軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1456話 二つの季節限定イベント

その後五月、六月と平穏な日々が続き、もうすぐ七月になろうかという六月下旬のとある日。

ライトはカタポレンの家で、マイページを開いたままずっとにらめっこをしていた。

「ンーーー……この七夕イベントが気になる……やるべきか、やらざるべきか……」

ライトがにらめっこしていたのは、マイページ内のイベント欄。

六月二十日から、イベント欄に二つのイベントが新たに出現していた。

一つは『七夕・笹魔人を倒して神寄の短冊を集めよう!』、もう一つは『地獄の七夕巡り』。どちらも七夕向けの季節限定イベントである。

BCOフリークのライトは、このイベントのこともよく覚えている。

『七夕・笹魔人を倒して神寄の短冊を集めよう!』はタイトルそのままで、イベント期間中に出現するパンダ型のモンスター『笹魔人』を倒して『神寄の短冊』というアイテムを集めるイベントだ。

集めた短冊を期間内に交換所に持ち込むと、様々な特殊アイテムと交換できる。

短冊の数によってアイテムのランクが変わり、レアなものほど短冊の数が大量に要るが、自分で好きなものを選べるだけマシだろう。

そしてもう一つの『地獄の七夕巡り』。

こちらも『七夕巡り』というタイトルが示す通りで、過去に開催された限定イベントのボスだけを集めた討伐イベントだ。

イベント開催時期の古いものから始まり、四十種類以上のイベントボスをひたすら倒し続ける。

討伐する度に報酬が出て、かなりのレアアイテムが得られるイベントだった。

そこだけ見たら『美味しいイベント』のように思えるのだが、実は大きなリスクもある。

タイトルの『地獄』という言葉が指し示しているように、過去に勇者候補生達に斃されたイベントボス達は『地獄から蘇ったイベントボス達』という位置づけにある。

そしてそれは単なる復活ではなく、イベントボス達の各種ステータスが少なくともイベント当時の二倍から十倍近く強化されて蘇ってきているのだ。

こうなると、序盤のボスですら倒すのに一苦労する。

ライトの記憶では、四つ目か五つ目あたりでもそこそこ手こずった覚えがある。

序盤ですらそれなのだから、終盤ところか中盤辺りでも手こずるどころの話ではない。今のライトでは、イベントを完遂させることすらできないだろう。

そしてそれは、ライト自身が最もよく分かっている。

今のライトは、何もかもが圧倒的に足りない。

カタポレンの森で鍛えられたMPはともかく、HPとAPがもっと増えてからでないと到底この地獄巡りイベントはこなせない。

故に、ライトがやろうかどうか迷っているのは『七夕・笹魔人を倒して神寄の短冊を集めよう!』の方であった。

この神寄の短冊イベントは、BCOの正式リリースから半年後に開催されたイベント。

最初期と言っても差し支えないイベントで、七夕イベント専用モンスターである笹魔人も一体につきHP500程度。かなり弱い部類に入る。

これなら今の自分でもやれる、ハズ!とライトは考えていた。

「うーーーん……たまには違うイベントがしたいー……つーか、素材集め以外のことがしたいーーーッ!」

ベッドの上で寝転びながらマイページを眺めていたライト、突如大声を上げて悶絶し始めた。

そう、今のライトはクエストイベントの54番目『濃縮ギャラクシーエーテル10個』に取り組んでいるのだが。何しろこれが果てしなく膨大な量の素材が必要で、一向に終わりが見えないのだ。

まず、素材集めに絶好の機会のはずだった黄金週間中は、あちこち出かけまくっていて全く素材集めができなかった。

その後、ラグーン学園が休日となる土日は朝から夕暮れになるまでひたすら素材集めに専念していたのだが、未だに必要量に到達していない。

もちろんライトは今でも『クエストイベントを絶対にクリアしてやる!』と心に強く誓っているし、クエストイベントに飽きてきた訳でもない。

だがしかし、ずーーーっと同じ素材の魔物を狩り続けるというのも思いの外しんどいものだ。

たまには違うことをやって気分転換したい!とライトが思うのも無理はなかった。

そこに突如現れた、七夕という季節限定イベント。

実際ラグナロッツァの街にも、ところどころで色とりどりの短冊が吊るされた大きな笹を見かける。

また、この時期のラグーン学園内では、幼等部が通う校舎の入口に児童達が願い事を書いた短冊を垂らした巨大な笹が飾られている。

身近なところで七夕の風景を見ていただけに、ライトの心は七夕イベントにかなり揺れ動いていた。

ちなみにこの日は六月二十三日の土曜日。

今日も今日とてライトは朝から魔物狩りに出かけていた。

朝はノーヴェ砂漠でサンドキャンサー狩り、昼は北レンドルーでディソレトホーク狩り、午後はカタポレンの森で暗黒蝙蝠狩り。

場所を移動する度に、その前に転職神殿に立ち寄ってレベルリセットしてから次の魔物狩りに挑む。

ここ最近のライトの休日は、ずっとこの繰り返しであった。

そして今日も日が暮れる直前、夕方に帰宅しクタクタになった身体でベッドに飛び込み、何気なくマイページチェックをしていた。

そこでちょうど今日、二つの七夕イベントが解放された初日であることを知ったのだ。

「ぬーーーん……イベントを開始するなら、やっぱり土日のうちがいいよなー。そうすると、今日の土曜日はもう無理だから仕方ないとして……明日の日曜日にやってみるかな!」

「よし、そしたら明日に備えて今日は早く寝ようっと!」

気分転換のために、難易度が低い方の七夕イベントに着手することを決意したライト。

早速服を着替えて、ラウル達がいるラグナロッツァの屋敷に移動していった。