軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1492話 夏休み二日目の朝

怒涛の夏休み初日を終えた翌日。

コテージに泊まったライト達は、いつものように朝を迎えていた。

レオニスは朝四時に起きて森の警邏に出かけ、ライトとラウルは朝五時に起きて各々のなすべきこと、魔石回収や巨大野菜の収穫などに勤しむ。

季節は夏真っ盛りで日が昇る時間も早く、活動時間がたっぷり取れる時期なのだ。

その一方で、ラーデやリンドブルム、そしてサマエルまでコテージのリビングでまだぐっすりと寝ている。

ライト達がレインボースライムショーで購入した限定品『人をダメにするクッション』は、高位の竜族相手にも遺憾なくその力を発揮するようで何よりである。

彼らが自分達から目覚めるまでそのままそっと寝かしておいて、朝七時にマキシやフォルとともに朝食を食べ始めた。

昨日三人で出かけた天空島で起きた様々な出来事を、ライト達がマキシに語って聞かせる。

マキシは前日の晩御飯中に、リンドブルムとサマエルのことをちょこっとだけ紹介されただけなので、天空竜の襲来やら一触即発状態だったという話に非常に驚いていた。

するとここで、トーストなどの朝食の良い匂いにつられたのか、ラーデが起きてきた。

そしてまだ半分寝ぼけ眼のまま、ライト達がいるテーブルにふよふよと飛んで寄ってきた。

未だ眠たそうなラーデに、ライトが元気よく声をかけた。

「あ、ラーデ、おはよう!」

『おはよう……皆、早起きだな』

「そう? いつもと同じ時間だよ?」

『……ぬ? ではラウルももう朝の収穫を終えたのか?』

「ああ。今日も良い野菜が採れたし、ラーデ達にご馳走する林檎も収穫したぞ」

『そうか……すっかり寝坊してしまったようですまぬな……』

「ラーデが謝るほどのことでもないさ。ぐっすり寝られるのは良いことだ」

ラーデが寝坊してしまったことをラウルに謝っている。

何故ラーデが謝るのかというと、ラーデはいつもラウルの朝の収穫に付き合って手伝いをしているからだ。

しかし、その程度のことでラウルが怒ったり文句を言ったりすることなどない。

むしろラーデの生真面目さに感心するくらいだ。

「さ、ラーデもこっち来て朝飯を食べな。ラーデの好きな林檎をたくさん剥いてあるぞ」

『おお、それはありがたい。早速いただくとしよう』

ラウルがラーデに手招きし、ラーデもラウルが先に用意してあったラーデ専用高椅子に座って林檎を食べ始めた。

そしてここでマキシが朝食を食べ終えて席を立った。

「ラーデ、僕はこれからお仕事なので、今日もいっしょにはいられませんが……娘さんと息子さんに、くれぐれもよろしくお伝えくださいね」

『うむ。其方も仕事に励めよ』

「はい!ラーデもライト君達といっしょに、皆でカタポレンの森の観光を楽しんでくださいね!」

今日もアイギスでの仕事があり、ラグナロッツァに戻らなければならないマキシ。

名残惜しそうにラーデに挨拶をしてから、コテージを後にした。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

その後リンドブルムとサマエルが起きてきたのは、正午を少し過ぎた頃。

外はすっかり日が高く、蒸し暑い空気に満ちている。

しかしコテージの中はクーラーを効かせたかのように涼しい。

何故かというと、各部屋の四隅に氷の女王からもらった氷槍をバケツに入れて立て掛けてあるからだ。

リンドブルムが人をダメにするクッションからのっそりと起き上がり、ふわぁぁぁぁ……と大きなあくびをしながら背伸びする。

横にいたサマエルも姉の起床につられたのか、もそもそと動いてから起き上がった。

『ぁー、よく寝たわぁ……』

『……リン姉様、おはようございます……』

『おはよう、サミー。サミーもよく眠れたようね』

『はい……この辺りに漂う魔力は、思った以上に心地良く感じられまして……』

『そうねー、私が住む天空島に比べたら弱めの魔力だけど……それでも何だか気持ち良い魔力ではあるわねー』

姉弟揃って仲良く起きて、のんびりと会話するリンドブルム達。

するとそこに、外からラーデが戻ってきて二者に声をかけた。

『リンドブルム、サマエル、ようやく起きたか』

『あら、パパン、おはようございますー。もう起きていらっしゃったのですか?』

『父上、おはようございます。父上におかれましては、今日もご機嫌麗しゅう……』

朝の挨拶をする子供達に、ラーデが半ば呆れながら事実を告げる。

『おはようではない。外の太陽は、もうとっくに真上に到達しておるぞ?』

『え? マジですか?』

『マジである』

ラーデの言葉に、リンドブルムが目を丸くしながら首をクルッ!と90°動かして窓の外を見た。

外は燦々とした真夏の日射しが降り注いでおり、その明るさは間違っても朝の光でない。

『あらヤダ、私としたことが。今日は早く起きて、パパンの療養の様子をじっくりと見せてもらうつもりだったのに』

『それは別に、朝早くからでなくとも問題はないがな。……ま、其方達もよく眠れたようで何よりだ』

『ええ、おかげさまで。天空島以外の場所で、こんなにぐっすりと眠れたのは初めてのことですわぁー♪』

たっぷりと寝てスッキリしたのか、リンドブルがにこやかな笑顔でラーデと穏やかに会話している。

そしてサマエルは、姉の横でずっとクッションをもにもにと触り続けている。よほどこのクッションのことが気に入ったのだろうか。

するとここで、ライトがコテージに入ってきてラーデ達のもとに駆け寄った。

「リンリンさん、サマエルさん、おそようございます!よく寝れたようで良かったです!」

『あらぁー、可愛い坊や、おそよう♪』

『……(もにもに)……』

ライトの挨拶にリンドブルムは愛想良く応え、サマエルはずっとクッションをもにもにし続けている。

姉に比べて明らかに大人げないサマエルだが、ライトは特に気にしていない。

きっと人見知りなんだろうなー。ま、仕方ないよね!と思いつつ、ライトが姉弟に向けて提案した。

「起きて早々ですが、いつもラーデが日向ぼっこしている場所を見に行きますか?」

『早速案内してくれるのね、ありがとう、是非とも見せていただくわ』

「レオ兄ちゃんとラウルも外で待ってるので、行きましょう!」

ライトの提案にリンドブルムが快く応じ、サマエルも無言で立ち上がりクッションから離れた。

人族からの挨拶はどうでもいいが、『 父上(ラーデ) の療養環境を視察する』という本来の目的は忘れてはいないらしい。

そうしてライト達は、コテージから出てラーデ専用エリアに向かっていった。