軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第16話

リビアたちはともかく、先祖たちは人間によって下界へと送り込まれたのだ。

今の上界の人たちが、リビアたちよりもはるかに力がないのは確かだが、それを知らない下界の亜人たちは人間を恐れている人もいるだろう。

……まあ、ルガーたちのような例外もあるだろうけど。

「なのに、どうして今はこんなに活発なんだろうな……」

「分かりません。もしかしたら、私たちが知らないところで、何か別の動きがあるのかもしれません」

……別の動き、か。

そういえば、上界でも色々な話があった。

俺、エリス、ミヌといった特殊なスキルを持つ人間も現れた。

下界と上界で俺の知らない何かが起きているのかもしれない。

それが、大きな問題でなければいいんだけどな。

「そういえば、エリスはどうだ? 村内で変なことはしていないか?」

心配は外だけではなく、村の中にもある。

エリスの目的がまるで見えてこないからな。

しかし、リビアは俺の心配など気にした様子はなく冷静に答えた。

「大丈夫です。特に何かしていることはありませんし、村にいる人たちとも問題なく交流できていますよ」

「……本当か?」

「ええ。正直、クレスト様の話を聞いていなかったら、とても危険な人だとは思えませんよ」

そんなに、か。

いや、確かに昔から外面は良かったけど。

「それなら良かった」

とりあえず、北の亜人たちに集中したい現状で、エリスにまで注意を配りたくはなかったしな。

何もないなら、それが一番だ。

「それじゃあ、おやすみ」

「はい。おやすみなさい」

俺はリビアにそう言ってから、眠りについた。

ガチャ更新日の朝。

前までは日付が変更されるのを待っていたが、今回はそうはしなかった。

俺もリビアも、次の日に色々とやることがあったからな。

そういうわけでいつもよりも早く眠りにつき、いつもより少しだけ早く起きた俺たちは、ガチャが更新されているのを確認する。

「どうですか、クレスト様?」

「ああ、あったよ」

たぶん、大丈夫だろうとは思っていても、ガチャが更新されるときには若干の不安がある。

リビアにも見えるようにガチャの画面を展開し、俺は改めてガチャを確認する。

今回のガチャは、『暗黒騎士』ガチャだそうだ。

虹色スキルに入っているのは、『暗黒騎士』、『黒ノ盾』、『影術』の三つだそうだ。

暗黒騎士のスキル自体は聞いたことがあるな。

確か、体力を削って何かをする……というものだったと思う。

さすがにそれ以上の詳細は分からない。それに、俺の暗黒騎士が俺の知っているものと同じとも限らないしな。

「どのようなスキルでしょうか?」

「黒ノ盾と影術は初めて見たから分からないな。でも、暗黒騎士は別に悪いスキルでもなかったと思う」

そう答えるのが精々だ。

あのフードの男がいる以上、微妙なスキルではないことを祈るばかりだ。

「良いスキルであればいいですね」

「そうだな」

祈るような調子のリビアに頷きながら、俺は自分のガチャポイントを確認する。

今あるポイントは30000ポイントだ。

今日まで新種の魔物を狩り続けたおかげで、ガチャは六十六回分回すことができる。

これだけあれば、すべてのスキルを確保することも不可能ではないだろう。

……あとは、俺の運次第だな。

「俺はこのままガチャを回そうと思うけど、リビアはどうする?」

いつもならば起きてすぐに朝食を食べる。

朝食は、料理術を持っている人たちが作ってくれているため、食堂に行けばこのくらいの時間なら問題なく食事できるだろう。

ただ、今の時間だと他の亜人たちも利用しているだろうし、混雑は避けられないだろう。

俺が行くと、皆が席を譲ったり、気を遣ってきたりするため、あまり利用者が多い時間には使わないようにしている。

気を遣われるのは俺だけではない。

リビアやオルフェなど、リーダー格の子たちはやはり意識されてしまうらしい。

そういうこともあって、だいたい皆が利用するのは時間を少しずらすことが多い。

スフィーはそういうところまったく気にしていないようで、自分の使いたい時間に使っているらしいけど。

そのくらい図太い人のほうが、リーダーは務まるのではないか、と最近は考えるようにもなっていたな。

まあ、今くらいのバランスがちょうどいい気もしないではない。

そんなことを考えていると、リビアが控えめな様子で口を開いた。

「私も一緒に見てもよろしいですか?」

「ああ、構わないよ」

「……もしも、微妙なスキルしか出なかったら申し訳ございません」

リビアはぺこりと頭を下げる。

以前、一緒にいたときのガチャ結果が微妙だったことを思い出しているようだ。

「そんな気にする必要はないって。どうせ、ガチャなんて運なんだしな」

「そう言っていただけると嬉しいです。とにかく、祈りますね……!」

両手を合わせて祈るリビアは、とても可愛らしい。

……見とれている場合ではないな。

彼女の祈りが続いている間に、ガチャを引こうか。

俺がベッドに腰かけていると、リビアが隣に並ぶ。

早速、ガチャ画面を展開し、リビアにも見えるように共有する。

そして、俺はガチャを引いた。