさんにしかとれないのですよ」

「いけると思ったんだけどな。実際ダンジョンの外に持って来れたし」

「仕方ないのです。やっぱり種はヨーダさん専用だったのです」

エミリーは落胆しなかった。

種がつかえれば彼女もいずれ能力MAXに出来ると思ったんだけど、そうは上手く行かなかったようだ。

「残念だ。これどうしよう」

「ハグレモノにしてアイテムにかえるしかないです。スケルトンだと何になるですか?」

「冷凍弾だ。まあ、冷凍弾を大量に生産できるって考えれば――」

そこまでいって、とまった。

一瞬、頭に何かがよぎった。

今まで冷凍弾をゲットするにはスケルトンを入り口から蹴り出して、一瞬で倒すしかない。

なぜそうなのかというと、種はおれが触ったらなくなるからで、外に持ち出してハグレモノ化出来なかった。

他の人間は倒しても空気になる――ちなみに空気と水からはハグレモノは生まれない。

だから冷凍弾はとりにくかった。

しかし、パンドラボックスとか集荷箱を使えばこうして大量に種を持ち出せる。

心の中でお願いしつつ、箱を遠くに置いて、離れた。

しばらくして箱が破裂して、種が一斉にスケルトン――ハグレモノ化した。

銃を構える、突っ込んで乱射する。

50体近くあるスケルトンを逃さず全部倒した。

すると、全部が冷凍弾をドロップした。

一発だけでも苦労したのが、一気に50発の冷凍弾になった。

「ヨーダさんすごいです」

「いや、まだだ」

「え?」

「これが出来るって事は――」

ニホニウムダンジョンのすぐ外、誰もいないところにパンドラボックスを置いた。

離れて、待って――ゾンビが大量に 孵った(、、、) 。

確信をもってやったこと、おれには余裕があった。

冷凍弾を込めて、50体のゾンビを下半身ごと地面を凍らせてから、一体ずつヘッドショットを打ち込んでいく。

そして、出たのは冷凍弾と違う弾丸の50発。

それを手に取って、銃に装填して、近くの木に撃った。

当たった瞬間、魔法陣が出て――木が燃えた!

ボックスを使ってとれたゾンビの弾丸は、炎を放つ火炎弾だった。

ニホニウムの可能性がまた一つ増えた瞬間だった。