軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1448話 内々の依頼打診と向日葵亭の看板娘

冒険者ギルド総本部を後にしたライト達は次の目的地、魔術師ギルド総本部に向かった。

ライト達はのんびり歩きながら、雑談に花を咲かせる。

「これから行く魔術師ギルド総本部にも、臨時売店あるのかな?」

「ンー、どうだろうなぁ? 魔術師ギルドには、マスターパレンのような派手な広告塔はいないからなぁ……ただ、魔術師が作る呪符は人々の生活の中で使えるものも多いから、魔術師や冒険者じゃなくても魔術師ギルドの売店は利用するって一般人もかなりいるんだよな。だから、もしかしたら魔術師ギルドも店を出してるかもな」

「あー、確かにな。俺も冒険者になる前に、公国生誕祭で魔術師ギルドの出店で『家内安全』『虫除けの結界』『鳥避けの呪符』を数枚買ったことあるもんな」

「僕も『悪霊退散』の呪符を買いました!効果があったかどうかはよく分かりませんが、今のところ悪霊に襲われてないのできっと効果はあったんだと思います!」

レオニスの話に、ラウルやマキシも同意している。

確かに魔術師ギルドで販売している呪符や魔導具類は、身体強化や魔物除けなど冒険や戦闘に必要なものも多い。

しかし、そればかりではないではないのも事実であり、むしろ戦闘に関係なく生活に密着した要素を持つものも多い。

魔力量の関係で頻繁に魔法を使えない平民や、不得意な属性の魔法を使いたい人にとって魔術師ギルドが作る呪符類は大きな手助けとなる。

故にそういった意味では、魔術師ギルドは冒険者ギルドよりも身近な存在なのだ。

そんな話をしているうちに、魔術師ギルド総本部の建物が見えてきた。

入口前の横にスタンプ設置場所があり、そこには去年同様ギルドマスターのピースが嬉々としてスタンプ押印係を担当していた。

「よう、ピース。今年もスタンプ押す係してんのか?」

「あッ、レオちん!やほーぃ!」

「ピィちゃん、こんにちは!お仕事お疲れさまです!」

「ライっちもおひさー!皆でスタンプラリー回りしてんの? 仲良いことはいいことだぁねー♪」

スタンプカードをスッ……とピースの前に差し出したレオニスに、それまで懸命にスタンプを押していたピースがパッと顔を上げて綻んだ。

レオニスやラウルはビースリー勃発未遂事件などでピースと頻繁に会っていたが、ライトにとっては天空島襲撃事件以来のことだ。

久しぶりに会う稀代の天才大魔導師の弟子。相変わらず元気そうで何よりだ。

ちなみにこの魔術師ギルド総本部にも、ライト達の予想通り臨時の売店がスタンプ設置場所の隣に作られていた。

この出店も大盛況のようで、様々な呪符やお守りを買い求める人達で賑わっていた。

「ここでも売店を出してんのか」

「うん!こないだ会合でパレンちゃんに会った時にね、冒険者ギルド総本部が黄金週間中に売店を出すって話を聞いたのよ。それならうちでも店を出せるじゃーん!てことになってさ? 大急ぎでお店を出したんだー♪」

「そうなんか。ま、繁盛してるようだしいいんじゃね?」

「おかげさまでねー、魔術師ギルドの収入が増えて潤いまくりなんだよねー♪」

魔術師ギルド総本部でも出店を決意した経緯に、マスターパレンが絡んでいたとは驚きだ。

しかし、これがきっかけで魔術師ギルドが予算的に潤うならば、それはとても良いことだ。

魔術師ギルドは一見儲けているように見えて、実は予算を食う部署も多い。

特に新しい魔術や呪符の開発のために、未知のアイテムを消費したり様々なアイテムの収集依頼を出したりすることも多いからだ。

雑談中にそのことを思い出したのか、ピースがはたとした顔でレオニスに話しかけた。

「あ、そういやレオちん、今度レオちんに採ってきてもらいたい素材があるんだけどさ。近いうちに相談できる?」

「おう、いいぞ。ただし、依頼そのものは冒険者ギルドを通して指名依頼で出してくれ」

「もちろんもちろん!ンじゃ、パレンちゃんを通してレオちんに指名依頼出すからよろぴくねー♪」

「はいよー」

ピースからの内々の依頼打診に、レオニスも快く応じる。

魔術師ギルドマスターのピースが直々に金剛級冒険者に依頼を出すということは、それは即ち他者には任せられないような超高難易度の素材である、ということだ。

まずは話の内容を聞いてからでないと最終的な判断はできないが、レオニスはピースに結構な借りがある。

特にピースが作る浄化魔法の最上級呪符『究極』には、幾度となく危機を救ってもらった。

ピースからの直接の依頼は、これらの恩を返すチャンスでもあるのだ。

スタンプ押印場所で、椅子に座ったままブンブンと大きく手を振りライト達を見送るピース。

先に臨時売店に移動していたライト達のもとに、レオニスも合流していった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

魔術師ギルド総本部の臨時売店で買い物をしたライト達。

次に行く南の塔へ向かう途中で、昼食を摂ることにした。

移動途中に向日葵亭の前を通るので、向日葵亭に入ろうとしたのだが。ちょうどお昼ご飯の時間帯のせいか、店の外にも何人か席待ちの人がいた。

「うわぁー……向日葵亭、すっごく混んでるっぽいねー」

「ちょうど昼飯時だしな。どうする、諦めて他の店か公園にでも行くか?」

「どうしようかなー……せっかくならリリィちゃんのおうちのご飯を食べたかったんだけどー……」

お目当ての向日葵亭が満席で、しばらく待たなければならないことにライトは大いに悩む。

さすがはラグナロッツァ屈指の人気店、行列を成してでもここのご飯を食べたい人がたくさんいるというのは賞讃に値することだ。

しかし、ここで何十分と待つのも時間がもったいない。

とうしようか、とライトが悩んでいると、お店からリリィが出てきたではないか。

向日葵亭の看板娘の登場に、思わずライトが声をかけた。

「あ、リリィちゃん?」

「あ、ライト君!やほー!」

「今日もお店のお手伝いしてるの?」

「うん!お店の外で待っているお客さんに、メニュー表を先に渡そうと思って出てきたのー」

「いつもおうちのお手伝いをするリリィちゃんって、本当に偉いよね!」

「えへへ、そうかなぁ?」

健気なリリィを褒めちぎるライトに、当のリリィが照れ臭そうにはにかむ。

そしてメニュー表をライトに渡しながら、リリィが明るい声で張り切る。

「でも、明日は待ちに待った約束の日だからさ!今日一日頑張れば、明日は皆でお出かけできるし!」

「そうだね、明日は皆でレインボースライム戦隊ショーを観に行くもんね!」

「うんうん!リリィね、明日がすーっごく楽しみなんだー♪」

「ぼくも、すっごく楽しみ!」

花咲くような笑顔のリリィとライトの会話に、周りにいたレオニス達も思わずも和む。

「席の方は、もう少ししたら三つくらい空くと思うから、それまでメニュー表を見て注文するものを決めといてね!」

「うん。リリィちゃんもお手伝い頑張ってね!」

「ありがとう!じゃ、また後でねー!」

待ちのお客さんにメニュー表を渡すという仕事を終えたリリィ。

にこやかな笑顔のままライトに手を振り、再び店の中に入っていく。

ここでメニュー表を渡されたら、他の店に行くとか公園で昼食を摂るなどの選択肢は潰えた。

二部渡されたメニュー表の一つをラウルに渡しながら、ライトがレオニスに声をかけた。

「レオ兄ちゃん、お昼ご飯はここで食べよう」

「そうだな。リリィちゃんから直々にメニュー表をもらったとあっては、他の店に行く訳にはいかんもんな」

「そゆこと。ラウルとマキシ君も、メニュー表を見て食べたいものを選んでおいてねー」

「了解ー」

「分かりました!」

リリィの営業努力にまんまと嵌まったライト達。

だが、家業を手伝う健気なリリィの頑張る姿は見ていて微笑ましいし、大いに励まされる。

その後ライト達はメニュー表を見ながら十分程待ち、再びリリィに案内されて向日葵亭の中に入っていった。