軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1447話 有意義な買い物

ラグナ神殿で六個目のスタンプと各種木彫りの置物を購入したライト達。

次の目的地である冒険者ギルド総本部に向かう。

「ライト達はさっき、あの売店で何を買ったんだ?」

「えーっとねぇ、ぼくは木製の栞と木彫りのパンダの置物!」

「俺は木製のコースター十個セットを三つ買った」

「僕は木製ハンガー五組とコート掛けです!」

「何だ、思ったより結構実用的なものも多いんだな?」

ライト達の購入ラインナップに、レオニスが驚いている。

ライトの栞やラウルのコースター、マキシのハンガーには随所に幾何学模様や花の透かし彫りが施されていて、どれも緻密で素晴らしい出来栄えだ。

そんな話で盛り上がっているうちに、冒険者ギルド総本部が見えてきた。

総本部の建物の前には、いつもの倍以上の人集りができている。

その人集りの原因の一つは、もちろんスタンプラリーである。

たがしかし、それ以外にももう一つの理由があった。

「お、何だ何だ、冒険者ギルド総本部にも臨時売店があんのか」

「へー、何を売ってるの?」

「マスターパレングッズが中心っぽいな」

「黄金週間中にも買えるんだ、すごいね!」

ラグナ神殿での人集りにも負けないくらいの盛況ぶりに、ライト達も興味津々に近づいていく。

だが、まずはスタンプラリーのスタンプ収集が先だ。

列に並び進んでいくと、スタンプ設置場所ではクレナが押印係を担当していた。

「よう、クレナ」

「クレナさん、こんにちは!」

「あらー、レオニスさんにライト君じゃありませんかー」

「黄金週間中も仕事してんのか、ご苦労さん」

「ラウルさんまで労いの言葉をかけてくださって、ありがとうございますぅー」

ラグナロッツァ総本部きっての有能受付嬢と和やかに挨拶を交わしながら、各自スタンプカードを取り出して押印してもらう。

「つーか、こないだの公国生誕祭でも出店を出してただろ? 黄金週間中も売店を出すようになったんか?」

「ええ、公国生誕祭での出店の売上が非常に好調なのと、あとは『マスターパレンのグッズをもっと売ってくれ!』という、マスターパレン愛好家の皆様方からの熱いご要望がですね、それはもうひっきりなしに寄せられてまして。それにお応えするべく、こうしてスタンプ設置場所の横に臨時の売店を出してるんですよー」

「すげー人気なんだな」

「というか、マスターパレンご本人がいる午後二時以降の方がもっと盛況ですよ? 午前と昼は特別チェキ会のため、ここにはおられませんが」

「マスターパレン、働き過ぎじゃね?」

軽やかにスタンプを押す傍ら、雑談がてらで売店の解説をしてくれるクレナ。

彼女の流れるような見事な解説とその内容に、ライト達はただただ圧倒されるばかりだ。

「ま、そんな訳ですので。せっかくですから皆さんも、是非とも隣の売店にお立ち寄りくださいませー♪」

「相変わらず商売上手だな。……ま、そう言われたら見ていかん訳にもいかんが」

「何かお好みの品がありましたら、是非とも売上貢献してくださいねぇー♪」

にこやかな笑顔でライト達を送り出すクレナに、レオニスも右手をひらひらとさせながら応える。

そうしてスタンプゲットの直後に立ち寄った臨時売店は、かなりの盛況ぶりだった。

マスターパレンのブロマイドやネームタグ等の軽いものから、下敷きやうちわ、手のひらサイズのマスコット、直筆サイン色紙、名入りのタオルやTシャツ、果ては等身大のポスターや銅像や抱き枕といったコアな品々が所狭しと並べられている。

ちなみにこの『絶対に売れねぇでしょ?』と思われがちな等身大ポスターや銅像、売れ残るどころか最終日までには必ず買い手がつくのだという。

現に今臨時売店に飾られている等身大の銅像にも、『売約済み』の札が何と三つもかけられているではないか。

マスターパレンのパンイチ姿の等身大銅像を、一体どこの誰が、どこに飾るのか全く以って想像もつかない。

そしてライトはマスターパレン特製プロテインのココア味とカフェオレ味を各一袋、レオニスは『マスターパレン愛用・ダンベルセット』を二組、ラウルは『マスターパレン監修・筋肉が喜ぶ手作り料理レシピ』を一冊、マキシは『マスターパレン直伝・筋肉をより素早く確実に育て上げるトレーニング法』を一冊購入した。

「レオ兄ちゃん、そのダンベルセットは何kgなの?」

「えーと、25kgと50kgと100kgだな」

「何そのヘビー級……重量挙げと大差ないじゃん……」

「これから筋肉を鍛えるのに、ちょうどお誂えのアイテムだろ? これにラウルが買ったレシピ本のメニューと合わせれば、俺の筋肉倍増計画はもはや完璧だぜ!」

レオニスが購入したダンベルセットの内容の凄さに、ライトが呆気にとられている。

一方でレオニスは上機嫌この上ない。

先程旧スラム街で『俺はもっともっと強くなる!』と決意を新たにしたばかりなだけに、今回の買い物はまさに渡りに船である。

「そしたらご主人様よ、この本に書いてあるメニューの研究費を出してくれ」

「おう、いいぞ。毎月の食費の額を月1万G増額でいいか?」

「OK。作る量によっては食材費の追加もよろしくな」

「了解ー」

レオニスとラウル、双方の労使交渉も円滑に進み無事円満締結したようだ。

ここ最近レオニス邸におけるエンゲル係数がうなぎのぼりだが、レオニスの稼ぎはそれを上回るので何ら問題はない。

レオニスとラウル、大の男二人が筋肉倍増計画を進めていく横で、ライトとマキシも和やかに会話している。

「マキシ君も、筋肉を鍛える予定なの?」

「僕の場合、そこまで筋肉がつけられるとは思っていないんですが……それでも魔法だけに頼るよりも、筋肉を含めた基礎体力をつけるべきかと思いまして」

「あー、それもそうだねー。何をするにもまずは体力作りをしっかりしないとねー」

「そうなんですよねー。アイギスでのお勤めももちろん楽しいんですが、やはり運動不足になりがちなので……」

「そしたらさ、休みの日はカタポレンの森で体力作りするといいよ!」

「それもいいですねー。毎日の鍛錬はこの本で学ぶとして、休日はカタポレンの森で目一杯運動することにします!」

ライトのアドバイスに、マキシも明るい顔で頷く。

マキシはレオニスやライト程の脳筋ではないが、それでもやはりいざという時にへばらない程度の体力は欲しいらしい。

それはこれまでに得た教訓―――ユグドラツィ襲撃事件や天空島襲撃事件などで、マキシが己の身を以って実感していたことだった。

四人とも、ラグナ神殿に続き冒険者ギルド総本部でも思わぬ買い物をしてしまったが、誰一人として悔いはない。

ラグナ神殿での買い物は日々の生活に彩りを与えてくれるアイテムで、冒険者ギルド総本部での買い物は自分への投資という有意義なものだったのだから。

そうして四人は冒険者ギルド総本部を後にして、次のスタンプ設置場所に向かっていった。