軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第15話

リザードマンたちの奥に見えた街は、俺たちの村よりも大きな規模だった。

街一つを隠蔽しているのは、一体誰だろうか。

「リザードマンにできると思うか?」

「スキルを持っておればできるじゃろうな」

……なるほどな。

リザードマンの誰かがやっているのか、あるいはあのフードの男か。

仮にフードの男がしているというのなら、魔法も近接戦闘もできるなんて、どんだけ恵まれているんだという話だ。

さらに敵が強大な存在になってしまうので、できればその可能性は勘弁してほしいものだ。

「できれば、今はあいつらに見つかりたくない。……もちろん、敵対されないのならいいけど、敵対されたら……ちょっと勝つのは厳しいかもしれないんだ」

情けない話だが、素直に伝えるしかない。

きっと俺は首領としては正しくはないんだろうとは思いながら。

「……そんなに、リザードマンたちは強そうなのですか?」

リザードマンたちも確かに強いとは思う。

しかし、彼らならばきっとどうにかできる。

……厄介なのは、やはり――。

「強そうな、男がいたんだ。首領か、皆のように種族のリーダーを務めている奴だと思う」

「……強そうな男ですか?」

「ああ。フードを被っていたから種族は分からないが、はっきり言って、逃げるので精一杯だったんだよ」

「……ちょっと待ってください」

リビアがじーっとこちらを見てくる。

「どうした?」

「逃げるので精一杯って、もしかして戦ったんですか?」

やはり、その問いかけが来てしまうか。

さりげなーく、言ったつもりだったんだけど、気づかれてしまった。

「た、戦うつもりじゃなくてな。アサシン状態を見切られて、周辺一帯を薙ぎ払うように攻撃してきたんだ。何とかかわして逃げてきたけど……それだけで、かなりの実力者だと分かったんだ」

俺の言い訳に、リビアは小さく息を吐いた。

「……怪我は、されていませんか?」

「少し攻撃を掠ったくらいで、大丈夫だ。それも、もうポーションで治療したからな」

心配そうに覗きこんでくるリビアに、慌てて怪我の状態を伝える。

途中で拾った薬草を使って、ポーションを製作しているので怪我に関してはもう問題ない。

心配しなくても大丈夫だ、と皆に訴えかけるように伝えると、

「あまり、無茶をするなよクレスト」

オルフェが場の空気を和ませるようにそう言ってくれ、ひとまずは落ち着いた。

それでも、まだ心配そうな表情を浮かべる者たちもいたので、これ以上この話題を続けても仕方ないと思った俺は、話を打ち切る作戦に出ることにした。

「そういうわけで、明かりを使いすぎないように気をつけてくれ。せっかく、見張りの場所につけてくれたけど、あれもなるべくは使用しないようにな」

光は相手からよく見えてしまうだろう。

俺のお願いに、ヴァンニャがすかさず頷いた。

「分かったんじゃよ。わしから皆に伝えておくんじゃ」

「ああ、よろしく頼む。とりあえず、敵かどうかはまだ分からないが……格上であることは確かだ。日々の鍛錬を忘れずにな」

そう言って、俺は無理やりに話を終わらせた。

会議も無事終わり、俺はリビアとともに自宅へと戻る。

本当に無事だったかどうかは分からない。

けど、俺が無事だと言えば無事なんだ。

「クレスト様。先ほどのお話ですが」

「さ、先ほどの話? ああ、リザードマンたちに警戒しないといけないってことか?」

「交戦したときの話です」

どうやら、リビアにはしっかり話をする必要がありそうだ。

「何が聞きたいんだ?」

「正直にお話ください。クレスト様は、その男と本気で戦って勝てそうでしたか?」

良かった。

危険な状態に陥ったことに対して何か話をさせられるわけではないようだ。

「正直に言えば、かなり厳しいと思っている。少なくとも、今の手札ではどうしようもない」

俺は優秀なスキルを数多く所持しているが、ずば抜けたスキルは持っていない。

それらを使って、搦め手のように戦うことは可能だろうけど……フードの男にはそれらが通用するかどうかも怪しい。

あの破壊力のある一撃によって、すべてを薙ぎ払われる可能性のほうが高いだろう。

「それほど、ですか」

「ああ。できれば、敵対したくはないな」

「……そうですか。敵に、ならなければ良いですね」

「そうだな。でも、今の俺では無理でも、もうすぐにガチャも更新されるからな」

「そういえば……! もうそんなに時間が経つんですね」

確かにな。

今月も色々とあったからな……。

スフィーたちと同盟を結んだと思ったら、すぐにヴァンニャと出会い。

そして、オーガたちと戦うために準備を整え、ようやく脅威を退けたというのに、今度はまた別の亜人。

「下界はいつもこんなに争いごとが起きていたのか?」

「……いえ、これまではこんなことはありませんでした。すべての亜人たちが、人間に見つからないようこっそりと生活をしていたはずです。人間に見つかれば、厄介なことになるというのが私たちの認識でしたし」

……そりゃあそうだよな。