軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第905話 幻の鉱山の成果とルディの思い

とりあえずライトは食器類を全て仕舞い、平地に移動してからアイテムリュックの蓋を開けて逆さに持った。

すると、ザラザラザラザラ……とたくさんの鉱物類がアイテムリュックから出てきた。

その勢いは留まることを知らず、ライトが両腕を高く上げてもなお鉱物類を放出し続ける。

「……ルディ、悪いけどこのままアイテムリュックを持って上に飛んでてくれる?」

『分かりましたー!』

ライトの背丈では、とてもじゃないが出しきれそうにない。

途中でルディとバトンタッチし、アイテムリュックをルディに託す。

そうして数分の間、アイテムリュックから鉱物類を出し続けた結果、ライト達が真上を見上げるくらいの山積みになった。

こんもりと積み重なった鉱物類は、ちょっとした家一軒分くらいありそうだ。カタポレンの家程ではないが、ディーノ村の父母の家くらいか。

「……ンまー、よくもここまで採ったねぇ……」

「アハハハハ……ぼくもここまで採れるとは、正直思ってたせんでした……」

『主様のお言い付け通り、一粒残らず拾い集めましたからね!』

ポカーン……とした顔で、目の前に出現した鉱物の山を見上げるライト達。

ヴァレリアは感心したように呟き、ライトは戸惑ったように相槌を打ち、ミーナはエッヘン☆とばかりに胸を張る。

ちなみにミーアはただただ言葉を失い、ルディは一粒も鉱物が出てこなくなったアイテムリュックをライトに返還していた。

「そしたら今度はこれを、ライト君のマイページに収納していかないとね!」

「うはぁー……分ッかりましたぁー」

ヴァレリアの言葉に、ライトは一瞬だけ遠い目をするもすぐにマイページを開いた。

ここから先は、ライト一人で作業しなければならない。アイテムリュックや空間魔法陣と違って、マイページの操作はライト唯一人に許された権限だからだ。

ただし、何故かヴァレリアだけはライトのマイページに触ることが可能なのだが。

まずライトはスキル欄を開き、幻の鉱山にいた時のように【エナジー】と【俊足】を上限までかける。

これは、目の前にあるたくさんの鉱物を素早くマイページに収納していくためだ。

スキルをかけた後にページをアイテム欄に移し、どんどん鉱物類を手で掬って放り込んでいく。

「うおおおおおッ!」

目にも留まらぬ速さで、手当り次第に鉱物を掬ってはマイページに収納していくライト。

しかし、子供の手で掬って入れていくのはさすがに相当時間がかかりそうだ。

途中で見かねたヴァレリアが、収納魔法を発動して大きなスコップをヒョイ、と取り出した。

「ライト君、これを使うといいよ」

「ありがとうございますッ!」

ヴァレリアから差し出されたスコップを、ガシッ!と手に取ったライト。そのまま怒涛の勢いで、ザクザクザクザク!と鉱物をスコップで掬い上げては、アイテム欄に放り込み続ける。

こうして高く聳え立つ鉱物の山は、猛烈なスピードで嵩が減っていった。

スコップを入れられないくらいに減ってからは、ライトは再び両手で掬い取っていく。

そうして最後に残った数粒の塊をマイページに入れて、一つも余すことなく拾い集め終えた頃に、バフスキルの効果が切れた。

バフスキルの効果が切れた反動か、ライトはその場ではぁぁぁぁ……とため息を洩らしながら、ペタリと座り込む。

それまで少し離れたところで、ライトの移し替え作業を見守っていたミーア達。ライトが作業を終えたことを見届けて、ライトのもとに駆け寄ってきた。

『ライトさん、お疲れさまです!』

『あんな大きな山を、あっという間に全部移し替えちゃうなんて……やっぱり主様はスゴいですー!』

『パパ様、お疲れさまでした!』

「さっすがライト君!バフスキルの使い方を心得ているね!」

ライトの働きを労う数々の言葉の中に、一種類だけ褒める方向が違う言葉が混じっている気がするが。多分それは気のせいではない。

その言葉の主は、なおもライトに催促する。

「ねぇねぇ、ライト君、何がどれだけ採れたの!? 気になるから、アイテム欄を見せてー!」

「は、はい、ちょっと待ってくださいね……」

子供のようにはしゃぎながら催促するヴァレリアに、ライトはのそのそとした動きでマイページを開く。

BCOにおける鉱物類は、アイテム欄の中では『その他』の項目に収納される。

アイテム欄の『その他』を開くと、様々なアイテムがずらりと並んでいた。

今現在ライトのアイテム欄にある鉱物、金属類の内訳は以下の通りである。

【金属類】

鉄……5587個

金……972個

銀……1439個

銅……2133個

真鍮……2960個

隕鉄……673個

プラチナ……855個

アルミニウム……3048個

ミスリル……442個

オリハルコン……318個

アダマント……243個

ヒヒイロカネ……219個

【宝石類】

ダイヤモンド……272個

ルビー……348個

サファイア……407個

エメラルド……359個

水晶……4576個

紅水晶……621個

黒水晶……392個

アメジスト……1230個

ペリドット……1547個

トルマリン……2148個

トパーズ……943個

オパール……1028個

アクアマリン……1391個

この数字を見て、ヴァレリアが「ウヒョー☆」と驚きの声を洩らす。

ライトとミーナ、二人での共同作業とはいえここまで収穫できたのは望外の結果である。

ちなみに金属類の単位が重さの『kg』ではなく『個』になっているのは、幻の鉱山から切り出された状態そのままだからである。

これを後日、生産職スキルの【金属錬成】を用いて板状に成形すれば、別途で『kg』表記のアイテムになる。

これは宝石類でも言えることで、重さではなく原石としての個数を表している。

また、幻の鉱山で採れる鉱物類はだいたいの重量が決まっている。

例えば鉄は一個の塊につき約1kg、銀は500g、金は100g等々。

塊の形は一個一個違うのに、実際の重量を図るとほぼ同じになるというのが如何にもファンタジーチックである。

そして、ミスリルなどのより稀少性の高い金属になると、一個につき100gを下回る。

ミスリルは80g、オリハルコン30g、アダマント50g、ヒヒイロカネに至っては何と一個10gである。

同じ十個でも、鉄は10kg、ヒヒイロカネは10g。その天地の差は、まさしく金属ごとの稀少性を表しているのだ。

「しっかし、これまたすっごい量を採ってきたもんだねぇ……」

「はい!これも全てミーナの頑張りのおかげです!」

『主様にこんなに褒めてもらえて、とっても嬉しいです!』

ライトに褒められて、嬉しそうに喜ぶミーナ。

だがその後ろで、何故かルディが少しだけしょんぼりとしている。

そのことに気づいたミーアが、ルディに声をかけた。

『ルディ、どうしたのですか?』

『……ミーナ姉様は、こんなにもパパ様のお役に立てているのに……僕は何の役にも立ててなくて……』

『まぁ、ルディったら……そんなことはないですよ? ねぇ、ライトさん?』

ルディがしょんぼりとしていたのは、ミーナの活躍に比べて自分は何もできていないことへの失望だった。

確かに今日はミーナが大活躍し、ライトのためにたくさんの成果を上げていた。そしてミーナ自身も胸を張って誇らしげにしている。

それを見たルディが、 姉(ミーナ) に比べて自分は全然役に立っていない……と考えてしょげてしまうのも当然だった。

そんなルディの心情を聞き、ミーアがルディの黄金色の身体をそっと撫でながらライトに助けを求める。

ミーアの声を受けて、ライトが急いでルディのもとに駆け寄った。

「もちろんです!ルディ、ぼくね、実は近いうちにっていうか、明日? ルディにお願いしたいことがあるんだ」

『パパ様が僕に、お願いしたいこと……ですか?』

「うん。これはミーナにはできなくて、もちろんミーアさんやヴァレリアさんにも頼めなくて、絶対にルディにしかお願いできないことなんだ!」

『僕にしか、できないこと……』

それまで己の無力さを嘆き、ずっと俯いてしょんぼりしていたルディ。ライトの言葉を聞いて、だんだんとその瞳に力が戻ってくる。

今回の幻の鉱山では全く活躍できなかったが、自分にも活躍する場が用意されている。そして 主(ライト) が自分のこともちゃんと考えてくれている―――そのことが、ルディにはとても嬉しかった。

『パパ様!僕にできることなら、何でもお申し付けください!パパ様の願いを叶えるために、僕も全力で頑張ります!』

「ありがとう、ルディ。その時はよろしくね!」

喜びの余りにライトに頬ずりするルディに、ライトもルディの顔をそっと抱きしめながら優しく撫でる。

使い魔の主従達の心温まる交流に、ミーア達も微笑みながら優しい眼差しで見守っていた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ライトの幻の鉱山行きのあれやこれやを、無事見届けることができたヴァレリア。

実に満足そうな顔で腕を伸ばし、背伸びをした後ライト達に声をかけた。

「さて、今日もたくさんの面白いものを見せてもらったことだし。ぼちぼち私は帰るね!」

「ヴァレリアさんもお疲れさまでした!ぼくもそろそろお昼ご飯だし、一旦家に帰らなくっちゃ」

ヴァレリアの帰宅宣言に、ライトがすぐさま労いの言葉をかける。

ライトに続き、ミーナやルディ、ミーアもヴァレリアにお願いや礼を言う。

『ヴァレリアさん、今度は私にも収納魔法を教えてくださいね!』

『僕も今日は、ヴァレリアさんに収納魔法を教えてもらえて良かったです!ありがとうございました!』

『ヴァレリアさん……私の弟妹にまで御高配をいただき、本当にありがとうございます』

ミーナ達の言葉に、ヴァレリアも「うん、近いうちにまた来るね!」「さっきまで使ってたテーブルと椅子、早速収納してみてね!」「どういたしまして!」等々丁寧に返事を返している。

「じゃ、皆、またね!」

「『『『さようならー!』』』」

いつものように、ヴァレリアがふわっと宙に浮いたかと思うと、次の瞬間にはもう姿が掻き消えている。

ヴァレリアを見送ったライトも、アイテムリュックを背負いつつ帰り支度を始める。

「さっきルディにも話した通り、また明日も来ます!」

『ライトさんもお疲れさまでした、また明日お会いしましょう』

『主様、またいつか幻の鉱山に行きましょうね!』

『パパ様、明日は僕の大活躍を見てくださいね!』

ミーナ達に見送られながら、ライトは瞬間移動用魔法陣でカタポレンの家に帰っていった。