軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1253話 黄金色に輝く宝物

そうしてレオニス達は、帰途に就くべく広間から出て入口に向かう。

金鷲獅子を探すべく洞窟に入った時は、奥に向かって慎重に進んでいったため分からなかったが、広間から出ると入口から入る外の光が遠くに見える。入口から奥の間まで案外近かったようだ。

入口に向かう間、レオニスとラウルはアウルムの背に乗せてもらっている。

新たな名を手に入れたアウルムが、非常にご機嫌な様子でレオニス達に『其の方らには相棒の鷲獅子はおらんようだから、出口まで特別に吾の背に乗せてやろう!』と言ってくれたのだ。

もちろんレオニス達に、それを断るなどという選択肢はない。

アウルムからの非常に魅力的なお誘いに、二人は満面の笑みで「ありがとう!」と礼を言いつつふわり、と飛んでその背に乗り込んだ。

それを見たアルフォンソ達鷲獅子騎士達が、非ッ常ーーーに羨ましそうな目でレオニス達を見ていたような気がするが。多分気のせいだろう。キニシナイ!

レオニスとラウルを乗せてのっしのっしと歩くアウルムの頭には、ラーデがちょこん、と乗っかっている。

もちろんこれも、ラーデが己の頭の上に乗ることをアウルムが許したからこそできることだ。

そうして程なくして、洞窟の入口から外に出たレオニス達。

ふと上を見上げると、空はほんのりと茜色に染まりつつあった。

「さて……ラーデもアウルムも名残惜しいだろうが、一旦帰ろうか」

『ああ。アウルムも見送りはここまでで良いぞ。其方もまだ穢れから解放されたばかりの身、きちんと療養せねばな』

『ありがとう。ラーデもそのカタポレンの森?というところで、しっかりと養生してくれ。そして次に会う時は、お互い万全の状態でいようぞ』

『もちろんそのつもりだ』

レオニスの呼びかけに、アウルムの頭から降りたラーデ。

アウルムの顔の前をふよふよと飛び、別れの挨拶を交わす。

ラーデとの挨拶に満足したアウルム、次はアルフォンソ達鷲獅子騎士に声をかける。

『アルフォンソ、そして鷲獅子の背に乗り空を駆る者達よ。吾アウルムは鷲獅子を統べる者として、其の方達を生涯の友と認め受け入れよう。これからは、いつでも好きな時にこの高原に遊びに来るがよい』

「「「ありがとうございます!!」」」

アウルムの言葉に、アルフォンソ他全ての鷲獅子騎士達が一斉に頭を下げて礼を言う。

鷲獅子騎士達のほとんどは、あまりの感激で涙目になっていた。

そんな鷲獅子騎士達を見て、うんうん、と満足げに頷いているアウルム。

徐に翼を顔の前に持ってきて、その嘴で羽根を一枚毟り取った。

『これは吾からの友好の証。吾から友にしてやれることと言えば、これくらいしかないが……持っていれば何かしらの役に立つだろうて』

「こ、こんな貴重なものを譲っていただけるなんて……本当にありがとう!」

『いや何、これから其の方達がここに遊びに来る際に、そのついでにたくさんのご馳走も持ってきてもらうのだからな。これくらいしても罰は当たるまいて!ワッハッハッハッハ!』

金鷲獅子と友誼を結んだ証として、自らの羽根を鷲獅子騎士達に下賜したアウルム。

一方の羽根を渡されたアルフォンソは、両手で持ちながら「はゎゎゎゎ……」と小さく呟きながらワナワナと震えている。

当然のことながらその小声と震えは、金鷲獅子の羽根を分け与えてもらえたことへの感動から来ている。

アルフォンソが持っている羽根は長さが50cm程もあり、靭やかでふわふわとした美しい黄金色に輝いている。

もちろんそれはとても貴重なものであり、金鷲獅子を崇敬する鷲獅子騎士には国宝にも等しい宝物だ。

アウルム曰く、これからご馳走してもらうビッグワームの素の代金代わり、ということのようだが。きっとそれは半ば照れ隠しのようなもので、新たな友への友情の証のつもりなのだろう。

アルフォンソは早速空間魔法陣持ちの鷲獅子騎士、ライナス・エルウッドを呼びつけた。

「ライナス、空間魔法陣を開け!」

「はい!」

アルフォンソの命に応じ、ライナスがすぐに空間魔法陣を開く。

そしてアルフォンソはアウルムの羽根を両手で恭しく持ちつつ、ライナスの空間魔法陣にそっと仕舞い込んだ。

他の鷲獅子騎士達は、アルフォンソが持っていたアウルムの羽根を、それはもう息を呑むような真剣な眼差しで凝視していた。

きっと鷲獅子騎士団専用飼育場に戻ったら、皆して羽根を見せて見せて!と大騒ぎするに違いない。

するとここで、ラーデがアウルムに声をかけた。

『アウルムよ、そしたらレオニスとラウルにも其方の羽根を分け与えてやってはくれまいか』

『ン? おお、良いぞ。あの者達はラーデの恩人だという話だしな。それだけで吾の羽根を持つ資格は十分にあろうて』

『ありがとう』

ラーデの求めに応じ、アウルムが再びその嘴で己の羽根をプチッ、と毟り取る。

そして一枚目をレオニスに、二枚目をラウルに差し出した。

「アウルム、俺達にまで羽根をくれてありがとう。大事にする」

「でも……羽根を三枚も毟っちまって大丈夫なのか? 飛ぶのに支障をきたしたりしないか?」

『何、気にするな。この程度のことでどうこうなる程吾は柔ではない。それに、この程度のもので吾が友の生命の恩人に報いることができるなら安いものぞ!』

羽根の礼を言うレオニスに、アウルムの翼の心配をするラウル。

そんな気遣いに、アウルムはご機嫌な顔で高笑いしながら答える。

そしてレオニスとラウルも早速それぞれ空間魔法陣を開き、今もらったばかりの貴重な金鷲獅子の羽根を大事そうに仕舞い込んだ。

「さ、じゃあそろそろ帰るか。アウルムも元気でな」

『ああ。其の方達こそ、吾が友のことをよろしく頼むぞ』

「おう、任せとけ。ラーデの身体が大きくなるように、これからもカタポレンの森で美味いものをたくさん食わせ続けてやる」

『それは頼もしいな!』

レオニスとラウルの別れの挨拶に、アウルムがニパッ!と破顔する。

そしてアウルムの視線はアルフォンソ達の方に向けられた。

『アルフォンソ達も元気でな。次に来た時には、其の方ら全員の名を教えてくれ。吾は其の方達全員と友になったのだからな、互いの名を知っておかねばならぬ』

「「「はいッ!」」」

アウルムの言葉に、まだ相棒に乗っていなかった鷲獅子騎士達全員が直立不動の姿勢で返事をする。

そして鷲獅子騎士達が各々の相棒の背に乗り込み、全員が帰る準備ができた。

まずサムに乗ったアルフォンソがふわり、と宙に浮き、他の鷲獅子騎士達もそれに続く。

レオニスとラウルも鷲獅子騎士達とほぼ同時に宙に浮き始めた。

ちなみにラーデはレオニスの背中にしがみついている。

「じゃ、またな!」

「アウルム、次に会える日を楽しみにしている!」

レオニスとアルフォンソがアウルムに向かって最後の言葉をかけ、一行は臨時転移門のある場所に向けて飛び立っていった。

アウルムは雄々しい鷲獅子達とともに飛んでいくレオニスを眺めつつ、ふと『おお、そういえば……妖精はともかく、いつの間に人族まであんなに空高く飛べるようになったのだ?』とか呟いている。

空高く飛び去っていく友たちの背中を、ずっと見送っていたアウルム。前脚をグググ……と伸ばしてお尻を高く突き上げ、背中を反らす。

猫のように背伸びをした後、アウルムは再び洞窟の中に戻っていった。