軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1471話 風魔法テストの結果と総合得点

三十分の追いかけっこ、もとい風魔法テストを終えて、湖中央の小島に戻ってきたライト達。

ライトとアクアは小島のド真ん中で大の字になって仰向けで寝転び、レオニスは胡座で地べたに座りながらエクスポーションをぐい呑みしていた。

「あ"ーーーッ!またレオ兄ちゃんに勝てなかったーーーッ!」

「ハッハッハッハー、俺だってまだまだライトに負けてやる訳にはいかんからな!」

『ライト君も、レオニス君も……ホンット、おかしいよね……君達、ホントに、人族、なの……?』

手足をジタバタさせて悔しがるライトに、 勝利の祝杯(エクスポーション) をご機嫌で飲み干すレオニス。

そんな二人の間に挟まる形で、アクアが四肢をぺったりと地につけ力なく呟く。

ヘロヘロな状態で地面に横たわり、息も絶え絶えに呟くその独り言は何気に壮絶に失敬だが、この二人の持つ力は完全に人外なのでそう疑われても致し方ない。

そしてこの三者の様子からするに、レオニスの勝利とライトの負け、アクアの完全敗北と見て間違いなさそうだ。

ぐったりと寝そべるアクアに、水の女王がオロオロしながら懸命に励ます。

『アクア様ぁぁぁぁ、しっかりなさってぇぇぇぇ』

『お、お腹空いた……魔力も、使い切っちゃって、足りない……』

涙目でアクアを励ましていた水の女王。

アクアが極度の空腹と知り、涙目のままキッ!と後ろを振り返り叫んだ。

『ラウル!レオニス!ライト!アクア様に食べさせる美味しいものを用意してッ!!』

「おう、ちょっと待ってろよ」

「アクア、ぼくからも回復剤あげるね!」

「なら俺は、アクア用に回復魔法をかけてやるか」

半べそでライト達に指令を出す水の女王。

三人はその指令に素直に従い、それぞれアクアのために何らかの行動を取り始めた。

ラウルはアクア用に作っておいた『魔物のお肉たっぷり激ウマ絶品スペシャルミートボールくん(バスケットボールサイズ)』を空間魔法陣から取り出し、アクアの顔の近くに山積みで置いていく。

大好物の美味しい匂いにつられてか、アクアがのっそりと動き仰向けから腹這いになった。

そして『あーん』と大きく口を開けるアクアに、ラウルがミートボールくんを一個づつ入れてあげている。

ライトは先程水魔法を用いて作った透明の雲を再び作り出し、アクアの身体のすぐ上で霧雨を降らせた。

さっきも皆この霧雨をすっごく喜んでいたし、魔力が漲るって言ってたから今浴びせてやればアクアも喜ぶよね!という寸法だ。

そして霧雨を降らせる一方で、アイテムリュックから濃縮コズミックエーテルを取り出し、瓶にストローを挿してアクアに飲ませてやっている。

ライトの濃縮コズミックエーテルを飲んだり、ラウルが出したミートボールくんをもっしゃもっしゃと食べるアクア。

その間にレオニスは、アクアの身体に両手を翳して中級回復魔法のキュアラを十回連続でかけてやっている。

こうした三人の献身的な介護?により、しおしおに萎れていたアクアの顔色も次第に良くなっていき、みるみるうちに回復していった。

『ふぅ……皆、ありがとう。だいぶ落ち着いてきたよ』

「そっか、良かったー……アクア、いくら追いかけっこが好きでもあんまり無理しちゃダメだよ?」

『うん……でも、皆とする追いかけっこはすっごく楽しくてさ。特にレオニス君はいつでも全力で勝負してくれるから、僕もつい熱くなっちゃうんだ』

「おう、お褒めに与り光栄だ」

「ご主人様よ、それは褒められてんのか?」

アクアの身体を心配して注意するライトに、アクアが照れ臭そうに言い訳をしている。

そんないじらしいアクアに、レオニスが何故かラウルの口癖を真似ながらドヤ顔で応えた。

果たしてアクアのそれは褒め言葉なのか?というラウルの疑問は尤もだが、アクアはニコニコしていて特に否定も肯定もしない。

実際のところ、水神であるアクアと真っ向勝負しようと思う者が、果たしてこの世にどれ程いるだろう。それが人族ともなれば、もはやそれはあり得ないレベルの身の程知らずとすら言える。

そしてライトとレオニスはその数少ない酔狂な人族であり、相手が水神だからといって戦う前から逃げ出すことなど絶対にしない。

それどころかレオニスは何度もアクアに勝ち、幾度となく再戦に挑むアクアの願いを常に快く受け入れてくれた。

だからこそアクアはライト達に絶対的な信頼を寄せているし、いつも全力で相手をしてくれるライト達に報いたいと思っているのだ。

アクアも人心地ついたところで、ライトが改めてレオニスに問うた。

「レオ兄ちゃん、今日の魔力テストはこれで終わりだよね?」

「ああ。そのうち光魔法と闇魔法のテストもしたいところだが、今日はもうあまり時間もないし。また今度時間がある時にやろうな」

「うん!どうせやるなら、ヴィーちゃんやグリンちゃん、ココちゃんから新しい力をもらってからの方がいいしね!」

「そゆこと」

夏休み前の魔力テストはこれにて終了!を確認したライトの顔が綻ぶ。

去年はやらなかった光魔法や闇魔法のテストをするという話も、ライトにとっては楽しみの一つだ。

現時点ではどれ程の適性があるか分からないが、明日にも行く予定の天空島で天空神殿守護神グリンカムビや雷光神殿守護神ヴィゾーヴニルの羽根をもらってその力を取り込めば、間違いなくパワーアップするだろう。

神鶏達の浄化能力は特に強力だし、この先浄化魔法の有用性はますます高まるはずだ。

明日の天空島訪問が、ライトは今から楽しみで仕方がない。

「じゃあ、今年の魔力テストの点数はどう?」

「そうだな……うん、今年も文句なしの満点だ!」

「ヤッターーー!」

レオニスの満点判定に、ライトが思わず飛び上がりながら喜ぶ。

各属性の魔法の威力、持続性、コントロール、どれをとっても高水準であることをライトは存分に見せつけた。

いや、厳密に言えばそれは100%完璧な出来ではないが、ライトが冒険者登録前の九歳児であることを思えば十分過ぎる成果だろう。

「ただし。これからも魔力制御の練習は欠かさずにやれよ? こういうのは日々コツコツと続けていくことで、身についていくもんだからな」

「もちろん!魔石回収や畑の水遣りは、ぼくの修行兼お手伝いだからね!」

「その意気だ」

ライトが慢心しないよう、きっちりとアドバイスをすることも忘れないレオニス。

もちろんレオニスだってライトが怠けるとは思っていない。

しかし、天性のセンスや持って生まれた魔力量の多さ、あるいは強力なジョブに恵まれたことに胡座をかいて、ろくに精進せずすぐに頭打ちになる冒険者など掃いて捨てる程いた。

冒険者稼業に身を置くレオニスも、そうした例をこれまでたくさん見てきている。

故にこの手の小言をどうしても言いたくなってしまうのだ。

そして小言を頂いたライトも、反発したり腐ったりすることはない。

見た目はともかく、中身は就職氷河期で辛酸を嘗め続けてきたアラフォーの苦労人。

慢心して足元を救われるような愚行は決してしない。

そうして一通りの魔力テストを終えたライト達。

全身全霊全力疾走の追いかけっこで再び減ったお腹を満たすべく、本日二度目のおやつタイムをのんびりと開催したのだった。